建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年12月号〉

能登地域の安全・安心と活性化を担う「輪島道路」

 国土交通省 北陸地方整備局
 金沢河川国道事務所 事業対策官
 嶋倉 正幸



図-1 能越自動車道位置図 図-2 輪島道路概要図

 金沢河川国道事務所は、能越自動車道、国道8号、国道159号において、バイパス整備や道路拡幅などの改築事業を推進しています。その中から今回は、能越自動車道の一部を構成する「輪島道路」について当事務所の取り組みをご紹介します。
 能越自動車道は、石川県輪島市を起点とし、七尾市を経由して富山県砺波市に至る延長117kmの高規格幹線道路です。(図-1)
 輪島道路は、能越自動車道の一部を構成し、災害時における緊急輸送路及び速達性の確保、高速ネットワーク形成による第三次医療施設へのアクセス性の向上を目的とした輪島市杉平町の輪島IC(仮)から同市三井町洲衛ののと里山空港ICに至る、延長11.5kmの道路です。(図-2)

事業の経緯

 輪島道路は、平成18年度にT期区間(輪島市三井町本江の三井IC(仮)からのと里山空港IC)を事業化し、平成22年度に用地着手、平成25年度に工事着手しました。U期区間(輪島IC(仮)から三井IC(仮))は、平成24年度に事業化しました。
 また、輪島道路事業を効率的に促進するため、平成28年4月に輪島国道出張所を開設しました。

期待される効果

@災害に強いネットワークの形成

 平成19年3月の能登半島地震などの災害により、能登半島全域で通行止めの被害が発生しました。災害時に重要な役割を担う第1次緊急輸送道路の(主)七尾輪島線や国道249号などにおいても、災害による影響(通行止め)を多く受けており、災害時の地域の孤立化が懸念されます。輪島道路の整備により災害時においても信頼性の高い道路交通を確保することで、地域の安全・安心が確保されます。

A救命救急活動の支援

 奥能登地域は人口当たりの医師数が石川県内で最も少なく、救急医療に対する不安を抱えています。
 能登地域唯一の第3次医療機関である能登総合病院は、能登地域にとって重要な医療機関ですが、輪島市中心部から約60km離れた七尾市にあることから、速達性の向上が求められます。輪島道路の整備によって、搬送時間が短縮され、迅速な救命救急活動を支援します。

B観光の活性化

 能越自動車道は、北陸自動車道・東海北陸自動車道・中部縦貫自動車道等と連携し、能登地域と東京・大阪・名古屋を中心とする三大都市圏との時間を大幅に短縮します。(図-3)

図-3 能登地域と3大都市圏のアクセス性向上

 輪島市には、朝市や白米千枚田など、豊富な観光資源があり、輪島道路の整備により、観光地へのアクセス性や回遊性が向上し。観光の活性化が期待されます。

今後の見通し

図-4 輪島道路のシャワー効果

 平成28年度はT期区間全域において改良工(土工、函渠)や橋梁(三井IC橋、小泉高架橋、のと里山空港IC橋(いずれも仮称))工事を促進しています。U期区間においては、調査を推進し、用地買収着手を予定しています。
 輪島道路が開通することにより、輪島市はもとより奥能登全体に効果を波及させるシャワーヘッドの役割を果たすシャワー効果が期待されます。(図-4)
 さらに平成28年度に事業化された田鶴浜七尾道路の整備とあわせて、石川県・富山県の産業・経済・文化の交流が深まることが期待されます。

写真-1 中地区改良工事状況 写真-2 三井IC橋工事状況


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