建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年7月号〉

 副局長インタビュー 後志総合振興局

危機管理体制を強化し災害から地域住民を守り交通ネットワークの整備で食や観光振興を支援する

 北海道 後志総合振興局 副局長(建設管理部担当)
有沢 貴博
 ありさわ・たかひろ
 平成19年6月1日 函館土木現業所道路建設課長
 平成21年4月1日 建設部まちづくり局都市環境課主幹
 平成22年4月1日 上川総合振興局旭川建設管理部事業室長
 平成24年4月1日 建設部建築局建築整備室設備・環境担当課長
 平成25年4月1日 北海道建設技術センター派遣
 平成26年7月8日 建設部建設政策局建設政策課政策調整担当課長
 平成27年6月1日 建設部まちづくり局都市環境課課長
 平成29年4月1日 後志総合振興局副局長(建設管理部担当)

── 本年度の事業進捗にあたり抱負をお聞かせください
岩内洞爺線(落石対策)
有沢 当小樽建設管理部での勤務は初めてだが、管内には、羊蹄山や変化に富んだ美しい海岸線などの景勝地が多くあり、さらに、歴史と情緒あふれる小樽運河、冬には優れた雪質のスキーリゾートなど道内有数の観光地を有する魅力ある地域で、公私とも楽しみにしています。
 昨年は、本道では、8月から9月にかけて、4つの台風が到来し、記録的な豪雨により、道央、道東を中心に広い範囲で未曾有の被害に見舞われました。近年の気象の激化傾向から、今後、当管内においても自然災害の多発化・激甚化が想定される中、道路・河川・海岸などの社会資本の整備はもちろんのこと、それら施設の維持管理、さらに災害に対する危機管理の重要性がますます高まっています。
 また、近年、全国各地で豪雨や暴風雪などに伴う災害による被害が発生しており、小樽建管は山地や海岸部で急峻な地形が多く、豪雪地帯でもあることから、大雨や土砂災害、高波、暴風雪、地震、津波などから、住民の安全・安心な暮らしを守る施設や災害に備えた社会資本を整備する必要があります。
 さらに、北海道新幹線や北海道横断自動車道などの高速交通ネットワークの整備が進められており、小樽建設管理部では、後志の将来にとって重要なこれらのプロジェクトと連携を図りながら、管内の食や観光の振興を支援するため、交通ネットワークの機能強化に向けた道路整備を進めるほか、水害や土砂災害から人命や財産を守る治水事業などを進めてまいります。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
泊共和線(国富2号トンネル)
有沢 急峻な地形が多い当管内には、全道の土砂災害危険箇所の1割強を占める1,238箇所の危険箇所があり、土砂災害から人命を守るため、基礎調査を実施し、管内でがけ崩れや地すべりなどが発生する恐れのある区域を明らかにして、土砂災害危険区域の早期指定に努めます。
 安全安心の確保に向けた事業は、道路事業では、泊原子力発電所周辺地域の防災避難・緊急輸送道路である道道泊共和線の整備を進めます。また、道道岩内洞爺線の落石・雪崩対策工を実施し、安全で円滑な道路通行を確保するほか、道道ニセコ停車場線などで歩道設置を行い、歩車道分離による歩行者の安全対策などの交通事故対策を行います。
 河川事業では、洪水のない安全で快適な生活環境を創出するため、尻別川などの河川改修などを進めるほか、美国川や朱太川など親水性や生態系に配慮したうるおいのある水辺空間の創出を図ります。
 砂防・急傾斜事業では、土砂災害危険箇所となっている小樽天神3丁目3などで崖崩れから地域住民を守る急傾斜地崩壊対策工を実施するとともに、岩谷の川やワッカタサップ川などで土砂災害の恐れのある渓流の保全や土砂災害から下流の人家などを守る砂防堰堤を整備します。
 海岸事業では、大川海岸や美谷海岸でなどで浸水・越波による浸食等の災害から人命、財産を守るため津波・高潮危機管理対策事業や高潮対策事業を進めます。
── 平成29年度予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取組をお伺いします
ワッカタサップ川(砂防)
有沢 後志地域は、豊富な地域資源を背景に、近年観光客も増加し、国内外から年間2千万人が訪れる本道の代表的な観光圏となっています。
 北海道横断自動車道余市小樽間の平成30年度供用開始に合わせ、道道小樽西インター線の整備を進めます。また、道道京極倶知安線の視距改良を行い、交通円滑化や物流ネットワークの機能強化を図ります。
 新幹線や北海道横断自動車道の供用効果を高めるため、新幹線新駅やインターチェンジと連結する地域交通網について、地元自治体などと検討を進めていきます。
 後志の漁村地域においては、漁業就労者の高齢化、水産物の市場価格の下落など水産業の低迷が続いており、安定した資源づくりや、経営体質の強化など、魅力的でやりがいのある地域産業としての取り組みが必要となっていることから、泊漁港などで漁業の基盤である漁港の整備を進めて行きます。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
大川海岸
有沢 住民の安全安心な暮らしを守るため、また、地域の経済や産業を支えるため、社会資本の整備は大変重要です。この社会資本を将来に持続していくには、災害に強い施設整備に加え、道路や治水施設の適切な維持管理や迅速な災害対応が必要であり、そのためには、地元に精通した建設業の皆様方の協力が不可欠で、民間や行政の力を結集しながら、地域の防災力を高めることが重要と考えます。
 小樽建設管理部では、小樽建設協会と災害時の連携・協力体制を組み、災害時の対応などを行っておりますが、今後とも地域の安全・安心のため、連携を強化してまいりたいと考えています。

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