建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年3月号〉

山陰道「鳥取西道路」と中国横断自動車道姫路鳥取線を重点整備

―― 日本海側に骨太の道路ネットワークを構築

 国土交通省 中国地方整備局
 鳥取河川国道事務所 所長
 田宮 佳代子


 鳥取河川国道事務所は鳥取県の東部に位置し、国道9号の鳥取県岩美郡岩美町蒲生〜東伯郡湯梨浜町小浜(60.5q)、国道29号の兵庫県宍粟市波賀町戸倉〜鳥取県鳥取市秋里(49.2q)、国道53号の岡山県勝田郡奈義町馬桑〜鳥取県鳥取市西町(46.6q)、及び鳥取自動車道の兵庫県佐用郡佐用町口長谷〜鳥取県鳥取市本高(61.8q)の計218.1qを整備・管理しています。
 このうち、改築事業として、特に重点的に整備を進めているのは、山陰道「鳥取西道路」(延長19.3q)と鳥取自動車道(付加車線)の整備です。
 山陰道「鳥取西道路」に並行する国道9号は、鳥取県を東西に結ぶ唯一の主要幹線道路であり、朝夕及び観光シーズンには深刻な交通渋滞が発生しています。
 また、当該区間は国道9号が唯一の主要幹線道路であり、大きな事故や災害等(写真[1]参照)が発生した場合、日常生活はもとより、地域の経済活動に多大な支障をきたしています。
 鳥取西道路は、緊急時の代替路線の確保、国道9号の渋滞緩和、観光・医療・物流活動を支援するとともに、山陰地方における高規格幹線道路網の一部を形成する路線で、広域交流の促進及び地域活性化に寄与する自動車専用道路です。
 平成25年12月に鳥取IC〜鳥取西ICまでの延長1.8kmが開通しており、残る鳥取西IC〜青谷ICまでの延長17.5kmについては、平成30年までの全線開通を目指し、事業を推進しています。
 また、鳥取県東部地域では、鳥取自動車道の全線開通や鳥取西道路の開通を見据え、企業進出が増加傾向(グラフ[1]参照)であり、新たな工業団地整備に向けた検討が本格化するなど、鳥取西道路の整備により、企業進出の促進、雇用の場の創出が図られ、地域活性化が期待されています。
写真[1] 国道9号における立ち往生車両の発生状況

 中国横断自動車道姫路鳥取線は、兵庫県姫路市を起点とし、鳥取県鳥取市に至る延長約86kmの高速自動車国道であり、鳥取自動車道はその一部を担う路線です。この路線は、山陽・山陰及び中国地方の山地沿いの地域を山陽自動車道・中国縦貫自動車道と連結しながら一体的に結び、輸送時間の短縮、沿線地域の産業や経済・生活・文化の発展を図ることを目的としています。
 この路線のうち、兵庫県佐用郡佐用町〜岡山県英田郡西粟倉村間(L=19.2km)及び智頭町〜鳥取市間(L=24.7km)は、日本道路公団(平成17年10月1日、民営化により西日本高速道路株式会社)が施行主体となって整備されてきましたが、平成15年12月に開催された第1回国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、新直轄方式により国土交通省が整備することになりました。
図[2] 山陰道の整備による時間短縮効果

 鳥取自動車道の区間は、平成21年3月に鳥取県内の智頭IC〜河原IC(L=15km)が、平成22年3月には兵庫県〜岡山県内の佐用JCT〜大原IC(L=10.9km)及び鳥取県内の河原IC〜鳥取IC(L=9.7km)が開通し、平成25年3月に岡山県内の大原IC〜西粟倉IC(L=8.8km)開通により、全線開通しています。
 なお、岡山〜鳥取県内の西粟倉IC〜智頭IC(17.9km)については、一般国道373号志戸坂峠道路(自動車専用道路)として整備を進め、平成20年3月までに開通しています。
 しかし、トンネルの連続する区間やインターチェンジ部の合流部などで、速度低下が発生しており、走行性や安全性の向上を図るため、付加車線の設置工事を推進しています。
 このほか、交通安全事業として、国道9号では岩井温泉入口交差点や小沢見交差点(平成28年8月完成)の改良事業を進め、国道29号でも西御門自転車歩行者道の整備を推進しており、鳥取市の中心市街地を通過する国道53号では、栄町電線共同溝の整備に着手しています。また、道路施設の定期点検及びその結果に基づく橋梁、トンネル等の計画的な修繕、緊急輸送道路の防災・震災対策等を実施しています。
 鳥取河川国道事務所で実施している道路事業については、地元の皆様のご協力を頂きながら、関係機関と連携しつつ、早期にストック効果が発揮されるよう取り組んで参ります。

グラフ[1] 鳥取市の誘致企業数と従業員数の推移


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