建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年12月号〉

平成32年度までの完全復旧を目指し仙台農業を取り戻す

 農林水産省 東北農政局 仙台東土地改良建設事業所

大区画化ほ場における区画整理工事

 仙台東土地改良建設事業所が所管する仙台市東部は、標高-1〜5mの平坦な地形をなした水田地帯が広がっています。明治から昭和中期にかけて、県内では盛んに耕地整理が行われ、10a区画の水田が整備されました。
 その後、大型機械作業に適応させるため、特に高砂地区及び七郷について30a以上の区画と用排水の整備を行うほ場整備事業が進められてきました。本地域の北部では団体営構造改善事業鍋沼地区、蒲生荻袋地区として30a区画が昭和45年に整備され、平成3年には県営ほ場整備事業七郷第三地区として水田汎用化やパイプライン化が進められました。
 中部では県営ほ場整備事業七郷地区、七郷第二地区として、南部では団体営区画整理事業六郷地区として、それぞれ区画整理等が進められてきました。
 営農面では、基幹作物の水稲を中心に、麦、大豆の土地利用型作物の他、レタス、ねぎ、たまねぎ、えだまめ等の栽培が行われいる農業地帯です。
支線排水路工事の状況

 しかし、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(最大震度7、当該地域の最大震度6強)及び地震後に襲来した津波により、農地約1,800haに海水が浸入し、表土の流失、畦畔の崩壊、海底土砂の堆積及び耕土の塩分残留被害が発生しました。
 このため、農地としての利用が不能となるとともに、用・排水路、排水機場及び樋門等が破壊・損傷し、さらに、地盤沈下により自然排水が困難となり、緊急に復旧を進め、早期に営農再開を図ることが急務となっています。
 そこで当事業所では、損壊した施設の原形復旧、また地盤沈下に対応した効用回復を実施しています。
 排水機場は4箇所、用排水路1式、小用排水路1式、農道1式で、受益面積は2,362haに相当します。農地復旧においては、ガレキと堆積した海底の土砂の撤去、大きく洗掘した箇所の山土での埋戻し、流失した表土の客土及び整地等を実施し、刈払工1式、雑物除去工1式、畦畔復旧1式、整地工1式、堆積土砂撤去工1式で、受益面積は1,638haとなります。
 除塩については、雑物除去工1式、堆積土砂撤去工1式、湛水除塩工1式、畦畔復旧工(整地工)1式、石灰等散布1式に着手しています。

大区画化ほ場における湛水直播 大規模経営体による稲刈り

 直轄災害復旧関連区画整理事業としては、大区画化を主体とした区画整理を実施し、農地の利用集積による経営規模の拡大と経営の合理化を図り、農業生産性の向上と農業経営の安定化を目指します。
 また、本事業は区画整理や道路の再配置により、地域の防災機能の向上を図り、再度災害の防止に寄与するとともに、国土保全に寄与します。面積内訳は、田1,870ha、畑108ha、その他266haで、計2,244haを対象としています。
 区画整理は、標準区画として水田1.0ha(145m×70m)と0.9ha(100m×90m)、普通畑0.3ha(145m×21m、100m×30m)を対象に着手しています。
 このほか、末端用水路等L=156.9km、かんがい面積1,496ha、パイプライン(VU管)φ75〜600mm、通水量0.03〜0.37m3/s、パイプライン(FRPM管)、φ700〜1,000mmと、揚水機12箇所、かんがい面積790ha、横軸渦巻ポンプ、φ250〜300mm、全揚程5.4〜12.1m、通水量0.19〜0.61m3/s、末端排水路L=135.2km、排水流域面積2,710ha、鉄筋コンクリート二次製品B300×H300〜B1,100×H1,100についても復旧を進めています。
 本地区の事業期間は平成24年度から「復興・創生期間」である平成32年度までを予定しています。
 進捗状況としては、すでに被災した本地区の基幹的水利施設である4排水機場等の復旧を行いました。震災で地盤沈下したため、一部施設規模を変更し、排水機能を考慮した施設に復旧しています。
 除塩については、土壌に蓄積した塩分を、弾丸暗渠、真水湛水等により除塩しました。区画整理は、大区画化を主体とした区画整理を実施する1,978haの農地のうち、約1,346haに着手しているところです。


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