建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年1月号〉

人々の生活や企業活動を支える首都圏の道路

――新たな環状道路と既存道路の機能向上

 国土交通省 関東地方整備局
 首都国道事務所 所長 加藤 健治


 首都国道事務所では、国道6号、14号、298号(東京外かく環状道路:通称「外環」)、357号(東京湾岸道路)の改築事業を推進しています。前回(本誌2013年3月号)は外環の整備 効果などを中心にご紹介しましたが、今回はそれぞれの事業の進捗状況などについてご紹介します。

国道298号(外環)

国道298号東京外かく環状道路(千葉県区間)
 外環は、都心から半径約15kmの地域を環状に結ぶ全体延長約 85qの幹線道路で、当事務所では、そのうちの東京都葛飾区東金町から千葉県市川市高谷までの延長約13kmの区間を担当しています。現在は、松戸市小山から市川市高谷に至る延長約 12.1qの区間(千葉県区間)を、ネクスコ東日本関東支社千葉工事事務所とともに、平成29年度の開通を目標に整備を進めています。
 これまでに、松戸・市川両市の要望を踏まえ、市内の交通環境の改善など、地元沿線地域に早期に効果を発揮すると見込まれる国道部(国道298号)や歩道等の一部を、高速道路部の整備に先立ち開通しています。
 現在は、千葉県区間全線において、掘割構造の高速道路部を構築する工事を進めるとともに、一部区間では、一般部の整備に着手しているところです。
 この外環(千葉県区間)は、松戸市・市川市の南北方向を連絡する交通軸となり、市内の交通渋滞の緩和、渋滞を避けるために生活道路に進入する車両の排除、環境改善などの効果のほか、首都圏3環状道路のネットワークを形成することで、首都圏の交通混雑の緩和等の効果が期待されます。

国道 357号(東京湾岸道路)

国道357号東京湾岸道路(新木場立体)
 東京湾岸道路は全国的にも有名ですが、東京湾を取り巻く千葉県、東京都、神奈川県の海岸沿いを、千葉県富津市から神奈川県横須賀市に至る延長約160qの幹線道路です。当事務所では、千葉県市川市二俣から東京都江東区辰巳までの約16.4kmの区間を担当しています。沿道に工場や物流施設が集まり、またディズニーリゾートなどの大規模レジャー施設も多いこの区間では、主要交差点での交通渋滞が激しく、円滑な交通の妨げとなっていることから、慢性的な交通渋滞を緩和するために、主要交差点部の立体化の整備を順次進めています。
 最近では、東京都江東区の新木場交差点(新木場若洲線との交差点)と夢の島交差点(明治通り(都道306号)との交差点)を連続して立体化する新木場立体を整備し、平成26年 3月に開通しました。開通後は、平面部の交通量が約 3〜 6割減少し、物流効率化などへの効果や、安全性向上の効果も現れてきています。
 現在は、新木場立体の整備のために切り回していた一般部の車道、歩道の復旧工事を行っています。また、千葉県浦安市の舞浜地区で、改良工事を実施する予定です。

国道14号(亀戸小松川立体)

国道14号亀戸小松川立体
 国道14号は、日本橋を起点とし、江戸川区を通過して千葉県に入り、千葉市へ至る総延長約64qの主要幹線道路です。首都高速7号線、東京湾岸道路とともに東西方向の交通を担っています。
 亀戸小松川立体は、国道14号の江東区亀戸9丁目から江戸川区大杉1丁目までの交通混雑の緩和、交通安全の確保、沿道環境の改善を目的とした延長約2.5qの道路拡幅等を行うものです。江東区亀戸9丁目から江戸川区小松川4丁目までの約1.3km区間は東京国道事務所が担当し、江戸川区松島1丁目から大杉1丁目間の約1.2km区間を当事務所が担当しています。
 当事務所担当区間では、渋滞の激しい東小松川交差点の改良を行うとともに、現況4車線の道路を当面6車線に拡幅することによって渋滞を緩和し、将来的には立体化を計画しています。さらに事業の一環として、老朽化した境川橋の架け替えも実施することとしており、今年度、関連の工事に着手する予定です。

国道6号(新宿拡幅)

国道6号新宿拡幅
 国道6号は、日本橋を起点とし、千葉県の松戸、柏、茨城県の取手、土浦、水戸、福島県のいわきなどの各市を経て、宮城県仙台市へ至る延長約350qの、首都圏と太平洋側の主要都市を結ぶ主要幹線道路です。
 新宿拡幅は、国道6号の東京都葛飾区新宿2丁目から金町6丁目間の交通渋滞の緩和と沿道周辺の都市機能の改善を図る延長約2.1kmの拡幅・立体事業です。
 このうち金町地区(約1.2q)は、「金町立体」として先行整備を行い、すでに平成7年度に開通しています。
 新宿地区(約0.9q)は現在4車線のままであり、上下線とも慢性的な交通渋滞が発生し、特に上り線(日本橋方面行き)では通過に約35分を要している状態です。渋滞の緩和を図るため、これまで用地の取得を進めてきましたが、今年度、中川大橋東交差点周辺の改良工事に着手する予定です。
 今後も、着実に事業を進めていきますので、ご理解とご協力をお願いします。


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