建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年11月号〉

産業 暮らし 安全を支える道路整備[1]

―― 第二阪和国道、清滝生駒道路、鍋谷峠道路

 国土交通省 近畿地方整備局 浪速国道事務所 所長
 粟津 誠一

第二阪和国道 路線図

 浪速国道事務所は、大阪及びその周辺部の道路改築を所掌する事務所として昭和43年4月に発足しました。以来、国道1号寝屋川バイパス、国道1号第二京阪道路及び大阪北共同溝、国道26号第二阪和国道(堺市〜阪南市間)、国道163号木津バイパス、国道171号池田バイパス、国道481号空港連絡道路の改築事業を担当し、整備してきました。
 現在、国道26号第二阪和国道(阪南市自然田〜和歌山市元寺町)、国道163号清滝生駒道路(四條畷市中野〜生駒市鹿畑町)、国道480号鍋谷峠道路(和泉市父鬼町〜かつらぎ町平)の事業を担当しております。
 なお、第二阪和国道については阪南市自然田〜箱作ランプ間が平成15年4月、箱作ランプ〜箱ノ浦ランプ間が平成16年6月、箱ノ浦ランプ〜淡輪ランプ間が平成23年3月、平井ランプ〜大谷ランプ間が平成27年9月に開通(暫定2車線)しました。
 清滝生駒道路の清滝区間については、東中野交差点〜清滝トンネル西側1.9kmが平成18年3月、清滝トンネル西側から下田原ランプ1.7kmが平成26年3月に4車線開通しました。生駒区間については高山大橋交差点の側道部が平成27年12月に完成しました。
 引き続き各事業について全線開通に向けた事業及び(仮称)淀川左岸線延伸部の調査を実施しており、都市計画決定及び環境影響評価の実施の手続きを進めております。
 第二阪和国道は、大阪と和歌山を結ぶ約53kmの幹線道路で、現道の国道26号の慢性的な交通渋滞の解消等を主な目的とした道路です。
 第二阪和国道(阪南市自然田〜淡輪ランプ間)の整備により、並行する現道の国道26号においては、渋滞が解消し、死傷事故件数が約3〜5割減少しました。
 また、第二阪和国道(平井ランプ〜大谷ランプ間)の整備により、並行する現道の国道26号においては、渋滞が大幅に緩和し、死傷事故件数が約4〜5割減少しました。
 残る区間においても整備により同様の効果が期待されます。また、全線開通することにより、和歌山と大阪を結ぶ新たなルートが確保され、自然災害や異常気象等にも強い安全で安定した交通機能が確保されます。
 他にも、岬町から最寄りの第3次救急医療機関までの所要時間の短縮、救急搬送時間の安定、さらには、大規模な宅地造成計画地域にランプを設置することで、定住促進、郊外型大型ショッピングセンターの誘致等、地域の活性化が期待されます。
 淡輪ランプ〜深日ランプ間は各箇所において改良工事を行っており、橋梁工事については、岬第一橋(仮称)、大谷池橋(仮称)、深日高架橋(仮称)の架設が完了し、深日ランプ橋の工事を推進しているところです。

整備効果(1)

 深日ランプ〜孝子ランプ間は、橋梁工事については、深日高架橋(仮称)、下孝子第1橋(仮称)の架設が完了し、深日トンネル(仮称)工事、盛土を主体とした改良工事や孝子ランプ橋(仮称)の橋梁工事を進めています。
 孝子ランプ〜平井ランプ間は、下孝子第2橋(仮称)、中孝子高架橋(仮称)の架設が完了し、上孝子高架橋(仮称)の橋梁工事、孝子トンネル(仮称)工事、平井トンネル(仮称)を和歌山側から掘削する工事、盛土を主体とした改良工事を進めています。
 淡輪ランプ〜平井ランプ間の7.6kmを平成28年度内の暫定2車線での開通を目標に、工事を推進しており、これにより第二阪和国道が全線繋がることになります。
 清滝生駒道路は、国道163号のうち、大阪府四條畷市から奈良県生駒市を結ぶ延長約11.0kmの道路です。本道路は、関西文化学術研究都市の開発などによる交通の増加への対応や急カーブ及び急勾配などの解消を目的としています。
 また四條畷市中野から府県境の5.3km区間(清滝区間)及び府県境から生駒市高山町までの2.7km区間(生駒区間の一部)は、地域高規格道路整備区間に指定されています。
 平成2年の清滝トンネルの開通(暫定2車線)によって、異常気象時通行規制が解除され、平成26年に4車線化したことで、対面交通による事故が回避され交通の安全性が向上しました。
 また、平成27年12月に高山大橋交差点において側道部が供用したことで、歩道や地下横断歩道も整備され歩行者の安全性が確保されました。
 残る区間も開通すれば、交通容量は拡大し、渋滞の緩和や交通事故の減少にも寄与することが期待されます。
 平成28年度は引き続き、調査設計、用地取得を進めております。

整備効果(2)

 国道480号は、大阪府泉大津市の国道26号を起点として、和歌山県有田市の国道42号に至る幹線道路で、和歌山県と大阪府の府県間を連絡する道路です。府県境区間は、大阪府が「父鬼バイパス」として、和歌山県が「平道路」として整備を行っています。
 府県境をまたぐ延長4.1kmの区間は、地形条件が厳しく、整備に高度な技術を要することから、平成20年度より、直轄権限代行事業として、両府県に代わり国土交通省で事業を実施しています。
 鍋谷峠道路に並行する国道480号(10.3km)において線形不良箇所が47箇所、すれ違い困難な幅員狭小区間が約4.1km、防災要対策箇所が28箇所あり、過去5年間に、倒木や落石、法面崩壊により、7回通行止め(延時間120時間)が発生しています。
 鍋谷峠道路の整備により、直線的で安全で走りやすい道路に改善されるとともに、トンネル構造で整備することにより、集中豪雨などの異常気象時や降雪時において安定的な交通機能を確保できます。
 また、線形不良区間が解消されることで、かつらぎ町から大阪側の第三次救急医療施設への所要時聞が短縮し、救急搬送における救命率の向上が期待されます。
 平成28年度は開通に向けて、トンネル工事、改良工事、舗装工事等を進めております。



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