建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年2月号〉

年頭所感

激甚化する災害対策と北海道の戦略的産業「食」「観光」を支える交通ネットワークの整備推進

国土交通省 北海道開発局 旭川開発建設部
部長 伊藤 丹


 新年あけましておめでとうございます。平成29年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。皆様には日頃から旭川開発建設部の事業推進に格別のご支援ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年は、相次ぐ台風の来襲等により、河川、道路、農業用施設などに甚大な被害が生じました。管理施設の点検・巡視、被災箇所の迅速な復旧など、関係業界の皆様におかれましては多大なご支援ご協力をいただき、深く感謝申し上げます。管内の直轄河川では、住宅や農地の冠水被害の他、石狩川水系辺別川の堤防が一部流出する被害が発生するとともに、主要な国道が長期間に渡り通行止めとなるなど、国民の生活及び社会・経済に大きな影響が生じました。
 一方、ダムの洪水調節効果による河川水位の低減、砂防施設による土石流発生の防止、あるいは、旭川紋別自動車道が東西の交通ネットワークとして重要な機能を果たすなど、これまで営々と培ってきた社会資本整備の効果を再認識したところです。
 ますます激甚化する災害に対し、今後ともリエゾン等による迅速な情報共有化、TEC−FORCEによる技術支援、災害対策機材の派遣等を通して、自治体とも連携しながら災害に強い地域づくりに取り組んでまいります。
 さて、昨年3月には8期目となる「新たな北海道総合開発計画」が策定されました。人が輝く地域社会の形成、世界に目を向けた産業の振興、強靱で持続可能な国土の形成を目標とし、「食」と「観光」を北海道の戦略的産業にして、農林水産業や観光等を担う「生産空間」を支えるなど、「世界の北海道」の実現を目指し、開発事業を展開してまいります。
 治水事業では、石狩川上流において旭川市街部の河床低下対策のほか、堤防整備や河道掘削、堤防天端保護、支川ウッペツ川の合流点処理である水門整備を実施します。天塩川上流では美深地区で河道掘削及び堤防整備等を実施し、引き続き治水安全度の向上を図ります。砂防事業では、十勝岳の前回噴火から29年が経過し噴火の逼迫性が高まっていることから、堰堤の改築及び除石等の融雪型火山噴火泥流対策により災害に備えるほか、層雲峡地区では、層雲峡小学校の沢において遊砂地整備による土砂災害防止の取組を進めます。天塩川の洪水調節や水道用水の供給、水力発電等を目的として下川町において建設を進めているサンルダムは、本格的な施工を迎えており、平成30年度完成に向けて鋭意促進します。
 道路事業では、北海道の幹線道路網の骨格となる北海道縦貫自動車道「士別剣淵〜名寄」や一般国道40号「音威子府バイパス」、旭川十勝道路「富良野道路」、「富良野北道路」等の整備を推進します。特に、観光期における渋滞緩和、観光地へのアクセスや周遊性向上が期待される「富良野道路」については、旭川空港国際線ターミナル拡張にあわせ、平成30年度開通を目標に事業を進めます。また、一般国道39号「比布大橋架替」を推進するほか、橋梁・トンネル等の道路構造物の適切な維持管理のため、点検修繕等の老朽化対策等を実施します。
 農業事業では、北海道の米生産の約3割を担う当部管内において、高齢化に伴う離農等により農家戸数が減少する中、大規模で効率的な農業を展開するための大区画ほ場等の基盤整備に取組みます。具体には、国営緊急農地再編整備事業「北野地区」などの事業推進を図るとともに、昨年度事業着手となった国営緊急農地再編整備事業「愛別地区」、「大雪東川第一地区」が本格的に着工するほか、「旭東東神楽地区」の事業着手の要求及び「大雪東川地区」、「旭東地区」などの調査を推進します。
 観光面では、観光庁に認定された広域観光周遊ルート「日本のてっぺん。きた北海道ルート。」及び「アジアの宝
 悠久の自然美への道
 ひがし北・海・道」を踏まえ、地域資源や河川・道路インフラを活かしたサイクルツーリズムの振興に向けて、市町村やシーニックバイウェイ活動団体とも連携しながら取り組みを進めます。
 今後とも、地方自治体や地域の多様な主体と密接に連携を図り、特色ある地域資源を活かし、上川地域の発展に貢献できるよう事業を進めてまいります。
 結びに、皆様のご健勝と益々のご活躍を心から祈念し、新年のご挨拶といたします。

伊藤 丹 いとう・あかし
昭和36年1月19日生
昭和60年 3月 北海道大学大学院修了
昭和60年 4月 北海道開発庁採用
平成7年 6月 北海道開発局石狩川開発建設部幾春別川ダム建設事業所長
平成9年 4月 同 室蘭開発建設部沙流川ダム建設事業所長
平成11年 4月 北海道開発庁水政課開発専門官
平成13年 4月 北海道開発局石狩川開発建設部岩見沢河川事務所長
平成15年 7月 近畿地方整備局企画部環境審査官
平成16年 4月 同 環境調整官
平成17年 7月 北海道開発局建設部河川工事課河川技術対策官
平成19年 6月 同 網走開発建設部次長
平成21年 7月 同 建設部河川管理課長
平成23年 4月 同 開発監理部開発環境課長
平成24年 7月 独立行政法人土木研究所寒地土木研究所 寒地水圏研究グループ寒地河川チーム上席研究員
平成26年 4月 北海道開発局留萌開発建設部長
平成27年 7月 北海道開発局旭川開発建設部長

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