建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年6月号〉

函館江差自動車道 木古内町 渡島トンネル木古内工区工事

 大成・田中特定建設工事共同企業体
 渡島トンネル作業所 所長
亀田 徹也

図-1 函館江差自動車道事業概要

 私たち大成・田中組特定建設工事共同企業体は、北海道開発局函館開発建設部発注の「函館江差自動車道 木古内町 渡島トンネル木古内工区工事」の施工を行っております。
 函館江差自動車道茂辺地木古内道路は,高速ネットワークの拡充による近隣都市間の連絡機能の強化を図り,地域間交流の活性化及び,重要港湾函館港,函館空港等への物流の効率化等を支援するとともに,函館圏における交通混雑の低減を図り,道路交通の定時性,安全性の向上を目的とした延長16.0kmの一般国道の自動車専用道路です。(図-1)
 渡島トンネルは北斗市と木古内町を跨ぐ全長2,518mの山岳トンネルであり、木古内工区工事はそのうち1,087mを担当しており、トンネル掘削はNATM工法発破掘削により建設されました。
 トンネル掘削工事は、平成27年3月に坑口付けを行い、切羽前方の地質状況や湧水状況の事前把握、ならびに掘削土対策(重金属含有 有・無)の判定を確認する目的で、水平調査ボーリング(φ66o、120m程度/回)を行いながら掘削を行いました。トンネル坑口部より930m付近において、水平調査ボーリング中に約2,000L/minの突発湧水が発生し、最大湧水圧力が1.2Mpaに達する「高圧湧水帯」にも直面しました。突発湧水により、トンネル掘削を一時中断せざるを得ない期間もありましたが、水抜きボーリングを多用しながら慎重に施工を行った結果、高圧湧水帯における切羽崩落等の事象も無く、平成28年10月に無事到達することができました。
 現在の工事進捗率は約94%程度であり、主たる残工事は坑門工(明かり巻き L=6.0m)と非常駐車帯区間の覆工コンクリート(L=62m)です。
 当工事では覆工コンクリートの養生については、特に力を注ぎ施工を行いました。コンクリート打設後の養生手法においては、鋼製型枠であるセントルを脱型してから7日間は当社開発の「覆工コンクリート給水養生システム キュアマイスター」(NETIS登録番号:HK-170002-A)を使用し保温・湿潤養生を行い、その後材令28日までは坑内湿度80%以上を保つために、車両型ミスト噴霧による湿潤養生を行いました。「覆工コンクリート給水養生システム キュアマイスター」については、特殊構造の養生マットを用いることで、トンネル天端部も含めてコンクリート表面を広範囲かつ均一に給水養生できる工法であり、コンクリートの耐久性や表面の美観もばらつきがなく、密実で綺麗なコンクリート構造物を施工できたと思っております。

 近隣への配慮としては、工事に関する進捗状況や所員の自己紹介を記載した「かわら版」を配布するとともに、意見や要望を拝聴しながら工事を進めています。また地元の野球チームへの参加・地域の花壇の整備や河川のごみ拾い活動も行い、地域の皆様と楽しく交流を図っています。
 竣工まであと残り少ない月日ですが、皆様に満足してもらえる「クオリティーの高いトンネル」を最後まで貪欲にやり続け、最後はたくさんの方々に「大成・田中ファン」になってもらえれるように努力してまいります。
 最後に、発注者である北海道開発局函館開発建設部の皆様をはじめ多くの関係各位のご指導・ご協力に深く感謝申し上げます。

覆工養生写真 坑外全景


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