建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年8月号〉

安全で安心できる災害に強い道路網整備

――総事業費600億円を集中投下

 国土交通省 北陸地方整備局
 高田河川国道事務所 所長 村下 剛

高田河川国道事務所管内図

 高田河川国道事務所が位置する新潟県上越地方は、北は日本海、南は妙高山、東は米山、西は親不知に囲まれた新潟県の南西端に位置し、その中を関川、姫川が貫流する、自然豊かな四季の移ろいが美しい地域です。一方、我が国有数の豪雪地域のひとつにあたり、厳しい自然との闘いの歴史を持つ地域でもあります。
 当事務所管内は、上越市(人口約20万人)、糸魚川市(人口約5万人)、妙高市(人口約3万人)の三市で構成され、面積は東京都とほぼ同等の2,160q2で、新潟県の県土の約17%を占めています。  また、管内には重要港湾直江津港を擁し、日本海対岸諸国との貿易拠点として、極めて重要な位置にあります。陸上交通においては、北陸自動車道、上信越自動車道により高速交通網が確保され、平成27年3月には、北陸新幹線が開業し、地域間、圏域間のネットワークの充実を図りながら、糸魚川ジオパークをはじめ、数ある史跡や四季に恵まれた自然、豊かな食文化を活かした観光資源の開発により、北陸地方における重要な圏域として、今後の飛躍的な発展が期待されています。

国道253号 上越三和道路(国道18号 寺ICより三和方面を望む)

 当事務所では、関川の下流域(12.2q)、保倉川の下流域(1.6q)と姫川の下流域(11q)の改修と管理、および国道8号(90.5q)と18号(37.8q)の改築と管理、権限代行事業として、国道253号の地域高規格道路である上越三和道路(7.0q)の改築を担当しています。
 地域高規格道路の整備については、上越魚沼地域振興快速道路(約60q)のうち、上越市大字寺〜同市三和区本郷間(7.0q、上越三和道路)の埋蔵文化財調査および改築工事を推進しています。
 現在、上越市大字寺〜鶴町間(3.0q)の平成30年度開通に向け鋭意工事の進捗を図っています。
 交通混雑の解消と沿道環境の改善とうを目的とした改築事業については、国道8号糸魚川東バイパス(6.9q)や直江津バイパスの三ツ屋〜下門前間の山側三車線化の事業を鋭意推進しています。糸魚川東バイパスの梶屋敷〜押上間(3.1q)については平成27年5月に約1.3q区間の開通を行い、3.1q区間全線を暫定二車線で供用させました。

国道8号 糸魚川東バイパス(押上より新潟方面を望む)

 糸魚川東バイパスの梶屋敷〜押上間(3.1q)の供用により、現道交通がバイパスに転換し、現道部の渋滞が大幅に緩和、路線バスの定時性の向上や旅速度の向上が図られています。
 国道8号の上越市から糸魚川市の大部分は海岸線に近く、日本海の荒波の影響を直接受ける厳しい塩害環境下に位置しており、鋼材の腐食・損傷が著しい橋梁が確認されています。
 これまで、橋梁の補修についてはコンクリートの断面修復や塗装塗替などで維持管理をおこなってきましたが、塩害による被害が徐々に拡大し、補修頻度も増加傾向にありました。
 このことから、塩害橋梁に対する今後の維持管理方針について「管内橋梁維持管理計画策定委員会」を設置し、委員会で検討を行った結果、損傷の著しい橋梁全9橋について、橋梁架替等の抜本的な対策が必要と結論づけられました。
 平成27年3月までに塩害による損傷が特に著しい能生大橋、両鬼橋、筒石橋、青海跨線橋について橋梁架替等の対策を完了しています。
 現在は歌高架橋の架け替え工事を鋭意施工中であり、残る有間川橋、弁天大橋、青海川橋、境橋は引き続き橋梁架替等の抜本対策を実施していく計画としています。
 今後も引き続き、地域の声に充分に耳を傾け、更なる事業のコスト縮減や効率化を図り、雪などの災害に強い安全、安心な地域づくり、道路網整備に取り組んで参りたいと思います。


国道8号 橋梁架替工事が進む歌高架橋

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