建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年2月号〉

年頭所感

年頭所感

国土交通省 北海道開発局
局長 今 日出人


 明けましておめでとうございます。新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年を振り返りますと、8月に3つの台風が北海道に上陸し、甚大な被害が発生しました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 なお、通行止めが続く国道274号日勝峠においては、平成29年秋頃の開通を目指し、冬期であっても可能な復旧工事を進め、早期復旧に向けた取組を進めます。
 さて、「世界の北海道」をキャッチフレーズとする第8期目の北海道総合開発計画が昨年3月に閣議決定され、その2年目に当たる本年は、引き続き、北海道の強みを活かすことができる農林水産業・食関連産業、観光を戦略的産業として振興を図り、また、食や観光を担う「生産空間」の生活機能維持や人口対流の促進にも取り組んでまいります。
 このため、高規格幹線道路ネットワークの整備や国際バルク戦略港湾である釧路港の整備のほか、農地の大区画化等による農業生産力の向上を図り、水産物の流通・生産力強化、漁港の高度衛生管理対策等による水産物の輸出促進を図る取組を進めています。また、国際線旅客需要等に対する新千歳空港国際線ターミナル地域再編事業を実施するとともに地域活性化に資する水辺環境づくりや「シーニックバイウェイ北海道」の促進などの観光地づくり、インバウンドの受入環境整備に取り組んでおります。そのほか、「人こそが資源」と捉え、「北海道価値創造パートナーシップ」活動を展開するなど、地域づくりの人材育成にも取り組んでいます。
 併せて、アイヌ文化の復興等を促進するための「民族共生象徴空間」について、2020年の一般開放に向け、関係機関や地元と連携しながら整備を進めているところです。
 先ほど申し上げましたとおり、昨年は、8月に3つの台風が北海道に上陸するというかつてない事象が発生し、「生産空間」が担う食料の供給等に関しても、甚大かつ長期的な被害がもたらされました。
 これに対し、大きな被害を受けた河川を中心に、「北海道緊急治水プロジェクト」による緊急的な対策を実施するとともに、「平成28年8月北海道大雨激甚災害を踏まえた水防災対策検討委員会」での議論を踏まえ、今後の水防災対策に反映してまいります。
 北海道について見ると、近年、暴風雪などの激甚化のみならず、積雪時における高潮の発生といった複合的な災害が発生しており、水災害、地震、津波などへの対応のみならず、積雪寒冷地特有の対応が必要となっています。このため、治水対策はもとより、津波・高潮対策や広域交通ネットワークの整備、豪雪対策、土砂災害防止、自治体への支援などの総合的な防災・減災対策を講じ、関係機関と連携しながら、災害に強い国土づくりを進めてまいります。
 加えて、社会資本ストックの老朽化が急速に進行しており、防災・減災対策と併せて計画的な補修・更新による予防保全対策を実施し、メンテナンスサイクルの構築、発展を図ります。
 インフラ整備・維持補修はもとより、災害復旧においても不可欠な存在である建設業者の方々が、その役割を十分に発揮できるよう、人口減少下にあっても担い手の安定的な確保・育成等の取組を推進する必要があります。このため、品確法等の担い手3法を着実に推進するとともに、人口減少を上回る生産性の向上を図り、経済成長を持続させるため、本年を「生産性革命」を前進させる1年と位置づけ、建設現場の生産性向上のためのi-Construction等のより一層の推進を図ってまいります。
 現場力は国土交通行政の底力です。私どもはもとより、現場の担い手の方々を含め、経験や技術力、総合力という強みを最大限に発揮し、災害時などにおいて、官民連携の上で地域の声に耳を傾けながら、我が国全体の発展に貢献するとともに、人々が豊かな暮らしを送ることができる地域社会を形成するため、全力を尽くしてまいります。
 最後になりますが、皆様方の御健康と益々の御活躍を御祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。


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