建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年3月号〉

【TOPICS】

2016年度北海道開発予算は総額5417億円で4年連続増加も伸び率は微増、開発事業費は5317億円を計上

―― 北海道の基幹産業「食」「観光」を重視、農業農村整備や
   物流ネットワーク強化と空港等の整備推進

2016年度 北海道開発予算

はじめに

 2015年の通常国会において安倍政権が“安保法案成立”を掲げ245日に及ぶ会期延長となった。この間、法案に対する国会内外に大きな反響と混乱を招くことになった。さらに、臨時国会が見送られ、異例の1月4日「通常国会召集」となった。国民生活に直結する2015年度補正予算案、2016年度本予算案の審議がようやく始まった。結果、1月20日に3.3兆円の補正予算が成立し、引き続き96兆7218億円の大型政府予算案が国会上程され、年度内成立に向け審議入りとなった。

2016年度北海道開発予算案

 2016年度の北海道開発予算案では、総額5417億円が計上された。その中で、公共事業にあたる北海道開発事業費は5317億円となり前年比0.1%の微増にとどまったが、2016年度からスタートする「第8期北海道総合開発計画」を意識した予算編成となった。また、2015年度の直轄・補助、追加補正の配分により北海道開発事業費は総額6528億円で前年並みとなった。
 2016年度予算案では、治山治水事業で939億円(前年比0.2%減)、道路整備事業で1947億円(同1.5%増)、港湾空港鉄道等事業272億円(同6.7%増)、農林水産基盤整備事業が1116億円(同1.9%減)となったが、2015年度の追加補正で特に農業農村整備事業に厚く配分され、前年比1.5%増額となった。

主な事業内容

 「第8期北海道総合開発計画」が2016年度よりスタートするが、新計画の基本に@人が輝く地域社会の形成A世界に目を向けた産業振興B強靭で持続可能な国土形成一を重点項目に据え、北海道の強みである「食」「観光」関係分野等における成長・活性化の流れを伸ばすとともに、北海道全体に波及させるため、国際競争力の強化、国土強靭化に資するストック効果を高い生産基盤、物流・人流基盤等の社会基盤整備を推進する。また、「総合的なTPP関連政策大綱」を踏まえ喫緊の課題対策を推進する。
 主な事業事項では、人的・物的ネットワークの活用を支える交通基盤整備として、旭川・紋別自動車道(丸瀬布〜瀬戸瀬)、北海道横断自動車道網走線(陸別町〜訓子府)、同根室線(白糠〜阿寒)、国道38・44号釧路市(釧路西〜釧路東)の整備事業を進める。
 農林水産・食産業振興のための事業として、ほ場の大区画化、暗渠排水等の農地整備や担い手への農地集積による生産コストの低減や農業の高付加価値化を図る。また、国営かんがい排水事業、国営総合農地防災事業を推進する。
 治水事業として、石狩川、十勝川等で排水路の維持管理で農業基盤の浸水や被害を軽減し地域農業の生産性を支える。漁港・漁場の整備では、羅臼漁港等の防災・減災対策。室蘭港、小樽港、厚岸港等で港湾・漁港施設の老朽化対策を進める。また、胆振海岸侵食対策や函館港港湾施設の耐震化を推進する。
 一方、世界水準の観光地の形成として、新千歳空港や函館空港等での訪日外国者受入機能強化や国内外の航空ネットワークの強化を進めるほか、道内空港の有効活用に資する空港施設の更新・改良を推進する。また、石狩湾新港、釧路港などで国際物流機能整備や苫小牧港、函館港では国内物流強化を図る。
 今予算は、北海道の基幹産業「食」:農業・水産整備事業や「観光」:道路・港湾・空港整備等は重要事業であり早期予算執行が求められている。さらに、昨今多発する自然災害から地域を守る強靭な国土形成は喫緊の課題となっている。
 また、道内景気対策として、待望の北海道新幹線開業(3月26日)は、北海道の経済・産業、地域活性化に向けての明るい兆しであり、大きな活力となる。この芽をつぶすことなく、経済対策としても早急な補正執行と本予算成立を望みたい。



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