建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年3月号〉

「丸山ダム」から「新丸山ダム」へ

―― いよいよ建設スタート!

 国土交通省 中国地方整備局
 新丸山ダム工事事務所 所長
 川瀬 宏文

建設が進む付替道路(県道井尻八百津線)の橋梁工事(手前:新小和沢橋(仮称)、
奥:第2小和沢橋(仮称))や、工事用道路工事【H29.1撮影】

1.はじめに

 木曽川の中流部、河口から約90km地点に位置する丸山ダム。昭和18年に着工されたが太平洋戦争の影響で一時中断、昭和26年に本格的に再着工し、29年に竣工した。戦後の電力不足と洪水の頻発に対応するため、発電と洪水調節を目的としている。我が国初の100m級の大ダムで、大型機械を用いて施工され、後の大ダム建設に技術革新をもたらした。
 木曽川は鉢盛山(標高2,447m)に源を発し、長野、岐阜、愛知、三重県の4県を流下、伊勢湾に注ぐ延長229kmの大河である。
 過去から幾度も氾濫を繰返してきたが、昭和58年9月には、台風10号により、岐阜県美濃加茂市等に甚大な被害を及ぼした。
 新丸山ダムは、この洪水を契機として昭和61年度から建設事業に着手している。

現丸(航空写真)と新丸(CG)の比較

2.事業概要

ダム容量配分図とダム諸元

 丸山ダムは集水面積が2,409km2で、木曽川の流域面積5,275km2の約半分もあり、下流への調節効果が絶大な地点に建設されている。
 新丸山ダム建設事業は、丸山ダムを再開発(嵩上げ)し、洪水調節及び発電の増強と河川環境の保全を目的としている。
 ダム形式は重力式コンクリートダムで、丸山ダムの下流47.5mの位置に、高さ118.4m(20.2m嵩上げ)、総貯水容量約1億3千万m3、有効貯水容量約9千万m3であり、特に洪水調節容量は現ダムの約3.6倍である。
 総事業費は約2,000億円、平成41年度の完成を目指している。

3.事業進捗状況と工事の特徴

 平成4年に用地買収に着手し、平成14年に水没等家屋49戸の移転を終えている。現在、付替道路は約65%、工事用道路は約90%の進捗状況である。
 丸山ダムは大規模発電と洪水調節という重要な機能を有しているため、新丸山ダムの施工は、現ダム機能を維持したまま行う必要がある。 平成28年9月からダム本体工事の前段となる転流工工事に着手している。転流工はダム本体を施工するために川の水を迂回させるトンネル水路であるが、貯水位を下げられないので、呑口部にゲートを設置し、トンネルも急勾配な構造となっている。
 また、丸山ダム下流にある管理所を新丸山ダム本体工事前に移設するため、新管理所の整備も進めている。

4.おわりに

 新丸山ダムは、大河川本川に位置するダムの再開発事業であり、技術的な課題も多い。丸山ダムが果たした役割を受け継ぎ、今後のダム再開発に資する技術開発を行って行きたい。
 また、同時にダム建設に協力していただいている地元地域の振興や流域の発展のために貢献できることを、共に考え、実施していきたい。

丸山ダムと建設中の転流工イメージ図


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