建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年6月号〉

急がれる「8の字ネットワーク」の構築

―― 主要路線整備に全力で取り組む

 国土交通省 四国地方整備局
 土佐国道事務所 所長
 土肥 学


 四国8の字ネットワークは、四国四県を結ぶ高速道路ネットワークのことで、地域経済の活性化、日常の安全・安心な暮らしを支えるとともに、今後、想定される南海トラフ地震などの災害時に人命救助や緊急物資の輸送など重要な役割を担う「命の道」として整備を進めています。
 私たち土佐国道事務所は、四国8の字ネットワーク形成を目的とした高知東部自動車道・阿南安芸自動車道の整備をはじめとし、渋滞対策、交通安全対策、防災対策、修繕代行を進めています。この他、高知県内の一般国道32号、33号、55号、56号(高知市〜中土佐町)、四国横断自動車道(須崎西IC〜四万十町中央IC)を管理しており、総延長は約335qになります。
 主な事業としては、現在、整備を進めている高知東部自動車道を構成する一般国道 55号高知南国道路・南国安芸道路と、阿南安芸自動車道を構成する一般国道 55 号安芸道路、そして一般国道 33号の高知西バイパス、越知道路、橘防災です。

1.高知南国道路・南国安芸道路

 高知東部自動車道は、高知市〜安芸市を結ぶ約36qの一般国道の自動車専用道路であり、四国横断自動車道と一体的に機能することにより、高知県東部地域と高知市との広域的交通の高速性、安全性を確保するとともに、現道国道沿線地域の生活環境の改善、地域活動の活性化などが期待されています。
 このうち、高知市から南国市の約15.0q間は、一般国道55号高知南国道路として整備を進めており、平成27年3月に高知南IC〜なんこく南IC間延長4.7qが開通。平成28年4月になんこく南IC〜高知龍馬空港IC間延長4.1qが開通し、並行する国道の渋滞緩和や高知龍馬空港への時間短縮等のアクセス向上、沿線への企業立地などのストック効果の発現が見られます。
 残る高知JCT〜高知南IC間延長6.2qについては、平成32年度の開通を目指し工事を推進しています。
 南国市から安芸市の約21.0q間は一般国道55号南国安芸道路として整備を進めており、平成26年3月までに香南のいちIC〜芸西西IC間延長9.0qが開通し、安芸市から高知市内の第三次救急医療施設への所要時間の短縮や現国道55号の渋滞緩和、交通事故の減少に効果を発揮しています。
 残る高知龍馬空港IC〜香南のいちIC間延長3.5q及び芸西西IC〜安芸西IC(仮称)間延長8.5qについても調査設計、用地買収及び工事を推進しています。なお、高知東部自動車道の整備にあわせ、津波浸水の際に周辺住民が避難できる施設を整備しています。

2.安芸道路

 一般国道55号安芸道路は、地域高規格道路 阿南安芸自動車道のうち安芸市伊尾木から安芸市馬ノ丁(高知東部自動車道終点)までをつなぐ延長5.8qの自動車専用道路です。南海トラフ地震における緊急輸送道路の確保と共に高知東部地域の高速ネットワークを形成し、第三次救急医療施設への所要時間の短縮、安芸市街地部の渋滞緩和などが期待されています。

3.高知西バイパス

 一般国道33号高知西バイパスは、高知市から吾川郡いの町における交通渋滞の緩和、路面冠水の解消及び交通安全の確保を目的とした延長9.8qの道路で、平成9年12月までに高知市鴨部〜いの町枝川間延長4.3qを開通。平成24年12月に天神IC〜鎌田IC間延長1.1qを開通。平成28年3月に枝川IC〜天神IC間延長2.9qを開通しています。
 残る鎌田IC〜波川間1.5qについては、平成32年度の開通を目指し、工事を推進しています。

4.越知道路

 一般国道33号越知道路は、地域高規格道路 高知松山自動車道の一部で、高岡郡越知町における事前通行規制区間のうち線形不良区間の解消及び地すべり地の回避を目的として計画された延長4.0qの道路です。3工区野老山地区については、平成8年度から事業に着手して、平成19年6月に開通しています。2工区越知地区については、平成20年度から事業に着手しており、調査設計、用地買収、工事等を推進しています。

5.橘防災

 一般国道33号橘防災は、高知・愛媛県境付近に位置する災害危険箇所を回避することを目的として計画された延長2.0qの道路です。平成10年度から事業に着手しており、平成30年度の供用に向けて、工事を推進しています。

6.修繕代行事業(大渡ダム大橋)

 修繕代行事業として、高知県仁淀川町の大渡ダム大橋の修繕を実施しました。地方自治体への支援策として、緊急かつ高度な技術力を要する「大渡ダム大橋」について、仁淀川町からの要請を受け、平成26年度に全国初の「直轄診断」を実施しました。この「直轄診断」の結果を受けた仁淀川町から修繕代行の要請があり、「国による修繕代行」として、翌年度より事業着手し、平成28年度末に修繕が完了しました。今後とも地方自治体への直接的な支援に努めてまいります。


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