建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年9月号〉

国道101号鰺ヶ沢道路がいよいよこの夏に開通

―― 国道103号奥入瀬(青ブナ山)バイパスで奥入瀬渓流の自然保護と利活用を両立させる交通システムを市民とともに協議

 国土交通省 東北地方整備局
 青森河川国道事務所 所長 佐近 裕之

鰺ヶ沢道路

 青森河川国道事務所では、青森県の優れた自然環境、景観、観光資源等との調和を図りつつ国土強靭化の取り組み、「コンパクト+ネットワーク」を推進するため、河川・道路事業の効率化・円滑な実施に努めます。また、地域と連携を図りながら的確な河川ならびに道路の維持管理・老朽化対策に努めます。
 この基本目標に基づき、平成28年度の道路関係事業費は約83億円で、道路事業の計画的な執行により、社会資本整備の一層の推進を図ります。
 この青森県は生活の足として自動車交通への依存率が高く、人口の集中する都市部を中心に慢性的な交通渋滞や交通事故が多発しています。また、全国有数の豪雪地帯で、冬期間の交通安全の確保も重要な課題となっています。
 このため、県内のこうした様々な課題に対応するため、高規格幹線道路ネットワークを形成する自動車専用道路として三陸沿岸道路や津軽自動車道、上北自動車道等の自動車専用道路の整備や交通の円滑化を目指した拡幅事業のほか、東日本大震災からの復興道路となる「三陸沿岸道路」など、4路線6ヵ所の改築事業を継続実施します。
 また、国道4号、7号、45号、101号、104号の5路線314qについて、国民生活や経済の基盤であるインフラが的確に維持されるよう、道路施設の点検を実施し維持更新や除雪を行い、安全で円滑な交通を確保します。以下に、各路線の主要事業についてご紹介します。
 国道101号鰺ヶ沢道路は、津軽自動車道の一部を構成しています。鰺ヶ沢町内の線形不良区間の解消や、交通安全の確保及び代替機能確保を目的とする自動車専用道路で、7月30日に3.4kmが開通し、一部区間で工事を継続しています。
奥入瀬バイパス

 その他の主要継続事業としては、国道103号奥入瀬(青ブナ山)バイパスで一部工事に着手しています。このバイパスは、一般国道103号の青森県十和田市青ブナ山〜十和田市子ノ口の幅員狭小、線形不良及び急勾配の隘路区間や通行規制区間を解消し、安全で円滑な交通の確保を目的とする道路で、今年度は橋梁・トンネル(避難坑)工事に着手する予定です。
 この整備によって、災害時の被災箇所を迂回し、災害に強い道路へと改築することで、安全な通行を確保します。幅員の狭い箇所や急カーブ箇所を回避し、安全な通行が確保されるとともに、奥入瀬渓流沿いの自然環境が保全され、散策時の安全性や快適性の向上が期待されます。
 なお、この道路については、国民の貴重な財産である奥入瀬渓流の自然保護と利活用を両立させる交通システムなど、渓流に並行している国道としての利活用策について検討しています。「奥入瀬渓流利活用検討委員会」の設立や、奥入瀬渓流の利活用に関するワークショップを実施しています。
 国道45号上北天間林道路と天間林道路は、東北縦貫自動車道八戸線の一部を構成し、青森市と八戸市の連携強化、国道4号、45号の交通混雑緩和を図り、高規格幹線道路ネットワークを形成する自動車専用道路です。上北天間林道路東北町大字大浦から七戸町字附田向に至る延長7.8kmの自動車専用道路で、平成30年度の開通を目指しています。

侍浜階上道路 上北天間林道路

 天間林道路は、七戸町字附田向から七戸町字後平に至る延長8.3kmの自動車専用道路です。
 ともに今年度は調査設計、用地買収、改良工事、橋梁工事を継続しており、完成すれば並行する一般国道4号や45号など周辺道路の一部交通が転換し、交通混雑の緩和や事故の減少が期待されるほか、青森市と八戸市間の移動時間が短縮し、地域間の交流連携や、第3次救急医療施設へのアクセスが向上します。
 このほか、東日本大震災からの復興のため、三陸沿岸道路(三陸縦貫自動車道、三陸北縦貫道路、八戸・久慈自動道)359qが「復興道路」として位置づけられ、整備が進められています。
 洋野階上道路(侍浜〜階上)は、岩手県久慈市侍浜町桑畑(侍浜IC)から青森県三戸郡階上町大字道仏(階上IC)を結ぶ自動車専用道路です。
 調査設計、用地買収の促進、橋梁工事、改良工事を継続しています。この整備によって、東日本大震災からの早期復興や孤立解消などの津波に強い地域づくり、広域的なリダンダンシーの確保等が期待されます。


天間林道路 浪岡五所川原道路


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