建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年7月号〉

 副局長インタビュー 空知総合振興局・石狩振興局

多彩な観光・食資源を活かし地域の価値を高め個性ある地域づくり支える社会資本整備を推進

 空知総合振興局(建設管理部担当) 兼 石狩振興局 副局長
上谷 誠司
 かみや・せいじ
 昭和33年12月29日生、函館市出身
 北海道大学工学部衛生工学科
 昭和60年4月 北海道庁採用(室蘭土木現業所)
 平成10年4月 建設部道路計画課 計画第一係長
 平成11年5月 建設部道路計画課 主査
 平成14年4月 建設部道路計画課 道路企画係長
 平成16年4月 建設部都市計画課 主幹(小樽市派遣)
 平成18年4月 建設部建設管理局建設情報課 主幹
 平成20年4月 札幌土木現業所企画総務部 企画調整室長
 平成21年4月 建設部建設管理局建設政策課 参事
 平成22年4月 建設部建設管理局建設政策課 新幹線基盤支援担当課長
 平成23年6月 建設部まちづくり局 都市計画課長
 平成25年4月 岩見沢市副市長
 平成27年4月 建設部建設政策局 次長
 平成27年6月 現職

── 本年度の事業進捗にあたり抱負をお聞かせください
上谷 札幌建設管理部が所管する石狩・空知地域は、北海道の政治・経済の中心的な役割を担うとともに、道内有数の農業地帯として農業と深く結びついた体験型観光、美しい景観、おいしい米や野菜など、多彩な地域資源に恵まれていますので、地域の特色を活用した個性ある地域づくりのための事業を推進していきたいと考えております。
 また、北海道では人口減少問題が最重要課題となっており、防災・減災対策や国土の強靱化の取組みが必要となっています。安全・安心な暮らしを支え、地域産業を支える社会基盤の整備、維持管理等を、市町村や地域の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、推進していきたいと考えています。
── 安全で安心な地域づくりと防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
仁別大曲線
上谷 道路事業では、今年度から新規事業として、栗山町と長沼町を結ぶ恵庭栗山線の馬追橋の架け替え事業に着手します。馬追橋は、地域の生活や産業を支える重要な橋ですが、老朽化が進行していることや大型車の円滑なすれ違いが困難なことから、安全で安心できる道路機能の確保を目的として事業を実施するものです。
 継続事業としては、妹背牛市街地と深川市音江町の国道12号を結ぶ区間に位置する増毛稲田線の妹背牛橋の架け替えを進めています。妹背牛橋は、地域の生活や産業を支える重要な橋ですが、大型車両のすれ違いが困難なことや老朽化などが懸念されており、安全な道路機能を確保することを目的とした事業です。
 街路事業としては、江別市の南大通大橋(仮)の架設に着手する予定です。南大通は、江別市の中心と東部を連絡する幹線道路ですが、橋梁部が未整備のため、中心部と東部地区のアクセス路である国道12号や周辺道路に交通が集中し混雑している状況です。
 また、東部地域は水害を受けやすい地域であり、洪水時の大麻・野幌方面への避難ルートの確保が望まれています。本路線の分断を解消することにより、交通の混雑緩和や洪水時の避難ルートを確保することを目的とした事業です。
 岩見沢市の3・4・10駅前通外1街路事業は、中心市街地活性化事業の一環であり、地域の高齢化に備え電線地中化を行い、安全安心な回遊性の高い歩行環境を整備し、まちなか居住の促進を支援する事業です。
美唄富良野線
 河川事業としては、平成16年度から改修事業を進めている札幌市内を流れる望月寒川において、放水路トンネル工事のシールドマシン製作や放水路呑口工などを本年度予定しており、平成31年度の放水路完成を目指して整備を進めています。望月寒川は、住宅が密集する市街地を流れており、現況の河道を大きく拡幅することが困難であるため、上流部において河川トンネルによる放水路を整備するとともに、下流部の河道整備も併せて進めています。
 また、平成24年9月の大雨により岩見沢市内で浸水被害が発生した利根別川において、新たに支川を含めた改修事業に着手しており、特に溢水被害の発生した支川南利根別川については、早期の完成を目指して工事を進めています。
 砂防事業としては、土石流等による土砂災害の発生が懸念される深川市内のオキリカップ支流川において、土砂災害の避難場所や国道12号などを保全するため、砂防施設の整備を進めています。
 また、平成26年8月に広島県で発生した土砂災害等を踏まえ、土砂災害防止法が改正され、基礎調査結果の公表の義務化などと併せ、概ね5年を目途に基礎調査を完了することとなったため、平成31年度の完了を目指し、引き続き、基礎調査を進めていきます。今年度は、約270箇所の基礎調査を完了させ、土砂災害警戒区域等の指定を進めていきます。
── 平成28年度予算執行にあたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など
  整備事業の取組をお伺いします
望月寒川(呑口部:到達立坑)
上谷 空知・石狩管内は、多彩な観光資源や美味しい食に恵まれているので、このような地域の価値を高めるための社会資本整備を進めていきたいと考えています。
 道路の継続事業として、美唄富良野線は、南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成する路線であり、農産物流の効率化や観光アクセスを向上させるため、未開通区間の道路建設及び現道の拡幅などを進めてきています。平成28年度からは、東美唄トンネルの工事に着手する予定です。
 仁別大曲線は、北広島市仁別を起点とし国道36号との交点を終点とする路線で、北広島市大曲地区における国道36号の恒常化した交通渋滞を緩和するバイパス機能を果たすとともに、広域的な幹線道路網を形成し、道央圏の円滑な交通の流れを確保するため、今年度の完成を目指して整備を進めています。
 恵庭岳公園線は、恵庭市盤尻の国道453号から恵庭市街地へ続く路線で、危険箇所を解消し、支笏洞爺国立公園内の観光ルートの安全な通行の確保を目指して整備しています。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献し災害時の復旧対策などを担う建設業界への要望・期待などお聞かせ下さい
上谷 建設産業は、地域住民の安全・安心な生活の確保、経済、産業を支える社会資本の整備において重要な役割を担っております。
 また、災害時における復興事業や防災・減災、老朽化対策、インフラの維持管理などの担い手として、その果たすべき役割はますます増大しております。
 一方で、人口減少や高齢化が進行するなか、建設産業における人材の確保、技術の伝承が難しくなるなどの問題が生じてきており、国においては、いわゆる「担い手3法」の改正が行われたところです。
 将来に渡って良好なインフラサービスを提供し、安全・安心な地域社会の形成、さらには地方創生を確実なものにしていくためには、建設産業が元気で魅力的であることが非常に重要だと考えております。
 道としましても、人づくりや経営力強化に取り組む企業の積極的な支援に努めてまいりますので、優れた技術者や技能者の確保・育成に努めていただくとともに、平成28年3月に策定した北海道総合計画の目指す姿である「輝きつづける北海道」に向けた重要なパートナーとして、一層のご理解とご協力をいただきますようお願いします。

HOME