建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年8月号〉

【ZOOM UP】

自立通学可能な知的障がい生徒対象の高等支援学校新設

―― 実習施設の充実で技能習得・向上を図る地域交流カフェも設置

市立札幌みなみの杜高等支援学校(南部高等支援学校)

外観完成イメージ

建設の経緯

 札幌市が建設を進めている市立札幌みなみの杜高等支援学校は、自立通学が可能な知的障がいのある生徒を対象とした特別支援学校の高等部のみを設置した学校です。
 近年、高等支援学校に進学を希望する生徒が増える中、同市にある同様の学校は北区と手稲区の市北西部に偏在し、市南部の生徒に遠距離通学の負担を強いていることから、今回市南部に整備を行うことになった。

工事概要

■建設地の特色
 建設計画地は旧真駒内小学校跡地で、地下鉄真駒内駅より北側へ徒歩10分弱の距離に位置している。周辺は、敷地の北側には道営住宅や戸建て住宅、東側には道営住宅や道警アパート、南側にはUR都市機構の五輪団地、西側には、上町公園や幼稚園があり、団地群に囲まれながらも、閑静な雰囲気のある街並みが形成されている。
■配置計画
1. 北側敷地の将来的な用途を踏まえ、北側敷地に日陰や圧迫感をなるべく与えないようにするため校舎棟を南側、屋内運動場は東側、グラウンドを敷地北側に配置している。また、敷地西側にはビニールハウスや畑を配置し、農作業の実習を行う計画としている。
2. 生徒の通学は自立通学が基本であり、昇降口を地下鉄真駒内駅に近い校舎棟南東側に配置した。また、サービス車両動線を敷地南側、地域開放用の車両動線を敷地東側に配置することで歩車分離を確保する。
3. 地域住民を来客対象としたカフェを敷地西側に配置することで上町公園と相互利用でき、地域交流の拠点とする計画。

■平面計画
1. 活動の中心の場である普通教室を日照条件の良い南側に配置した。また、授業内容ごとに教室棟、作業棟、カフェに分類配置をする。
2. 作業棟には各科の内容に沿った実習室を配置し、屋外にある畑や2階の温室、カフェなどと連携した実習を行う計画。また、来校者に生徒の実習風景を見てもらえるように各教室と廊下の間仕切り壁はガラスのパーテーションを設置する。
3. カフェは地域住民への飲食物の提供をはじめ、パン販売や図書の貸し出し、生徒作品の展示、販売も行える計画。また、製パン作業や調理作業風景が見学できるように客席から各諸室に窓を設置する。
4. 管理諸室は1階に集中配置をした。特に職員室は昇降口とグラウンドの両方が見渡せる中間位置に配置し、防犯性、安全性を考慮した計画としている。


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