建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年6月号〉

【ZOOM UP】

地域の避難場所を兼ねた学校を建設

―― 認定こども園から小中学校までが一体となった教育施設

白糠町 (仮称)庶路小中学校外改築事業

外観完成イメージ

外観完成イメージ

 釧路管内白糠町は、老朽化の進んだ庶路小学校、庶路中学校、庶路保育園、庶路幼稚園の4施設を一体化した庶路小中学校外改築事業を進めている。
 基本方針としては、「先人への感謝」「自然や地域資源の保護」「人と人の繋がり」「子どもたちの未来」などを大切にし、町づくり・地域づくりのシンボル的存在となる校舎・園舎となることを目指すとしている。
 これを踏まえ、施設整備においては、幼児教育と義務教育が円滑に機能する一体型〈合築)施設とし、幼児の保育活動や児童生徒の教育活動が多様に展開できるスペースの確保、様々な情報機器を活用した活動が可能となる施設、こども園や学校の教員が管理・指導しやすい施設とする。
 また、教育の質的向上を目指し小中一貫教育に取り組む学校、「ふるさと学習」に誇りを持ち、実践しやすい学習環境を備えた施設、小中一貫校として、指導の継続性が生かされるとともに、特化した教育内容や交流・発表などの多様な教育活動が展開できる機能を備えた施設を目指す。
 地域の防災拠点として災害に強い安全・安心な施設、津波避難施設としての機能、車の出入りする場所と児童生徒の通学路を分離、不審者の侵入監視や死角の少ない施設整備、地域の防災拠点としての機能を整備する。
 地域に開かれコミュニティを高める施設として、地域コミュニティの拠点機能を確立し、交流可能なスペースの確保、学校教育以外で利用する場合の管理体制を検討。
 環境(エコ)やバリアフリーに配慮した施設として、自然採光、自然通風、自然エネルギーを導入。地元産の木材を多く活用し、移動が円滑にできる段差のない誰もが使いやすい施設とする。
 将来の変化を見越し、機能性・柔軟性のある施設とするため、可動式間仕切壁を採用し、世代間交流を可能とすることなどを基本方針とした。
 こども園から中学校、さらに地域社会にも開かれた多世代型の施設となるため、配置計画は1階はこども園とし、隣接する学校スペースを利用し合築の巾を広げ、学校からこども園が見え、こども園からも学校が見える関係をつくる。

 こども園とランチルームを含め、地域に開放しやすいスペースでつくる構成とする。中庭は屋外教室として、中庭に接するスペースはルームの延長として利用する。中庭に面する特別教室は、採光が期待できる構造とする。
 2階は低学年教室と職員室で構成し、職員室はグラウンドと正面玄関アプローチ方向が見える形にする。低学年用の小体育館を設け、体格差から生じる運動量と危険防止に配慮する。北側及び西側に特別教室を配置。3階からもアプローチしやすい配置とする。
 大階段はこの学校の特徴とするため、単に移動空間にとどめず学習空間、交流空間としても使用する。この階でも、中庭に面する特別教室は、採光が期待できる構造とする。
 3階は中学年高学年のフロアとし、多目的スペースまで含め多様な空間構成を実現する。メディアセンターと教科別にも対応可能な空間構成を考慮するほか、教員による見守り拠点として、サブステーションを配置する。



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