建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年1月号〉

日高自動車道 日高町 豊郷トンネル工事

現場代理人の目「建設現場の最前線から」北海道開発局 室蘭開発建設部

 熊谷・宮坂特定建設工事共同企業体
 豊郷トンネル作業所 所長
 望月 克則


豊郷トンネル位置図(出典:北海道開発局HP)

掘削状況

 私たち熊谷・宮坂特定建設工事共同企業体は、北海道開発局室蘭開発建設部発注の日高自動車道日高町豊郷トンネル工事の施工を行っています。日高自動車道は、北海道縦貫自動車道苫小牧東ICから分岐し、浦河町に至る延長約120qの一般国道の自動車専用道路で、本路線は、北海道縦貫自動車道と一体となり、主要都市である札幌市や苫小牧市と日高地方を結ぶ高規格幹線道路網を形成し、主要都市へのアクセス向上、災害時の緊急輸送ルートの強化が期待されています。
 トンネルの地質は泥岩と河床堆積物でハンマーで容易に砕ける程度の硬さで固結度が低く、トンネルの最大土被りは約27mで最小土被り約4mとなっています。
 トンネル掘削は、自由断面掘削機による上半先進ショートベンチ工法で行いました。トンネル直上部では競走馬を放牧しているので、切羽崩落による地表面陥没や大規模な地表面沈下を発生させることはできません。そのため掘削の工夫として、リングカット(核残し)や鏡吹付けを行うと共に、陥没や沈下を事前に予測するため、レーザー距離計による切羽面の変位測定とトータルステーションによる自動坑内変位測定を行い、平成27年2月の掘削開始以来、地表面の変化も無く、13ヶ月後の平成28年3月に貫通できました。

 覆工コンクリートは、鋼製型枠を脱枠するまでの養生と時間及び脱枠後の養生がコンクリートの品質に大きな影響を与えます。脱枠までの養生は、セントルバルーンによる外気の遮断で対応し、必要に応じて加熱を行いました。脱枠時間管理は、積算温度システムを導入して行い、脱枠後の養生は、「アクアカーテン」で材齢28日までの保湿を行いました。覆工コンクリートは、平成27年3月に開始し、平成28年11月に坑門工も含めて良好な状態で完了しました。
 工事開始前に地元の方々にご挨拶に伺った折に、トンネルはどうやって掘るのか等質問を沢山いただいたので、見学会を開いて喜んでいただきました。また、毎年土木の日の見学会を実施しています。
 竣工まであとわずかですが、皆様に喜んでいただけるように、良い品質を追及し、継続している無事故で工事を完成させるように努力してまいります。

土木の日の記念写真(坑口)


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