建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年7月号〉

圏央道茨城県内区間の全線開通に向けて

―― 圏央道の整備状況とストック効果

 国土交通省 関東地方整備局 常総国道事務所 所長
 伊與田 弘樹

図-1 常総国道事務所の事業箇所
図-2 圏央道計画

はじめに

 常総国道事務所は、茨城県内の首都圏中央連絡自動車道(以下、圏央道)の整備を中心に茨城県南部地域の幹線道路整備を担う事務所として平成6年に土浦市に設置されました。
 事務所創設から約20年が経過し、圏央道の常磐道から東関東道間を開通し、本年度中には境古河IC〜つくば中央IC間を開通させる予定です。これにより茨城県内区間全線が開通することになります。
 本稿では、常総国道事務所の圏央道事業の取組み状況について紹介します。

圏央道事業の経緯

図-3 常磐道〜東関道の開通経緯
 茨城県内区間の圏央道約71km(五霞町〜稲敷市間)について、平成6年に都市計画決定)、平成12年に工事着手、平成15年には県内で初めて常磐道つくばJCTから国道6号つくば牛久IC間を開通しました。その後、常磐道から東側へ順次開通区間を伸ばし、平成27年6月には千葉県内の神崎ICから東関東道の大栄JCT間が開通し、筑波研究学園都市と成田空港が高速道路で結ばれることとなりました。

圏央道(常磐道〜東関東道間)のストック効果

 常磐道と東関東道が繋がった効果として、開通半年後の調査では、開通前に比べ圏央道の日平均交通量が1.4〜2.7倍に増加するとともに、つくば市から成田空港間の所要時間が約3割短縮(83分→60分)しました。一方、圏央道に並行する国道408号の交通量は約14%減少しています。
 また、常磐道と東関東道が繋がったことにより、観光関係では、成田空港から水戸を経由するバスツアーが2本/年から40本/年に増便していることや県内周遊ツアー数が前年度の2.8倍に増加するなどのストック効果が現れています。
 このほか、物流業者へのヒアリングでは日立〜成田空港間の輸送時間が短縮しトラック稼働率がアップしたとの声が聞かれ、常磐道の柏IC〜谷和原IC間で通行止めが発生したときには、圏央道が迂回道路として利用されていることがわかりました。
図-4 圏央道開通による交通量の変化
図-5 茨城県内周遊ツアーの変化

圏央道(常磐道西側)の整備状況

 茨城県内圏央道の埼玉県境から境古河IC間は平成27年3月に、つくば中央ICから常磐道間は平成22年4月に開通しており、残る境古河ICからつくば中央IC間約28kmは、平成28年度内を開通目標として現在鋭意施工中です。
 この区間が完成すれば、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東道の6本の放射高規格幹線道路が圏央道で結ばれ地域間交流が促進されるとともに、東京都心50km圏の開発余力のある地域が結ばれることになり、新たな工業立地や物流拠点の再配置による効率化など各地域の成長に貢献することが大いに期待されています。

おわりに

 圏央道の整備は地域間アクセスを向上させ、企業立地や観光をはじめとした地域間交流に大きく寄与することになります。
 今後は、このようなストック効果を具体的に把握しながら、圏央道が地域にとって有効に利用できるよう取り組んでまいります。


図-7 圏央道の整備状況

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