建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年11月号〉

【ZOOM UP】

町民ニーズに応え「スポーツ」「健康」「地域交流」の多目的アリーナ誕生

―― 多世代が集う地域コミュニテイあふれる施設を目指す

北海道黒松内町 町民体育館新築事業

外観パース

 “北限のブナ林に囲まれた癒しの里”黒松内町は町民のニーズに応え、地産集成材をふんだんに活用し、将来にわたり「黒松内ならではの力」を発揮できる新体育館新築事業を進めている。

建設経緯

 現在の体育館は昭和50年に建設された。当時は画期的な体育施設として注目を浴び、「健康とスポーツの町」のシンボル施設としてスポーツを通して町民がつどい、つながり、町内外の人が交流し地域一体化の役割を果たし、さらに町民の健康づくり環境を支えてきた。また、災害時においては黒松内町市街地に位置する避難施設として重要な役割を担ってきた。
 しかし、建物が耐震基準を満たしていないことや施設の老朽化が進んだことからスポーツや健康づくりに支障を来す状況になってきたことから、町内の体育団体や子育てサークルなどの要望を取りまとめ。また、平成26年11月6日に提出された「黒松内町民体育館改修事業等検討委員会」の報告書を踏まえ、各種スポーツ大会を想定したアリーナの充実、ニーズの高まるランニングコースや乳幼児が親子で快適に遊ぶことができる施設、談話スペースなど地域コミュニテイを兼ね備えた新体育館の建設をすることになった。

新体育館基本設計のコンセプト

●町民の力:地域交流を促進する体育館
@スポーツギャラリーA談話スペースB給湯室Cキッズコーナー等
●スポーツの力:健康増進を促進する体育館
@アリーナA武道場(サブアリーナ)Bトレーニング室Cランニングコース等
●自然の力:エコロジー体育館
@自然エネルギー利用(自然換気通風、自然採光、太陽光発電等A外部負荷軽減(外断熱、高性能ガラス等)B地域産木材の利用(構造材、内装材利用)C建物の長寿命化
●災害対応力:災害に強い体育館
@高い耐久性能(耐震設計1.25)A避難施設利用(非常用自家発電機設置、支援物資受入搬入等)B備蓄倉庫完備(食糧備蓄、飲料水備蓄、避難用資機材備蓄)
 以上、4つのコンセプトを基本設計に据えて、町民の期待に応える新体育館の実現を目指す。

施設の特徴

 蘭越町及びニセコ町産カラマツの集成材をアリーナの柱や梁などに活用し、木のぬくもりに囲まれた空間を創出する。また、アリーナ、武道場の床材を木製フローリング(ブナ材)にすることで、多目的な競技が可能になる。2階のランニングコースは陸上用スパイクシュースでも利用可能なゴムチップマット仕上げとする。
 施設内は多世代が多目的に利用できるように、交流スペースやキッズルームを整備し、町民の憩いの場にする。さらに、隣接の町民センターと渡り廊下で接続することで一体的な利用を可能にする。また、省エネ及び環境への配慮から、南側壁面に太陽光パネルを設置する。
 一方、災害時には町民の避難場所として重要な役割を担う施設となることから、非常用自家発電機を整備することで停電時でも3日間の暖房が可能になる。また、断水時も3日間下水道の利用が可能となる。(500人分)


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