建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年9月号〉

山口河川国道事務所を支える安全衛生

 長門・俵山道路安全協議会 会長
 長門俵山道路大寧寺第2トンネル工事
 現場代理人(東急建設株式会社)

 二宮 洋

安全協議会 パトロール

 私たち長門・俵山道路安全協議会は、一般国道491号長門・俵山道路関係の工事に従事する9社の施工会社で構成されています。  労働災害や第三者災害の防止や、労働災害の防止と地域住民の安全に努め、発注者、施工者その他関係機関間との連絡を密に事業の円滑な遂行を目的としています。
 活動は、発注者も交えて月2回の安全パトロールを開催しています。現場管理における評価ポイントや改善点について、パトロール後の講評で意見交換し、好事例は他の現場でも導入するよう水平展開しています。また、発注者主催のパトロールでは、萩地区の協議会と合同となることもあります。
 このほか作業員の健康管理も重要で、特に夏場は熱中症対策が課題となります。飲み物や塩飴などを用意し、テントで日陰をつくるなどの対策を行うほか、温度と湿度で熱中症の危険度を予測し、危険度の見える器具を全作業員が装備し、熱中症に備える意識の向上を図っています。
 この長門・俵山道路は、長門市深川湯本(長門IC・仮称)1同市俵山小原(小原IC・仮称)までの5.5kmの自動車専用道路で、災害時には並行する一般国道491号や地方道である下関長門線の代替路として、俵山地区の孤立回避救急医療活動支援など、地域の安全・安心確保のために計画されたものです。また、高規格幹線道路網の一部を形成し、地域間の広域交流や活性化に寄与することが期待されています。
 下関長門線の大寧寺峠付近の地形は急峻な谷部で、過去に何度も豪雨により法面や路肩が崩壊しました。このため長門・俵山道路は、3本のトンネル(延長合計3,246m)と4本の橋梁(同453m)で構成されます。
 このようにトンネルの総延長は長く、ズリの運搬により、地域に迷惑をかけることが予想されます。ズリの処分は、一部はIC付近の盛土に使い、今後の工事の進捗に応じてさまざまな部分に再利用されるため、工事の最盛期にはダンプの往来が激しくなります。
 トンネルの出入り口にガードマンを配置し、ダンプの制限速度は40km/hに制限しています。現場は山の中ですが、深川湯本地区の近くには民家も多いので、走行による粉塵、騒音に気をつけています。
 土砂を出す現場や土砂を受ける場所の出入口には、タイヤを洗うプールや、水で洗う設備を配備するなど、道路を汚さないように工夫しています。
 またトンネルの発破も、民家に近い現場では近隣とコミュニケーションを取りながら安全を確保しています。
 のみならず、地域住民との交流は大事にしていきたいと考えており、最近では市が主催した史跡をみる集まりで、40人近くが建設予定地を訪ねましたが、途中に現場を横切る場面もあるため、工事概要について説明しました。
 さらにトンネルの掘削が進んでいけば、近くの小学校や地域住民を対象に現場見学会も企画していこうと考えています。トンネル工事は長期にわたるので、地域の理解を得ることが重要ですから、今後も積極的に交流し、社会貢献をしつつ最後まで無事故、無災害で工事を完了させたいと思います。

パトロール後の意見交換 地域ハイキングに協力


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