建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2016年6月号〉
【ZOOM UP】
校舎と屋体一体化の箱形構造で外壁面を減らし環境負荷低減を図る
―― 普通教室は南側に配置しワークスペースは可動間仕切で多様な活動に対応
苫前町 苫前小学校改築工事
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外観完成イメージ |
苫前町は日本海沿岸北部に位置し、恒常的な強い季節風が吹く気候特性がある。
その特性を生かして、再生可能エネルギーである風力発電に積極的に取り組んできている。1年先行して改築した古丹別小学校では、再生可能エネルギーとしてペレットボイラーを採用するなど積極的にエコスクールに取り組んだが、苫前小学校改築事業においても積極的な取組みをおこなっている。
■建設の経緯
現校舎は昭和47年に建設し、大規模改造等行いつつ使用してきたが、老朽化や耐震化への対応が課題となり、平成24年1月から住民参画の検討委員会を組織して協議を重ねた。平成26年9月に公募型プロポーザルに基づき設計者を決定し、平成26年3月に基本設計を完了、平成27年2月に実施設計を完了し、平成27年9月より本工事に着手、平成28年11月完成を予定。その後現校舎の解体及びグラウンド整備に着手する計画である。
■配置計画
歩車分離のアプローチ計画として、児童の安全を確保している。吹溜り等の風雪害から登下校児童を守るアプローチなど、主要ゾーンの配置については、冬期間の恒常的な北西からの季節風を考慮したものとしている。
■エコスクールの取組
トータルコストの低減と環境教育の教材となりうる施設の整備とした。
校舎と屋内体育館をコンパクトに一体化し、外壁面積を減らして外壁からの熱損失を削減するとともに、外断熱化と断熱サッシの採用により、環境負荷低減を図った。
また、風向に考慮したハイサイドライトによって自然光を積極的に活用している。
さらに、再生可能エネルギー利用として、暖房方式にペレットボイラーを採用した。
省電力・長寿命であるLED照明器具の採用など省電力化も推進している。
■施設計画
校舎と屋内体育館を一体化した平屋建の箱形を基本とする構成が特徴である。
ハイサイドライトが軸となり、上部から自然光が採光される多目的スペースを中心に諸空間を配置し、多様な活動の場となる施設とした。
普通教室は全て日照条件の良い南側に配置している。
ワークスペースを隣接させ、間仕切の積極的な建具化により、一体的使用を可能とし、合同学習など小規模小学校の良さを生かした多様な活動を促す施設としている。
また、内装は積極的に木質化し、暖かみある空間とした。
屋内体育館は、校舎と一体化し、様々な活動の場として使用できる計画とした。一方、屋体のみ単独利用できる動線計画によって、一般開放時の利用に配慮するとともに、災害時の避難場所としての機能にも配慮している。また、防災備蓄庫の設置や特別教室の隣接など防災機能を強化している。
屋外には、雨水利用貯水槽を備えた学級園・水田を整備し、児童の環境学習と食育活動の場をつくりだしている。
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