建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年6月号〉

【ZOOM UP】

「地域とともにある学校づくり」実現へ3校統合の“函館市立巴中学校”を新築

―― 良好な学習環境整備と周辺と調和した一体感ある施設として平成30年4月開校

函館市立巴中学校校舎等新築事業



 巴中学校の新築事業については、少子化が著しく進行する現代社会において、生徒が集団の中で、多様な考え方に触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて、一人一人の資質を踏まえ、同時に、学校の生徒の教育のための施設であるだけはなく、地域コミュニティの核として、防災、地域の交流の場など様々な機能を併せ持っているという性格を考慮し、社会や地域と繋がった「地域とともにある学校づくり」の実現のため、市内中学校3校の統合校として建設が進められている。
 統合にあたっては、平成24年7月、凌雲中学校、光成中学校、的場中学校を含んだ中学校の再編について学校教育審議会へ諮問を行い、平成25年5月に審議会から、長中期的に安定した学校規模を保持するため、前述の3中学校を1校に統合することとし、統合校の位置については、現在の的場中学校の敷地とするとの答申を受け、平成30年1月末に竣工、同年4月に開校の予定となっている。
 的場中学校の校舎等は、昭和11年に建築され、老朽化が著しく、今後の耐用年数を考慮し、解体する方針で、基本設計、実施設計が進められた。
 また、校名については、凌雲中学校、光成中学校、的場中学校の関係者により組織された統合準備委員会にて校名候補の選考が行われ、平成28年1月開催の教育委員会において、函館市立巴中学校を選定した。


 建設にあたり、生徒にとってより良い学習環境を提供するため、また、地域に開かれた学校として、「人」「情報」「環境」をテーマに、周囲と調和して一体感のある明るく開放的な施設をつくるため、
@様々な学習形態を想定し、高機能かつ多機能で社会変化に対応し得る弾力的な施設
A地域住民の避難所としての施設機能も兼ね備えた安全・安心な施設
B誰もが安心して使用できるよう、バリアフリー化に対応した施設
C保護者や地域の人々とともに歩む学校を目指し、文化開放やスポーツ開放など、地域コミュニティの核となる施設
D環境に配慮し、省エネルギー化および地球温暖化対策を考慮した施設
E自校を含め、近隣の中学校へ学校給食を供給するため、2,000食規模の共同調理場を持つ施設 の6点を基本的な整備方針としている。
 具体的な施設の特色としては、L字形の校舎に屋内運動場と共同調理場を機能的かつ一体的に配した平面計画となっており、周辺は緑豊かで良好な住環境の中にあることから木質を活かした優しく落ち着いた外観とした。
 また、図書室前のウッドデッキテラスは、屋外ステージとしての利用も可能で、屋外での様々な学校活動やイベントなどにも活用できるよう人が集まりやすい環境の創出を図ることとした。
 屋内については、特別支援教室および普通教室を南側に配置し、廊下面には道南杉等の道産木材を積極的に取り入れるなど明るく快適な学習環境の整備に努めている。
 そのほか、1階の職員室を生徒の登下校や来校者の状況に加えて、グラウンドでの活動の様子も視認できる配置にすることで安全・防犯面にも配慮したほか、2階から屋内運動場を見渡せるガラススクリーンのギャラリーを設けるなど、一体感のある開放的な学校施設の整備を目指している。


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