建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年1月号〉

地域の暮らしと安全を支える港づくり

 国土交通省 四国地方整備局
 松山港湾・空港整備事務所 所長
 平野 智

1.はじめに

 松山港湾・空港整備事務所が管轄する愛媛県は、松山港・今治港・新居浜港・東予港・三島川之江港・宇和島港の重要港湾6港を含め、51港の港湾を有し、また海岸線延長は約1,716kmであり、どちらも全国5位であり、全国的に見ても屈指の港湾・海洋県です。このうち、松山港及び東予港において直轄での整備事業を実施しています。

2.松山港の概要

 松山港は愛媛県の中央部に位置し、古くは松山藩の藩港として利用され、港を形作っていきました。明治以降は大阪との間で汽船が運航される等、商業港として発展し、戦前には石油精製工場が立地、戦後は防波堤や浚渫工事により外港がつくられ臨海工業地帯が形成され工業港としても発展していきました。
 現在は、臨海部に立地する製造業等の物流拠点として、さらには、旅客船やフェリーによる中国地方・九州地方との人流拠点として重要な役割を果たしています。このような中、松山港外港地区国際物流ターミナル整備事業は、松山港背後圏における新たな貿易・流通拠点としての役割を担う目的で平成8年10月から現地工事に着手し、このうち岸壁(-10m)は平成13年に供用開始しています。平成28年11月時点で外内貿定期コンテナ航路が週12便就航しており、地域経済を支える拠点港として重要な役割を担っています。
 また岸壁(-13m)、泊地(-13m)及び用地造成等の整備を行っており、平成29年度の施設利用開始を目指しています。本事業の完成によって、他港からトラックや内航船で二次輸送していた石炭が、松山港に直接輸入することが可能となります。

3.東予港の概要

東予港中央地区全景

新たな物流ルート

 東予港は愛媛県の瀬戸内側中央部に位置し、東港、西条、中央、壬生川及び河原津の5地区から成っています。現在事業を行っている中央地区(壬生川港)は遠浅の海岸が続いており船舶の利用が少なかったが、昭和8年に繊維工場が立地し、本格的な港湾整備が行われるようになりました。一方、明治35年には内海定期船航路の寄港がはじまり、大正初期には大阪・門司航路が開かれ徐々に発展していきました。昭和39年には東予市が「東予新産業都市」に指定され、隣接する西条港(西条地区)とともに東予港として重要港湾に指定されました。
 東予港は四国で唯一、大阪港とのフェリー航路が毎日就航しており、四国地域をはじめ、西日本各地の産業・経済活動に必要不可欠なフェリー貨物の物流拠点として機能しています。また、一部のフェリー貨物は、阪神港を経由して海外へ輸送されており、国際コンテナ戦略港湾への集貨としても重要な役割を担っています。このような中、利用船舶の大型化や取扱貨物量の増加に対応するとともに、大規模地震発生時の緊急物資輸送拠点を確保するため、東予港中央地区において、耐震強化岸壁を有する複合一貫輸送ターミナルの整備が平成26年度に事業採択され、平成27年度から現地着手、平成30年春の大型船就航に向けて整備工事が本格化しているところです。
 東予港の整備により阪神地区から東予港、高速道路を経由して八幡浜港から九州への新たな物流ルートが形成され、より多様な人・物の動きが進み愛媛県はもとより四国地域の発展に寄与すると考えています。

4.おわりに

 以上、当事務所の現在の主要事業を紹介して参りましたが、今後とも地域や利用者の方のご意見に耳を傾け、そのニーズに応えられるよう取り組んでまいります。

東予港岸壁(-7.5m)施工状況


HOME