建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年7月号〉

中部の産業・物流を支える港湾を目指して

――四日市港臨港道路「霞4号幹線」の整備

 国土交通省 中部地方整備局 四日市港湾事務所 所長
 太田 勘治

1.四日市港の概要

 四日市港の礎は、明治6年から、四日市港で廻船問屋を営む稲葉三右衛門が私財を提供し、10年以上の歳月をかけて築きました。この地区には、現在「四日市旧港」と称され、オランダ人の水工技師デ・レーケが設計した「潮吹き防波堤」(明治26年築造)が現存しています。この防波堤は平成8年に、近代の港湾施設としては初めて重要文化財に指定されています(近代土木遺産としては4番目)。その後、四日市港は明治32年に開港場、昭和27年には特定重要港湾(現在は平成23年4月港湾法改正により「国際拠点港湾」に改称)に指定され、国際貿易港として発展してきました。
 背後には、国内随一の石油化学コンビナートを中心とした基礎素材型産業や内陸部の加工組立型産業等が集積しており、暮らしや中部のものづくり産業を支える国際物流拠点として、また石油等エネルギー供給基地として背後圏産業の発展を支える重要な役割を担っています。主な取扱貨物として、輸入では原油およびLNG等のエネルギー関連、輸出では石油製品および化学薬品等が主体となっています。コンテナ貨物は、昭和44年の航路開設以降、取扱貨物量は年々増加しており、平成25年には過去最高の19.4万TEU(外貿)を記録しました。近年では、自動車部品や化学薬品等の工業製品の輸出が盛んです。

霞4号幹線の完成イメージ

2.臨港道路「霞4号幹線」整備の概要

 コンテナ物流の中枢を担う霞ヶ浦地区においては、増加するコンテナ貨物に対応するため、水深-14m岸壁の整備に平成13年度から工事着手し、平成18年1月から供用を開始しました。一方で、霞ヶ浦地区は出島方式であり、背後地との交通路が霞大橋のみであるため、慢性的な交通混雑が発生しています。今後、コンテナ貨物の増加によって、港湾関連交通の流入による更なる交通混雑の発生と周辺道路への環境負荷の増加が懸念されています。また、災害時の緊急物資輸送および地区内の労働者等の安全・安心確保も求められています。そのため、霞ヶ浦地区へのアクセス向上と交通混雑の解消、周辺道路への環境負荷の低減、リダンダンシー(代替機能)確保を目的として、臨港道路「霞4号幹線」の整備を進めています。
完成済みの区間(PC連続箱桁橋、H28.4撮影)
工事中の区間(PC連続ラーメン箱桁橋、H28.5撮影)
 霞4号幹線は、霞ヶ浦地区南ふ頭から伊勢湾岸自動車道みえ川越ICを結ぶ延長約4.1km、上下4車線で計画されている臨港道路です。路線の大半が高架となっており、海上部約2.0kmは主に鋼構造物である鋼床版箱桁橋、鋼少数鈑桁橋等、陸上部約2.1kmは主にコンクリート構造物であるPC連続床版橋、PC連続ラーメン箱桁橋等で構成されています。約360mのPC4径間連続ラーメン箱桁橋区間には、橋桁の乾燥とクリープ現象による収縮後に橋脚と剛結させる、全国的にも珍しい“後ラーメン工法”を採用しています。工事の進捗は、橋脚となる下部工は全51基中43基が完成、残り8基もすべて工事着手済みです。橋桁となる上部工は全長4.1km中1.1kmが完成、2.0kmが工事着手済みとなっており、平成29年度に暫定2車線での完成を目指して整備を進めています。

3.まとめ

 今後も南海トラフ巨大地震等の大規模自然災害に対応するための国土強靱化、地域の社会経済活動を支えるためのニーズに応じた物流基盤の整備を進めるため、事務所一丸となって取り組んでいく所存です。引き続き関係者の皆様方のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。



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