建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年11月号〉

国土交通省 北海道開発局 局長

 国土交通省 北海道開発局 局長
今 日出人
 こん・ひでと
 昭和57年3月  北海道大学工学部卒業
 昭和59年3月  北海道大学大学院工学研究科修了
 昭和59年4月  北海道開発庁採用
 平成10年6月  同北海道開発局石狩川開発建設部千歳川放水路建設事務所長
 平成12年4月  同北海道開発局建設部河川管理課河川情報管理官
 平成13年1月  国土交通省北海道開発局建設部河川管理課河川情報管理官
 平成14年4月  同北海道開発局建設部河川計画課河川企画官
 平成16年7月  同北海道局水政課企画官
 平成18年4月  同北海道開発局石狩川開発建設部次長
 平成20年4月  同北海道開発局建設部河川管理課長
 平成21年7月  同東北地方整備局岩手河川国道事務所長
 平成24年4月  同北海道局水政課長
 平成25年4月  同北海道開発局開発監理部次長
 平成27年7月  同北海道開発局事業振興部長
 平成28年6月  同北海道開発局長

常呂川(福山地区)排水活動(北見市常呂町)
 土木の日に寄せて、最近、頻発する大規模な自然災害から人命、財産などを守るため、北海道の安心・安全な国土づくりという観点から北海道開発局が実施している防災・減災対策及び国土強靱化に関する施策について紹介します。
 北海道は千島海溝周辺に位置し、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が60%を超えている地域があるなど、大規模な地震・津波が発生する可能性が高く、また、全国の活火山の約2割が存在しているなど自然災害の発生リスクが高い地域であります。特に冬期の北海道においては、雪害と地震災害といった複合的な災害が発生するおそれがあり、こういった特殊性も踏まえて災害に対する備えを日頃から進めておく必要があります。
 本年8月には、台風7号、11号、9号と1週間に3つの台風が北海道に上陸し、その後、台風10号が日本海側を通過するなど、過去に例のない4つの台風が来襲しました。この相次ぐ台風の通過や停滞した前線の影響によって、各地で記録的な大雨となり、堤防の決壊による浸水被害や落橋・土砂崩れによる通行止めが多発し、甚大な被害を受けました。

水楽橋被災状況調査(美瑛町) 旭山橋被災状況調査(清水町)

 この台風災害の対応として、被災した自治体に排水ポンプ車や照明車等の災害対策機械を派遣して、浸水箇所の排水作業を支援するとともに、リエゾン(現地情報連絡員)やTEC−FORCE(緊急災害対策派遣隊)を派遣し、被災状況の把握や応急復旧に向けた支援活動を実施しました。また、今回初めて、関東、中国及び四国地方整備局職員の応援を受け、合同で地域支援活動を展開したところです。
 北海道開発局では、こうした自然災害に備える防災対策として、根幹的な治水対策に取り組むとともに、津波対策や各種施設の耐震化、広域交通ネットワークの代替性・多重性確保、防雪対策、土砂災害防止、危機管理体制の強化など、「人の命が第一」、「災害には上限がない」という東日本大震災の教訓を踏まえて、災害に強い社会の実現に向けてさらに力強く取組を進め、災害発生時には、被災自治体へリエゾンを派遣して情報収集・情報提供を実施するほか、災害対策用機械やTEC−FORCEを派遣して早期の復旧に向けた支援活動を行って参ります。
 また、ハード・ソフトの様々な対策を組み合わせ、国民の暮らしや産業・経済活動の被害をできるだけ軽減する「減災」の考え方に基づく対策を進めていくため、社会資本整備と合わせて各種災害対応訓練の実施や地域防災力の強化を図る取組として、市町村長との意見交換会(トップセミナー)やシンポジウムの開催など、自治体との連携強化と地域住民の防災意識を高める取組を積極的に推進して参ります。
 加えて、高度経済成長時代に集中投資した社会資本ストックの老朽化が急速に進行しており、今後、維持管理費・更新費が増大していくと考えられることから、防災・減災対策とあわせて、計画的な補修・更新による予防保全対策の実施など、戦略的な維持管理を進めていくこととしています。
 国土強靱化については、平成25年12月に制定された「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」において、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地方公共団体が地域計画を策定できる、とされました。
 このことを受けて、北海道が、平成27年3月に「道民の生命・財産と社会経済システムを守る」、「北海道の強みを活かし、国全体の強靱化に貢献する」、「北海道の持続的成長を促進する」ことを目標とする「北海道強靱化計画」を策定し、北海道の強靱化に必要な施策を進めています。

落合地区橋梁調査(南富良野町) 神社橋橋梁調査(新得町)

 また、札幌市が、本年1月に「大規模自然災害からの生命・財産及び社会経済機能の保護」、「北海道の強靱化への貢献、連携の促進」、「国全体に対するバックアップ機能の発揮」、「経済活動の活性化、地方創生」を目標とする「札幌市強靭化計画」を策定し、災害に強い都市の構築を目指した施策を進めています。
 北海道開発局では、本年3月に閣議決定された「北海道総合開発計画」において、「強靭で持続可能な国土の形成」を目標の一つに位置づけており、本計画に基づき、激甚化・多様化する災害への対応、我が国全体の国土強靱化への貢献、安全・安心な社会基盤の利活用を推進して参ります。
 今後も北海道の強靱化に向けて、関係機関及び地方公共団体等と緊密な連携のもと、地域の安全・安心を支えるために取組を推進して参りますので、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。



HOME