建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2016年1月号〉

山陰道(出雲〜仁摩間)の整備促進に向けて

 国土交通省 中国地方整備局
 松江国道事務所 所長 小林 寛


図1 山陰道(出雲〜仁摩間)整備箇所図

写真1 多伎・朝山道路施工状況
写真2 朝山・大田道路施工状況

1.はじめに

 中国地方整備局松江国道事務所は、山陰地方を東西に結ぶ一般国道9号のうち、島根県安来市(鳥取県境)から大田市までの約151q、山陰、山陽を結ぶ一般国道54号のうち、島根県飯南町(広島県境)から松江市までの約65qを管理しています。道路の改築事業をはじめ、維持・修繕、除雪、交通安全、地域の活性化に向けた取り組みなど多様な事業を行っています。
 東西に約230kmと細長い島根県においては、東西を結ぶ幹線道路が一般国道9号だけであり、ひとたび災害や事故が発生すれば、大きな迂回を強いられ、貨物輸送の99パーセント以上を自動車に依存する地域の社会経済活動に大きな支障をきたしています。このため高速道路ネットワーク整備に対する地域のニーズは非常に高く、山陰道の早期完成を目指し重点的に整備を進めているところであり、現在、出雲市から大田市までの6つの路線について事業を展開しています。

2.山陰道の整備状況と効果

 平成27年3月、延長11.8qの仁摩・温泉津道路(仁摩・石見銀山IC〜石見福光IC)が全線供用開始しました。この開通により、狭小トンネルや急カーブ急勾配区間が連続する交通の難所が解消されるとともに、事故や災害時の代替道路が確保され、安全・安心な通行が確保されています。今後更なる山陰道の整備により、人・物の交流が活発となり、地域の観光振興、物流コスト削減や販路拡大など、地域産業の活性化に大きく寄与することが期待されています。
 現在、松江国道事務所では、出雲ICから仁摩・石見銀山IC間の延長37.1qについて事業を行っています。その中でも、供用開始予定時期が示されている多伎・朝山道路(延長9.0q)、朝山・大田道路(延長6.3q)で事業の最盛期を迎えており、改良・橋梁・トンネル工事を全面的に推進しています。その他の路線についても、早期完成に向け用地買収、埋蔵文化財調査、工事など事業を推進しているところです。
 また、島根県内の山陰道の早期全線開通に向けては、全ての関係者が連携しながら、事業進捗への合意形成を図るとともに、事業における課題を解決することが不可欠となることから、国土交通省、島根県、関係市、経済界、報道機関による「島根県山陰道会議」が10月23日に設立されました。今後は、国・県・市が一丸となり、課題解決を図りながら早期全線開通に向けて取り組んでいく予定です。

図2 山陰道沿線に存在する豊富な観光資源と進出企業

3.一般国道54号における自転車施策の取り組み

写真 3 自転車通行空間明示ライン施工状況

 平成27年3月、中国横断自動車尾道松江線が全線開通したことに伴い、並行している一般国道54号では通過交通量が大幅に減少しており、沿線地域の活性化が課題となっています。そこで、活性化策の一つとして、島根・広島両県や沿線市町と連携しながら、国道54号や道の駅を活用したサイクリングロードの整備に取り組んでいます。サイクリングイベントに併せ自転車通行空間明示ラインを試行的に施工するなど、サイクリングロードを広くPRするとともに、ご意見をいただきながら安全・快適な自転車通行環境の整備を図っていく予定です。

4.おわりに

 松江国道事務所では、広域的な経済活動や地域間交流・連携の拡大に向けた役割が大きく期待されている高速道路ネットワークの早期整備に努めるとともに、計画的な道路の維持管理に努め、今後も地域の方々が安全・安心して生活できる地域づくり、道づくりに取り組んでいきます。




HOME