建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年12月号〉

寄稿シリーズ 現場代理人の目

建設現場の最前線から
〜北海道建設部 稚内建設管理部編




 建設現場は現場代理人をトップに、多くの作業員、重機オペレーターらが、専門的知識と技能をフルに発揮する技術者たちの晴れ舞台でもある。だが、現場は常に平坦な場所とは限らず、寒風吹き荒れる野ざらしの現場や、目のくらむ高所や陽光の届かない地下、坑内の場合もあり、危険も伴うために一般者が立ち入ることは出来ない聖域だ。そうした人目から隔離された建設現場の様子を、最前線で陣頭指揮にあたる現場代理人の寄稿を通じて紹介する。

稚内建設管理部


● 雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事
  株式会社中田組 現場代理人  松川 和宏


● 知来別漁港水産生産基盤整備工事(補正・繰越)
  藤建設株式会社 現場代理人 山ア 勲


● タネトンナイ川砂防工事
  田中建設株式会社 西森 宗雄


● 宗谷漁港外水産物供給基盤機能保全工事
  株式会社ササキ 現場代理人 鍋倉 誠司


● 上問寒幌延停車場線(防安)雪寒工事(堆雪幅確保)
  共成・タカハタ経常建設共同企業体 現場代理人(株式会社共成建設) 麓 広行


● クサンル川総合流域防災工事(補正・繰越)
  石塚・新谷経常建設共同企業体 現場代理人(石塚建設興業株式会社) 玉田 稚明


● 利尻空港整備事業場周柵更新工事(補正・繰越)
  高木・大信・山本経常建設共同企業体 現場代理人(山本建設株式会社) 冨山 靖史



雄忠志内漁港水産生産基盤整備工事

株式会社中田組

現場代理人 松川 和宏

 当漁港は利尻島の北東部に位置しており、今後秋から冬にかけて季節風の影響により、風向きが北方向からとなり時化の日数が多く現在の北防波堤の胸壁を超えて港内に波浪が発生するため、漁船の係留には穏やかな夏季に比較し十分な警戒が必要となる状況になります。
 本工事は航路と港内の静穏化を図る事を目的とし、現在の北防波堤の胸壁から波が越波しないように胸壁の嵩上を行う工事です。
 今年度は最初の工事となり胸壁の嵩上に伴う本体・上部の嵩上の工事を15m行います。
 これからの時期は、冬期に向けて天候悪化が予想されるため船舶関連事故の予防措置、時化による稼働率の低下も考えられるため工事の進捗状況には十分配慮し、安全管理・工程管理を重点項目とし無事故・無災害での工事完了に全力を尽くして行きたいと思います。




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知来別漁港水産生産基盤整備工事(補正・繰越)

藤建設株式会社

現場代理人 山ア 勲

 本事業は猿払村を代表する産業である、資源管理型ホタテ桁網漁業漁船の基地港である知来別漁港の航路を確保するため、漂砂流入防止対策を目的として平成26年から新規着工した防砂堤を延伸する工事です。
 作業海域は、潮の流れも速いため潜水士の1日の作業時間が限られ、時化るとうねりが数日続くのが特徴です。
 防砂堤施工にあたっては時化等による手戻り・被災を防止するために次工程速やかに行う必要があり、工程管理、安全管理、船舶調達管理等に苦慮しました。
 対外関係として、漁業関係者の海上交通、荷役作業及び漁港利用の安全を確保のため、漁協及び役場と綿密な打ち合わせを行い、作業内容周知・進捗工程等の報告・協議を行っています。
 工事も完成間近になり、漁港利用者に使用しやすい漁港完成に向け安全第一で日々の管理を行い、無事故・無災害での工事完成を目指しています。




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タネトンナイ川砂防工事

田中建設株式会社

現場代理人 西森 宗雄

 本工事は、利尻町タネトンナイ川における砂防工事(1号砂防えん堤)です。
 利尻島では利尻山(標高1,721m)周辺の谷間で土石流が発生しており、タネトンナイ川も土石流危険渓流であり昭和53年7月に砂防指定地になっています。土石流が発生しますと、下流域の幹線道路や地先住民の生命・財産等の危険及び甚大な漁業被害をあたえます。
 このため、平成24年から本格的な砂防工事に着手し、本工事ではえん堤左右岸の腹付け・嵩上げコンクリートの施工を行っています。
 付近に民家があり散歩等の通行者もいる現場でありますが、案内掲示板・監視人を配置し、第三者災害防止に配慮し施工を行います。又、これから冬季に向かいますので、工事関係者・協力会社一丸となって、無事故・無災害の竣工をめざしています。




