建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年1月号〉

ダム(補助)工事(千五沢ダム改築)施工状況

――ダム現場への思い

 清水・青木あすなろ・あおい特定建設工事共同企業体
 千五沢ダム改築作業所 所長 大下(おおしも) 昌利

 福島空港の南東約8kmに位置する千五沢ダムは、東北農政局により昭和50年3月に建設したかんがい専用の中央コア型アースダムです。本工事は、治水機能を付加するダム再開発事業として、既設洪水吐きをランニングコスト削減と人為ミスをなくすため、ラジアルゲート方式から、ゲートレス自由越流方式のラビリンス型洪水吐きに改築するものです。現在は、右岸部の水位低下設備を含む重力式ダム部の基礎掘削と洪水吐き流入部の施工に先立ち、左岸側からの進入路として貯水池内に桟橋を施工しています(写真)。貯水池内の施工期間は、ダムを運用しながらの工事のため、非洪水期の10月から3月と制限されており、冬期がメインの厳しい施工条件となっている。工期は、平成26年10月の着手から7.5年という長期施工を余儀なくされています。
 ダム運用中は、大雨が降ると流入量が増加するなど、水位の変動が大きいため、河川流域の降雨状況と流入量の正確な把握を行い、作業場所の安全確保と工程管理がポイントとなります。また、冬期の寒中コンクリートの品質管理や出来映えに対して、慎重な施工を行う必要があります。今後、平成33年度の竣工を目指します。
 私は、入社して33年の内、29年間ダム関係に携わってきました。(ここで4つ目)
 ダム建設は、大規模な本体工事の他、ダムの安全を監視する計測設備、周辺の道路、本体上部の橋梁、本体工事期間中の河川を切廻す仮排水路トンネルなど様々な分野の工事が係わっています。総合的な技術力が必要となり、ダムの形が出来上がっても、水を貯める湛水試験が無事完了しない限り「安全なダム」と言えません。施工に携わり、湛水試験期間中の「緊張感」と終了後の「達成感」は、ダム技術者の中でも、なかなか味わえない経験だと思います。
 最後に、当現場が、会社人生、最後の現場になりそうなので、『有終の美』を飾る所存です。


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