建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2017年1月号〉

旭川十勝道路 富良野市 北の峰トンネル工事

現場代理人の目「建設現場の最前線から」北海道開発局 旭川開発建設部

 鹿島・三井住友・荒井特定建設工事共同企業体
 北の峰トンネル工事事務所 所長
 成田 望


 鹿島・三井住友・荒井特定建設工事共同企業体は、北海道開発局旭川開発建設部発注の「旭川十勝道路富良野市北の峰トンネル工事」の施工を行っております。
 旭川十勝道路は、旭川市から占冠村までを結ぶ総延長120kmの地域高規格道路です。北海道縦貫自動車道及び北海道横断自動車道と接続し、北海道における広域交流ネットワークを形成し、交通の円滑化、地域連携の強化、ヒト・モノの流れの活発化に寄与する路線となります。
 私たちが施工を行っている富良野市は、北海道のほぼ中心に位置し、ラベンダーに代表される四季折々の風景や、農産物・ワインなどの特産品、毎年恒例の北海へそ祭りなど豊富な観光資源を有する道内屈指の観光地です。
 現場周辺は、富良野盆地の西にそびえ立つ夕張山地の丘陵地であり、広大な森林や豊富な地下水を有し、トンネル周辺の井戸水は生活用水や畑作等に利用しているため、地下水位に特に注意を払う必要がありました。また、既往調査により活断層や被圧帯水層も確認されていたことから、脆弱な地山に対する安定性の確保や大量湧水発生にも配慮が必要とされていました。
 そのため、地下水位低下対策が必要となる一部区間では、ウォータータイト構造(非排水構造)が採用され、トンネル形状は、完成後の復水による水圧に抵抗するため真円形状となっています。

 このように、地下水が豊富にあり非常に脆弱な地山でしたが、様々な止水注入や掘削補助工法等を駆使した結果、大きな変状や大量湧水を発生させることなく、安全に掘削を行うことができました。また、トンネル地上部に多数設置した地下水観測孔の測定結果からも、トンネル掘削による地下水への影響を適切に抑えられたことが確認できました。
 平成22年2月に着工し、平成28年7月には無事貫通式を迎え、あと60m程度の覆工作業を残すのみとなりました。平成29年春の竣工にむけて品質の良いトンネルを無事故・無災害で完成させるよう努力しています。



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