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宗谷漁港外水産物供給基盤機能保全工事

株式会社 ササキ

現場代理人 鍋倉 誠司

 当工事は、宗谷・清浜・声問各漁港の施設老朽化に対する機能保全工事です。
 主に老朽化した岸壁、防波堤の取壊しを行いコンクリートの打直しを行っていく工事内容となっております。
現在、声問漁港の施工を終え、宗谷・清浜の2漁港の施工を行っております。
 宗谷漁港は漁期中の荷揚場の改修なのですが、地域住民・漁業関係者のご協力のおかげで順調に作業の方が進んでおります。
 秋に入り低気圧や台風が非常に多発しておりますが、予めに飛散物の対策等を行い、被害を最小限に抑えるべく行動しております。
 これから冬季にむかうにつれて、厳しい気象・海象条件となっていきますが、漁港利用者に納得していただける高品質な構造物を造っていく事、無事故・無災害での工事を完成させる事を目標に施工を進めて行きます。




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上問寒幌延停車場線(防安)雪寒工事(堆雪幅確保)

共成・タカハタ経常建設共同企業体

現場代理人(株式会社共成建設) 麓 広行

 北海道道645号上問寒幌延停車場線は、上問寒と幌延市街を結ぶ北海道道(道〃)です。
 当工事は、冬期間の積雪により道路幅が狭くなることを防ぐために、法面を切土整形し道路幅を広げ堆雪幅を確保するものです。又、法面保護のために植生基材吹付を施しました。
 工事に際しては国際標準である品質ISO9001:2008・環境ISO14001:2004・安全OHSAS18001:2007の規格要求事項に則り、出来形管理、リスクアセスメント調査評価登録、環境影響調査評価登録を綿密に計画実行し工事を進めていきました。施工に際し、植生基材吹付の施工完了時期に制限が設けられていましたが、工程管理等を綿密に行い期間内に完了することができました。
 安全面として、当地域はカーブの多い峠であるため、熊や鹿が急に飛び出すことによる工事車両との衝突事故も懸念されましたが、安全対策の徹底により事故の発生もありませんでした。
 環境面として周辺が北大研究林の管理区域ということから担当者からのアドバイスもいただくなどコミュニケーションをとり、苦情もなく工事を完了することができました。




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クサンル川総合流域防災工事(補正・繰越)

石塚・新谷経常建設共同企業体

現場代理人(石塚建設興業株式会社) 玉田 稚明

 クサンル川は、クサンル沢川、クサンル左の沢川の支川を合流し、稚内市市街地を流下して稚内港に注ぐ2級河川です。
 稚内市街地を流れるクサンル川は、河幅が狭いことから、たびたび氾濫します。最近では、平成23年9月にも家屋浸水などの洪水被害が発生しました。
 そのため現在、河幅を広くする工事を行っていますが、当該工事区間は市街地にあり、近隣には住宅、病院、保育所、商業施設などが隣接しているため、当工事の施工に際し、振動や騒音の少ない工法を採用し施工しています。
 矢板護岸工やコンクリート構造物取壊し工事などには従来使用していたバイブロハンマー、コンクリートブレーカーなどの振動騒音の低減が難しい機械から油圧式圧入工法(硬質地盤クリア工法)を採用し、鋼矢板は長期防食性能、耐候性に優れた重防食矢板を使用しています。
 既設コンクリート擁壁の取壊し作業には、静的油圧破砕器(バースター工法)を採用するなどして、振動や騒音の少ない工法で周辺環境に配慮しています。




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利尻空港整備事業場周柵更新工事(補正・繰越)

高木・大信・山本経常建設共同企業体

現場代理人(山本建設株式会社) 冨山 靖史

 この工事は、北海道北部日本海上に浮かぶ人口約5,400人の島「利尻島」に設けられた空の玄関口である利尻空港内における場周柵更新工事です。
 場周柵は、外部から人・車両等が空港内にみだりに侵入することを防ぐ目的で設置し、平成26年度から着手し今年度工事では約999mの設置替えを行いました。
 利尻島は、利尻山を主体とした火山島であり山には高山植物がたくさん分布していることから多くの登山者や観光客が飛行機で島を訪れます。
 当空港は滑走路から場周柵までの距離が比較的近く工事施工中は、航空機の運航の安全を確保するため離発着時に車両及び機械の運転中止などの制限はありましたが9月中旬には工事を完成することができました。
 また、朝礼時に当日の作業に対するリスクアセスメントを実施し危険要因を低減することで無事故・無災害にて工事を竣工することができました。




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