建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年7月号〉

 副局長インタビュー 胆振総合振興局・日高振興局

地域を守る防災事業推進と多彩な産業の基盤整備や観光・物流を支える交通ネットワークの強化

 胆振総合振興局副局長(建設管理部担当) 兼 日高振興局 副局長
木島 昇悦
 きしま・しょうえつ
 昭和32年4月20日生、帯広市出身
徳島大学工学部建設工学科卒
平成17年4月 釧路土木現業所事業部道路建設課長
平成19年6月 建設部土木局道路課主幹(登別市派遣)
平成21年4月 札幌土木現業所企画総務部企画調整室長
平成22年4月 空知総合振興局札幌建設管理部事業室地域調整課長
平成23年6月 十勝総合振興局帯広建設管理部事業室長
平成25年4月 建設部建設政策局建設管理課技術管理担当課長
平成26年4月 建設部建設政策局次長((一財)北海道建設技術センタ一派遣)
平成27年6月 現職

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせ下さい
眺湖通
木島 私たちの仕事は、地域住民の方々の安全安心を確保するとともに、地域産業の活性化を支えるため、インフラを整備し、それをしっかり保全していくことが重要です。
 特に、災害発生時における初動体制が重要であり、職員が機動的に与えられた役割を果たせるよう、日頃から危機管理意識を徹底することと併せて、関係機関との連絡体制や情報共有を万全にしておくことが必要です。
 そのため、建設管理部内においても、本部と出張所等を含めて、風通しのよい職場づくりを目指しています。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
厚幌ダム(厚真町)
木島 胆振及び日高管内は東西方向に長く、太平洋に面していることから、台風や高潮・津波などに影響を非常に受けやすい地形です。
 そのため、地域生活の安全安心の実現に向けて、河川、砂防、海岸保全などの防災施設をはじめ、災害に強い道路の整備を引き続き、優先して進めてまいります。
 河川及びダム事業では昨年6月から本体CSGの打設を開始した厚幌ダムについて、下流の厚真川の整備と共に引き続き進捗を図り早期の完成を目指すほか、安平川や知利別川等の整備を継続して進めてまいります。
 砂防事業としては、トマチャナイ川等の事業を推進するほか、大林川、パンケヌシ川等で新規着手するとともに、穂別沢川等で完成を目指します。
 急傾斜事業では室蘭市内の母恋町4丁目等の整備を促進するほか、幕西町と港南町等で新規着手します。また、地すべり対策については上久保内地区と様似地区で整備を推進します。
 海岸事業では、黄金海岸や虎杖浜海岸の整備を引き続き進めます。
 道路事業では、津波災害時の避難道路確保に資する上向別浦河停車場線の整備に新規着手し、有珠山噴火に備えた洞爺公園洞爺線・滝之町伊達線の整備や落石対策として大岸礼文停車場線等で事業を進めるほか、南黄金長和線で通学路の安全対策を図ります。また橋梁長寿命化の取組みとして平取門別線の平取橋、静内浦河線のシカルベ橋等で橋梁補修を進めます。
── 平成28年度予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取組をお伺いします
トマチャナイ川(22号床固工)
木島 胆振及び日高管内は、室蘭市や苫小牧市を中心とした工業、洞爺湖や登別温泉を中心とした観光業、地域ことに特色ある農業や水産業、日高の軽種馬生産など、多種多様な産業が展開されているところです。
 これらの地域産業を支える基盤整備として、観光や物流に欠かせない交通ネットワークや水産物の供給基地としての漁港整備を引き続き進めてまいります。
 道路事業としては、観光地へのアクセス強化として、室蘭方面から洞爺湖周辺へ通じる上長和萩原線の整備を推進しています。さらに、日高自動車道へアクセスする比宇厚賀停車場線の整備や苫小牧中央インター線の新規着手により交通ネットワークの強化も図る。街路事業では、眺湖通(洞爺湖町)や停車場通(伊達市)、東通(登別市)で事業を推進します。
 漁港事業では有珠山噴火を契機に整備を進めてきた虻田漁港大磯分港の完成を目指すとともに、鷲別漁港などに新規着手します。また、静内漁港では防災対策を推進します。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
トマチャナイ川(22号床固工)
木島 建設産業は、社会資本の整備はもとより、地域の経済や雇用を支えるとともに、災害時の緊急を要する対応から日常的な維持管理の対応まで、広い範囲で地域の安全・安心を担っており、地域にとって重要な役割を果たしていると認識しています。
 特に、胆振及び日高管内は、2000年の有珠山噴火災害や2003年の台風10号による豪雨災害をはじめ、幾度となく大きな災害に見舞われており、その度に、地域の地理や事業に精通した地元建設業者を中心に、地域の安全安心の確保のため、尽力して頂いていることに大変感謝しています。
 建設業の経営環境は依然厳しい状況にあり、若年入職者の減少に伴う技術者の不足や就業者の高齢化等により、技術の継承が難しくなっていると聞いていますが、私達の欠かせないパートナーとして、これからも地域の中心となって、社会に貢献されることを期待しています。

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