建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2017年7月号〉
副局長インタビュー 空知総合振興局・石狩振興局
防災対策強化で安全・安心な地域社会形成と多彩な観光・食資源を活かす社会資本整備を推進
 |
空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局 副局長
阿部島 啓人 あべしま・ひろと |
|
昭和36年2月26日生、木古内町出身 |
北海道大学工学部土木工学科 卒業 |
平成20年4月 旭川土木現業所事業部 治水課長 |
平成23年6月 建設部土木局砂防災害課 主幹 |
平成24年4月 釧路総合振興局釧路建設管理部 事業室長 |
平成25年4月 建設部まちづくり局都市計画課 新幹線基盤支援担当課長 |
平成27年6月 渡島総合振興局副局長(建設管理部担当) 兼 檜山振興局副局長 |
平成29年4月 現職 |
|
- ── 本年度の事業進捗にあたり抱負をお聞かせください
-
阿部島 本道は人口減少や高齢化など地域の存亡に関わる状況に直面しています。
気候変動に伴い、自然災害が頻発化・激甚化し、昨年相次いで上陸・接近した台風の豪雨により、甚大な水害、土砂災害が発生しました。
札幌建設管理部管内でも、道市町で120箇所の土木施設災害が発生しました。
安全で安心して暮らせる活力に満ちた持続可能な地域社会の形成に向けた取組が必要だと考えています。
住民生活・地域産業を支え、安全安心を確保する社会資本の整備、適切な維持管理、長寿命化、リスク対応など、山積する課題に対して、限られた予算と限られた人員で、建設管理部としての役割を果たしていくことが重要です。
地域の声をよく聞き、ニーズを的確に捉え、ストック効果を考慮し、効果的な事業の推進に努めるとともに、オール北海道の動きを注視しながら、石狩・空知での取組を進めて行きたいと考えています。
- ── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
 |
文珠砂川線 災害復旧 |
-
阿部島 道路事業では、昨年度から、栗山町と長沼町を結ぶ恵庭栗山線の馬追橋の架け替え事業に着手しています。馬追橋は、地域の生活や産業を支える重要な橋ですが、老朽化が進行していることや大型車の円滑なすれ違いが困難なことから、安全で安心できる道路機能の確保を目的として事業を実施しています。
また、妹背牛市街地と深川市音江町の国道12号を結ぶ区間に位置する増毛稲田線の妹背牛橋の架け替えを進めています。妹背牛橋は、地域の生活や産業を支える重要な橋ですが、大型車両のすれ違いが困難なことや老朽化などが懸念されており、安全な道路機能を確保することを目的とした事業です。
街路事業としては、江別市の南大通大橋(仮)の架設を進めています。南大通は、江別市の中心と東部を連絡する幹線道路ですが、橋梁部が未整備のため、中心部と東部地区のアクセス路である国道12号や周辺道路に交通が集中し混雑している状況です。江別市の東部地域は水害を受けやすい地域であり、洪水時の大麻・野幌方面への避難ルートの確保が望まれています。本路線の分断を解消することにより、交通の混雑緩和や洪水時の避難ルートを確保することを目的とした事業です。
岩見沢市の3・4・10駅前通外1街路事業は、中心市街地活性化事業の一環として、地域の高齢化に備え電線地中化を行い、安全安心な回遊性の高い歩行環境を整備し、まちなか居住の促進を支援する事業です。
また、砂川市の文珠砂川線では、昨年8月に発生した災害の復旧工事を進めています。台風等による豪雨に伴い、道路山側斜面が大規模に崩壊して通行止めとなっていましたが、本年2月に仮設防護柵の設置が完了し、昼間の通行を確保したところです。現在も早期全面開通に向けて工事を進めているところです。
河川事業としては、札幌市内を流れる望月寒川において、市街地の浸水被害を防止するため、平成16年度から改修事業に着手し、今年度は放水路トンネル工事のシールドマシンによる掘削を実施しています。望月寒川は、住宅が密集する市街地を流れており、現況の河道を大きな拡幅に制約があるため、上流部において河川トンネルによる放水路の整備と、下流部の河道整備を併せて進めています。放水路は平成31年度の完成を目指しています。
また、平成24年9月の大雨により岩見沢市内で浸水被害が発生した利根別川では、新たに支川を含めた改修事業に着手しており、特に大きな被害が発生した支川・南利根別川の早期完成を目指した工事を進めています。
砂防事業としては、土石流等による被害が懸念される深川市内のオキリカップ支流川において、避難場所や国道12号などを保全するため、砂防設備の整備を進めています。
また、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等に係る基礎調査を実施しています。調査結果を公表するとともに、平成27年度から概ね5年を目途に基礎調査完了を目標とする国の基本指針に沿って、平成31年度の完了を目指すこととし、今年度は240箇所で基礎調査を行い、土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
- ── 平成29年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
整備事業の取組をお伺いします
 |
望月寒川トンネル呑口 |
-
阿部島 空知・石狩管内は、多彩な観光資源や美味しい食に恵まれているので、このような地域の価値向上に資する社会資本整備を進めていきたいと考えています。
道路事業として、道道美唄富良野線は、南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成する路線であり、物流の効率化や観光アクセスを向上させるため、未開通区間の道路建設、現道の拡幅及び地すべり対策などを進めています。平成29年度は、渓谷橋の下部工事、東美唄トンネルの掘削工事等を実施する予定です。
道道恵庭岳公園線は、恵庭市盤尻の国道453号から恵庭市街地へ続く路線で、落石崩落などの危険箇所を解消し、支笏洞爺国立公園内の観光ルートの安全な通行の確保を目指して整備しています。
- ── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
-
阿部島 建設産業は、地域住民の安全・安心な生活の確保、経済、産業を支える社会資本の整備において重要な役割を担っています。
また、災害時における復旧事業や防災・減災、老朽化対策、インフラの維持管理などの担い手として、その果たすべき役割はますます大きくなっているところです。
一方で、人口減少や高齢化が進行するなか、建設産業における人材の確保、技術の伝承が難しくなるなどの課題が生じているところです。
将来に渡って良好なインフラサービスを提供し、安全・安心な地域社会の形成、さらには地方創生を確かなものにしていくためには、建設産業が元気で魅力的であることが非常に重要だと考えています。
道としましても、人づくりや経営力強化に取り組む企業の積極的な支援に努めてまいりますので、建設業のイメージアップやインターンシップの拡充など、優れた技術者や技能者の確保・育成に努めていただくとともに、経済活動の基盤であるインフラ整備、維持管理などの地域の安全安心確保を担い、北海道総合計画の目指す姿である「輝きつづける北海道」の実現に向けた重要なパートナーとして、一層の力を発揮していただきますようお願いします。
|