建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年1月号〉

京奈和自動車道の整備で古都奈良の観光動員が大幅に上昇

――企業立地数も大幅に増加 新たな雇用の創出も

 国土交通省 近畿地方整備局
 奈良国道事務所 所長 若尾 将徳


京奈和自動車道位置図

 私たち奈良国道事務所は、奈良県内において高規格幹線道路の京奈和自動車道大和北道路や大和御所道路、国道25号の名阪国道と、いかるがパークウェイ、国道165号大和高田バイパス、香芝柏原改良、並びに権限代行として国道168号十津川道路、長殿道路、五條新宮道路(風屋川津・宇宮原工区)の改築事業を担当しています。また、国道24号・25号・163号・165号の4路線(管理実延長約157q)の維持修繕、交通安全対策、無電柱化推進および道路管理業務も実施しています。
出屋敷高架橋

 道路は地域を活性化させ、地域の生活とあらゆる社会経済活動を支える社会資本であることを念頭に、関係機関と連携を図りながら体系的かつ計画的に整備・管理出屋敷高架橋に当たっています。
 平成27年度は、高規格幹線道路として大和北道路、大和御所道路の改築事業、地域高規格道路として十津川道路(権限代行)、長殿道路(権限代行)、五條新宮道路(風屋川津・宇宮原工区)(権限代行)、名阪道路、斑鳩バイパス、大和高田バイパス、香芝柏原改良などを実施していますが、この中でも特に重点整備しているのは「京奈和自動車道」です。
 京奈和自動車道は、京都・奈良・和歌山を結ぶ延長約120kmの高規格幹線道路です。近畿大都市圏の外郭環状として、既存の幹線道路とネットワークを形成し、大都市圏での時間短縮、京都〜奈良〜和歌山の拠点都市の連携強化を図る役割を担っています。
 また、県内の交流の促進や国道24号の渋滞緩和、交通事故の減少、走行時間の短縮、定時性の確保など、地域活性化に寄与します。奈良県内では、大和北道路、大和御所道路(大和区間、御所区間)、五條道路より構成されています。
 大和北道路は、木津IC付近を起点とし、県庁所在地である奈良市および中核都市である大和郡山市の2市を通過し、大和御所道路および西名阪自動車道に接続する延長約12.4kmの区間です。
 奈良県域が平成20年3月、京都府域が平成20年4月にそれぞれ都市計画決定されました。そして平成21年3月に奈良IC(仮称)〜郡山下ツ道JCT間の6.3kmが新規事業化され、昨年度は用地測量、物件調査および用地取得と道路設計を実施しており、本年度も引き続き推進します。
新田東佐味トンネル
朝町高架橋

 大和御所道路は、大和区間と御所区間からなる専用部と、一般部から構成される約27kmの高規格幹線道路です。大和区間は、郡山下ツ道JCTを起点とし、奈良県下の中核都市である大和郡山市、橿原市を含む3市3町を通過し、大和高田バイパスに接続する約14kmの道路です。
 御所区間は、大和高田バイパスを起点とし橿原市、大和高田市、御所市、五條市の4市を通過し、五條道路に接続する約13km の区間です。
 大和区間は、平成18年度までに郡山南ICから橿原北ICまでの専用部7.8km及び一般部9.2kmが開通しており、平成27年3月には郡山下ツ道JCT〜郡山南IC間の専用部1.6kmと天理王寺線〜桜井田原本王寺線間の一般部3.5kmが開通しました。
 御所区間は、平成24年3月に橿原高田IC〜御所IC区間の専用部3.7kmが2車線で開通しており、平成27年3月には続く御所IC〜御所南IC間の2.5kmが開通しました。
 本年度は、御所区間において、引き続き改良工事、橋梁工事およびトンネル工事を推進します。
 五條道路は京奈和自動車道の一部を構成し、五條北ICから和歌山県境に至る延長7.9kmの高規格幹線道路です。平成18年 6月に全線暫定2車線で供用しました。
 この京奈和自動車道の整備により、大阪を経由せずに奈良〜和歌山間を往復できる新ルートが誕生します。奈良県内初のジャンクションの開通で、西名阪自動車道・名阪国道と繋がり、名古屋がより身近になりました。
 また、大阪・関空から奈良・和歌山の世界遺産を結ぶ新たな観光周遊ルートも形成された結果、世界遺産である「古都奈良の文化財(奈良市)」では、平成18年度の部分開通の後で約75万人、同じく世界遺産の「法隆寺地域の仏教建造物(斑鳩町)」では、約20万人と、それぞれ観光客が大幅に増加しました。
 沿線地域では企業立地も進展し、平成15年からの10年間で、工場立地件数が約5倍へと飛躍的に増加しました。今後とも開通区間が延伸することで、さらなる企業立地や雇用拡大に期待が持たれます。
 今後も必要な道路整備に向け、地元の方々のご理解、ご協力を得ながら魅力のあるまちづくりの一環となる社会資本整備に努めてまいる所存です。


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