建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年7月号〉

 副局長インタビュー 宗谷総合振興局

主要産業の水産・酪農・観光資源を活かした経済振興支援や利尻・礼文島の防災・道路整備の推進

 宗谷総合振興局(建設管理部担当) 副局長
飯塚 賢司
 いいづか・けんじ
 昭和33年2月12日生、枝幸郡
 歌登町出身
 北海道大学工学部土木工学科卒
 昭和56年4月 網走土木現業所採用
 昭和60年8月 釧路土木現業所
 昭和63年7月 土木部空港港湾課
 平成 5年4月 網走土木現業所紋別空港建設事務所技術係長
 平成 7年6月 網走土木現業所紋別空港建設事務所建設係長
 平成 8年4月 土木部空港港湾課主査
 平成 9年6月 建設部空港港湾課空港建設第一係長
 平成11年5月 建設部公園下水道課下水道計画係長
 平成15年6月 留萌土木現業所事業部治水課長
 平成17年4月 建設部空港港湾課主幹(石狩湾新港管理組合派遣)
 平成19年6月 室蘭土木現業所企画総務部企画調整室長
 平成21年4月 日本下水道事業団北海道総合事務所長
 平成22年4月 建設部空港港湾局空港活性化推進室参事
 平成24年4月 建設部まちづくり局都市環境課公園下水道担当課長
 平成25年4月 建設部まちづくり局都市環境課長
 平成27年6月 宗谷総合振興局副局長(建設管理部担当)

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせ下さい
タネトンナイ川砂防工事
飯塚 宗谷管内は北海道の北部に位置し、利尻島・礼文島を含めた1市8町1村からなり、利尻礼文サロベツ国立公園やラムサール条約登録湿地などを有する雄大な自然を生かした観光業や、日本海、オホーツク海に接し道内上位の水揚げ量を誇る水産業、冷涼な気候風土を活かした酪農業が盛んな地域となっています。
 稚内建設管理部は、これらの豊富な資源を活かした地域の振興に資する経済活動を支えるとともに、地域の方々の安全安心な暮らしの確保に向け、地元市町村などの関係機関と連携を図りながら、社会資本整備に向けた各種取組を推進してまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
稚内猿払線(総合)地方道工事(路盤工)(債務)
飯塚 道路事業では、道路交通ネットワークの強化や、管内特有の地吹雪・吹きだまりなどによる交通障害を軽減する雪崩防止柵や防雪柵の設置により、安全で安心な通年交通を確保するとともに、橋梁等の点検・補修を行い既存施設の長寿命化を図ります。また、河川及び砂防事業では、自然災害から住民の生命や財産を守り、安全で安心して暮らせる地域づくりを目指し、河川改修や砂防施設・急傾斜地崩壊防止施設の整備を推進するとともに、ソフト対策として、土砂災害に対する警戒避難体制の整備に向け、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査を平成31年度までに完了するよう重点的に実施するとともに、関係市町村と連携して土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
 また、これまで整備した社会資本施設についてもライフサイクルコストを見極めながら、適切な維持管理・機能維持を図り、既存施設の長寿命化を図ってまいります。
── 平成28年度予算執行あたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光振興、環境整備事業などの取り組みをお伺いします
クサンル川総合流域防災工事(補正・繰越)
飯塚 農水産業や観光業が盛んな管内は、交通手段の多くを道路に依存していることから、道路交通のネットワーク強化と安全性の向上が必要です。主な道路事業として、元地香深線(新桃岩トンネル)は、礼文島の元地地区と島の中心地である香深地区を結ぶ唯一の路線であり、水産物の流通や「桃岩」「地蔵岩」などの観光地への往来、緊急車両の通行等、必要不可欠な道路ですが、落石の発生による通行止めが度々発生し、住民の生活や産業活動に支障が生じていたことから、平成23年度より事業に着手しておりますが、その後も法面崩壊による通行止めが度々発生しているため、新桃岩トンネルの一日も早い供用開始が望まれています。工事の進捗状況としては昨年3月26日にトンネルが貫通したところですが、早期の供用開始を目指し、引き続き事業を推進します。
 次に利尻富士利尻線(鴛泊地区)は、島の玄関口として多くの観光客で賑わっている地域ですが、当該区間は道路幅員が狭く歩道も未整備のため、車両のすれ違いに困難が生じており、特に冬期間には、路肩に堆積した雪の影響により歩行者が危険にさらされています。さらには、急勾配・急カーブ区間を有しているため、大型バスなどの通行車両の円滑な走行に支障を来していることから道路整備を図ることにより安全・安心な道路交通を確保し、また、鴛泊市街地整備計画マスタープランに基づくまちづくりと一体となった整備により、市街地の魅力向上や景観・にぎわいの創出を図ります。
 そのほか、地域相互間の道路交通ネットワークの強化に向け、国道40号豊富・幌富バイパスへのアクセス道路として、豊富浜頓別線のほか国道238号宗谷岬ルートを短絡する稚内猿払線などの整備や、管内特有の地吹雪や積雪への対応として、稚内猿払線や礼文島線などにおける防雪柵や雪崩防止柵の設置のほか、適切な維持管理を行い既存施設の長寿命化を図るため、枝幸音威子府線等における橋梁の点検を行い、長寿命化計画に基づいて猿払停車場線の猿払橋等の補修工事を行います。
 また、稚内市街地を流れるクサンル川において、平成23年9月及び26年8月の洪水被害を踏まえ、流水の流下に支障となっている橋梁の架け替え、頓別川において河道の掘削などを行うとともに、魚類等の生息環境に配慮して天塩川水系2河川において魚道を整備します。
 土砂災害対策では、近年、流域の荒廃が著しい利尻島のオチウシナイ川やタネトンナイ川において引き続き砂防堰堤を整備するほか、新規事業としてポロニショ川を着手、利尻町政泊地区において、がけ地の崩壊を防止するため急傾斜地崩壊対策を推進します。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時おける復旧対策などを担う建設業界への要望・期待をお聞かせ下さい
飯塚 社会資本の着実な整備を推進するため、地域の雇用や経済活動を支え、様々な地域活動に貢献し安全・安心を守る重要な役割を担っている建設業が今後も持続・発展していけるよう、稚内建設管理部としても経営の安定に向けた経営効率化の取組や、課題である担い手の確保への支援に職員一丸となって取り組んでまいりますので、引き続き皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

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