建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年2月号〉

年頭所感

地域をつなぐ交通網の整備や大区画ほ場等の基盤整備で
効率的な農業展開を推進

国土交通省 北海道開発局 旭川開発建設部
部長 伊藤 丹

 新年あけましておめでとうございます。平成28年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。皆様には日頃から旭川開発建設部の事業推進に格別のご支援ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
 昨年を振り返りますと、人口減少社会の進展を踏まえ、国と自治体の地方創生の取り組みや国内総生産600兆円達成に向けた一億総活躍社会がクローズアップされました。国交省北海道局においては、人が輝く地域社会、世界に目を向けた産業の振興、強靱で持続可能な国土の形成を目指す「新たな北海道総合開発計画」の中間整理が行われ、それに沿った平成28年度概算要求が行われました。
 災害については、昨年9月の関東・東北豪雨災害に伴い、当部から東北地方整備局管内へTEC−FORCE(緊急災害対策派遣隊)を派遣しました。
 今後とも火山噴火や地震、暴風雪など頻発する災害に対し、リエゾン等による迅速な情報共有化、TEC−FORCE、災害対策機材の派遣による復旧支援、自治体におけるタイムライン(時系列的な防災行動計画)策定の支援に取組む所存であり、関係各位のご協力をお願いします。
 治水事業では、平成2年の計画策定から25年の歳月をかけて、忠別川水辺プラザ事業、鉄道高架事業、土地区画整理事業、公共施設建築等のまちづくりが連動した「北彩都あさひかわ」が昨年夏にグランドオープンしました。新たに区画整理された土地には商業施設や医療複合施設等の進出が相次ぎ発表され、地域の明るい話題となっています。
 河川事業では、石狩川上流において、河道を再生する工事や辺別川の西神楽第一頭首工の改築等を実施します。天塩川上流では河道掘削及び堤防整備等を実施し美深市街部の流下能力の向上を図ります。
 砂防事業では、十勝岳の前回噴火から27年が経過し噴火の逼迫性が高まっていることから、堰堤の改築及び除石等の火山噴火対策や土砂災害防止の取組を進めます。
 下川町で建設を進めている多目的ダムのサンルダムについて、施工性と経済性に優れた台形CSGダム型式としては国内4番目のダムとして、ダム本体の打設など早期完成に向けて鋭意取組みます。
 道路事業では、地域生活や社会経済活動の基盤強化を図るため、北海道の幹線道路網の骨格として北海道縦貫自動車道「士別剣淵〜名寄」の整備を進める一方、道北圏の大動脈である一般国道40号において、「音威子府バイパス」を推進します。さらに、旭川十勝道路の一部区間として、市街部の交通混雑、交通事故の低減等を目的に「富良野道路」、「富良野北道路」の整備を推進します。
また、管内全路線の除雪を含む維持管理を始め、一般国道39号「比布大橋架替」を推進するほか、防災対策、交通事故防止・渋滞緩和のための交通安全対策、橋梁・トンネル等の道路構造物の適切な維持管理のため、点検修繕等の老朽化対策を実施します。
 農業事業では、昨年のTPPの大筋合意を受け、北海道の米生産の約3割を担う当部管内において、高齢化に伴う離農等により農家戸数が減少する中、大規模で効率的な農業を展開するための大区画ほ場等の基盤整備に取組みます。
 国営農地再編整備事業「富良野盆地地区」などの事業推進を図るとともに、地域の要望に対応するため国営緊急農地再編整備事業「愛別地区」、「大雪東川第一地区」の着工要求をしているほか、「大雪東川地区」、「旭東地区」などの調査を鋭意進めます。
 また、基幹的水利施設整備として、国営かんがい排水事業「当麻永山用水地区」などにおいて用水路などの整備を進めるとともに、国営総合農地防災事業「空知川地区」「とうま地区」及び、国営施設応急対策事業「てしおがわ剣和地区」などの事業を推進します。
 一方、観光面では、北海道ガーデンショー等の効果により東アジアの観光客が伸びており、平成27年度上期の外国人延べ宿泊数が34万2千泊と前年度比48%増となり、旭川空港国際線ビルの早期整備が期待されます。
 さらに、サイクリングツーリズムが大雪山麓、石狩川流域等において静かなブームとなっており、河川事業や道路事業において広域的な地域づくりと連携して支援に努めたいと考えています。
 最後に、新年においても、地域の資源や特性を活かし、道北及び上川地域の発展に貢献できるよう、地方自治体、民間企業、地域住民、NPOなど多様な主体の皆様と密接に連携を図り事業を進めて参ります。関係各位のご健勝と益々のご活躍を心から祈念し、新年のご挨拶といたします。

伊藤 丹 いとう・あかし
昭和36年1月19日生
昭和60年 3月  北海道大学大学院修了
昭和60年 4月  北海道開発庁採用
平成7年 6月  北海道開発局石狩川開発建設部幾春別川ダム建設事業所長
平成9年 4月  同 室蘭開発建設部沙流川ダム建設事業所長
平成11年 4月  北海道開発庁水政課開発専門官
平成13年 4月  北海道開発局石狩川開発建設部岩見沢河川事務所長
平成15年 7月  近畿地方整備局企画部環境審査官
平成16年 4月  同 環境調整官
平成17年 7月  北海道開発局建設部河川工事課河川技術対策官
平成19年 6月  同 網走開発建設部次長
平成21年 7月  同 建設部河川管理課長
平成23年 4月  同 開発監理部開発環境課長
平成24年 7月  独立行政法人土木研究所寒地土木研究所
寒地水圏研究グループ寒地河川チーム上席研究員
平成26年 4月  北海道開発局留萌開発建設部長
平成27年 7月  北海道開発局旭川開発建設部長

HOME