建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年5月号〉

【ZOOM UP】

繰り返される洪水と渇水の歴史に終止符を

―― 多目的の河内川ダムで地域の暮らしを守り産業を支える

福井県 嶺南振興局 河内川ダム建設事務所


下流よりダムサイト(平成29年3月29日撮影)

 福井県は、河内川に多目的ダムとなる「河内川ダム」の建設を進めている。河内川は福井県三方上中郡若狭町に位置し、その源を福井・滋賀県境の駒ケ岳(標高780m)に発し、山間部をほぼ北流しながら流下して、若狭町熊川地先で北川本川に合流する、流域面積16.3km2、流路延長6.4qの一級河川である。
 北川水系では、昭和28年、昭和34年、昭和40年、昭和47年、昭和57年、平成16年と、幾多の水害に見舞われてきた。最近では平成25年の台風18号により浸水被害が発生するなど、十分な治水安全度を有しているとはいえない。
 その一方で、昭和53年、平成2年、平成6年には干ばつにより大きな被害を受けた。特に、平成6年夏には若狭地方において異常渇水が発生し、長時間にわたり上水道の断水による取水制限が行なわれるなど、多大な被害が発生した。
 河内川ダムは、こうした問題を解決するため、北川、河内川における洪水調節、流水の正常な機能の維持、特定かんがい用水、水道用水、工業用水の確保を目的とした多目的ダムとして建設されることになった。
 洪水調節としては、ダム地点における計画高水流量250m3/sのうち、180m3/sの洪水を調節し、放流量を70m3/sとすることで下流域の水害を低減する。
 流水の正常な機能の維持のため、下流の既得用水の補給や河川環境の保全に必要な水量を確保する。
 特定かんがい用水として、鳥羽川流域の水田へ最大0.36m3/sのかんがい用水を確保する。
 水道用水としては、若狭町へ2,592m3/日(0.03m3/s)、小浜市へ12,960m3/日(0.15m3/s)の水道用水を確保する。
 工業用水としては、若狭町の若狭中核工業団地へ1,728m3/日(0.02m3/s)の工業用水を確保する。
 ダム形式は重力式コンクリートダムで、堤高は77.5m、堤頂長は202.3m、総貯水容量は8,000,000m3の規模となる。
 工事は現在、ダムの本体工事、付替道路の整備工事に着手しており、平成31年度の完成を目指している。

平面図
標準断面図


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