建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年4月号〉

【TOPICS】

2017年度北海道開発予算は総額5464億円で5年連続増額に北海道開発事業費は前年比0.9%上回る5363億円を計上

―― 基幹産業「食」「観光」を基軸に人流・物流ネットワーク強化や空港・港湾機能整備で戦略的産業振興を目指す

2017年度 北海道開発予算

はじめに

 2017年度政府予算案は一般会計の総額は昨年比0.8%増の97兆4547億円で、過去最大の予算案が国会上程され年度内成立となった。また、2016年度の第三次補正予算も本予算に先立ち成立した。
 この中で、北海道開発予算は5464億円で5年連続の増額となったが前年比0.9%の微増にとどまった。内、一般公共事業費にあたる北海道開発事業費は5363億円となっている。

2017年度北海道開発予算案

 2017年度の北海道開発事業費5363億円の主な内訳は、治山治水事業で944億円(前年比0.5%増)、道路整備事業で1955億円(0.4%増)、港湾空港鉄道等で277億円(2.0%増)、農林水産基盤整備1141億円(2.3%増)の計上となっている。また、2016年度第3次補正予算から北海道開発事業費として今夏の台風災害による公共土木施設等の復旧対策費915億円が計上されている。 主な事業
 2016年4月にスタートした北海道開発計画(2016年度〜25年度)は「人が輝く地域社会の形成」「世界に目を向けた産業振興」「強靭で持続可能な国土形成」を重点項目に据え、北海道の強みである「食」「観光」関係分野等における成長・活性化の流れを伸ばすとの計画で「世界の北海道」をキャッチフレーズとしている。2年目の今年も「食と観光」の戦略的産業振興を基軸とした事業計画を推進することになる。
 主な事業事項では、人的・物的ネットワークの活用を支える交通基盤整備として、高規格幹線道路の北海道横断自動車道網走線(陸別町小利別〜訓子府)、日高自動車道(日高門別〜厚賀)の2017年度開通に向けた整備事業を推進する。
 港湾空港事業では、世界水準の観光地の形成として外国人観光客の受け入れ機能強化で千歳空港国際線ターミナルから滑走路までの航空機誘導路増設、駐機場拡充や函館空港の機能強化事業を継続し国内外の航空ネットワーク強化を図る。釧路港では貨物輸入拠点とする国際物流ターミナル整備や石狩湾新港の物流ターミナル事業を促進する。
 農業水産基盤整備として、ほ場の大区画化、暗渠、かんがい排水等の農地整備推進で、農業生産効率や付加価値の向上と災害に強い農業を目指す。
 治水事業では、石狩川、十勝川、天塩川等での治水対策を進め、昨年夏の台風による甚大な被害災害から再防止事業を強化する。また、千歳川遊水地整備の継続で、農業基盤整備を進め地域農業の生産性を支える。 水産基盤整備で漁港の防災対策として羅臼漁港等の岸壁耐震・津波対策や室蘭港、厚岸漁港等で港湾・漁港施設の老朽化対策やを進める。また、胆振海岸侵食対策を推進する。
 今年度予算は、北海道の「食」「観光」産業振興を基軸に人流・物流の交通ネットワーク整備として、道路・農業・水産整備事業や港湾・空港整備等で国内外の観光者の受け入れ態勢の整備事業が重要視されている。また、昨年8月台風による道路、河川、農業等の被害による復興事業として2016年度第3次補正予算が充てられる。
 多発する自然災害から地域を守る強靭な国土形成が喫緊の課題となっている。その中で、インフラ整備整備をはじめ災害時の復旧・復興事業の担い手として不可欠な建設業が健全で安定した経営基盤確立も重要となっている。北海道経済の活性化と地域振興に向けた補正予算並びに本予算の迅速な執行が望まれる。



HOME