建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

 副局長インタビュー 渡島総合振興局・檜山振興局

災害に強い地域づくりや人流・物流ネットワークの充実で新幹線効果を道南全体に波及させる

 渡島総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 檜山振興局 副局長
倉持 賢
 くらもち・さとし
 昭和37年4月29日生まれ、札幌市出身
 北海道大学大学院土木工学専攻 修了
 昭和62年4月 札幌土木現業所
 (略)
 平成20年4月 旭川土木現業所事業部道路建設課長
 平成22年4月 後志総合振興局地域政策部総務課主幹(小樽市派遣)
 平成24年4月 建設部まちづくり局都市環境課主幹
 平成25年4月 渡島総合振興局函館建設管理部事業室長
 平成26年6月 建設部まちづくり局都市計画課長
 平成29年4月 渡島総合振興局副局長(函館建設管理部担当) 兼 檜山振興局副局長

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせください
太櫓川築堤・護岸整備(せたな町)
倉持 私自身3年ぶりの勤務となります道南は、昨年3月に北海道新幹線が開業し、東北や北関東地方などとの新たな経済・文化交流圏を作り出す北海道の玄関口として、益々重要な役割を担っており、新幹線の開業により増加した交流人口を維持・拡大していくとともに、雇用や産業の発展に結びつけ、新幹線効果を道南全体に波及させるべく社会資本の整備を推進し、活力ある地域づくりに貢献してまいります。

 また、道南地域は、太平洋と日本海、津軽海峡に囲まれた地域であり、豊かな農林水産物に恵まれ、古い歴史や文化を有しており、こうした特色を生かした地域づくりを進めていくため、人・モノの交流を拡大し、災害など緊急時に人流・物流を確保する総合的な交通ネットワークの充実を図るとともに、洪水や土砂災害などに備えた安全性の高い減災・防災施設の整備などを進めます。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組みについてお聞かせください
駒ヶ岳火山砂防泥流対策(森町)
倉持 災害の多い昨今、管内では、昨年5月に道道奥尻島線で1.5mの岩が斜面から道路に落下し、6月には函館市川汲で震度6弱の地震がありました。さらに、8月末の台風10号に伴う豪雨の影響で、道道大沼公園鹿部線が50mに渡って崩落し、南茅部海岸と八雲海岸では離岸堤が破損するなどしており、災害に強く安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などの必要性が高まっていることから、災害に強い安全で安心な社会資本整備を進め、住み続けたいと思える地域づくりに貢献してまいります。
 自然災害に対する備えは、安全・安心な地域づくりにとって重要な課題です。このため、河川事業では、湯の川(函館市)や厚沢部川(江差町、厚沢部町)、太櫓川(せたな町)において堤防、護岸等の河川施設の整備を進め、青苗川(奥尻町)などで特定構造物改築事業により防潮水門の整備を進めます。
 砂防事業では、駒ヶ岳(森町)において火山砂防事業による泥流対策を進めるほか、通常砂防では、蒜沢川(七飯町)や外記川(知内町)などで渓流保全工による整備を進めるとともに、団地の沢川(せたな町)などで新たに事業着手します。
 急傾斜地崩壊対策事業では、かげ崩れ防止を目的として、厚沢部本町1(厚沢部町)などにおいて新たに事業着手するとともに、函館山背泊(函館市)の事業完了を目指します。また、土石流やがけ崩れから道民の生命及び財産を守るため、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査を平成27〜31年度までの五カ年で完了すべく、重点的に実施します。
 建設海岸事業では、高潮対策として、度杭崎海岸(森町)において護岸工などの整備を進めます。また、石倉海岸(森町)、山越海岸(八雲町)においては、海岸護岸を更新する老朽化対策緊急事業を推進します。
 漁港事業では、沼尻漁港(森町)において防波堤の整備を進めます。また、戸井漁港(函館市)ほか8漁港において、新たに施設の老朽化に対する機能保全事業の計画策定に着手します。
── 平成29年度の予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取組をお伺います
山越海岸老朽化対策緊急事業(八雲町)
倉持 今後の管内の交通ネットワークの整備につきましては、国により北海道縦貫自動車道の大沼公園IC〜(仮)七飯IC間が着工され、函館・江差自動車道は北斗茂辺地IC〜木古内IC間の平成31年度開通、函館新外環状道路は赤川IC〜函館空港IC間の平成32年度開通を目指して、高規格道路の整備が進められています。
 函館建設管理部では、こうした動きと連動して、函館市内において、日吉ICに接続する3・3・22放射4号線や3・6・82臨空工業団地通、空港ICに接続する3・3・77空港通、市内の渋滞緩和を図る3・4・47文教通などの街路事業を推進します。
 また、管内の主要な観光地の一つである大沼地域は、平成24年にラムサール条約登録湿地となりました。函館建設管理部では、七飯町が策定している「大沼地域活性化ビジョン」を支援する観点から、良好な親水空間の創出のため、大沼環境整備事業により河道整正工を実施するなど、町と連携しながら地域の魅力向上に努めます。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時における復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などをお聞かせください
3・4・47文教通街路事業(函館市)
倉持 昨今の建設業についてですが、若年労働者の入職が大きく減少し、技術・技能の承継の観点からも工事の品質確保など建設業本来の役割を果たすことが困難になると懸念されています。
 建設業は、地域の生活・産業、安全・安心を下支えする社会資本整備において、重要な役割を担うとともに、災害が発生した際には、真っ先に被災現場に駆けつけ、復旧作業などに大きな力を発揮し、地域防災上なくてはならない存在です。
 また、地域の主要産業の一つとして、経済や雇用を支える上で大きな役割を果たしていることから、道内の建設業が様々な変化に柔軟に対応し、持続・発展を遂げ、今後もその役割を果たしていけるよう、道としては、経営力の強化や人づくりの強化などに取り組んでいます。
 函館建設管理部といたしましても、地域の活性化や安全・安心の確保に向け、地域に密着した存在である建設業の皆様と、今後とも綿密に連携を図ってまいります。

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