建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年12月号〉

【ZOOM UP】

児童の安全と地域コミュニティー兼ね備えた学校施設

―― 札幌市初の学校・児童会館・まちづくりセンターを併設

札幌市 札幌市立二条小学校改築工事

外観完成イメージ

建設の経緯

 札幌市が建設を進めている二条小学校は、昭和25年10月に北海道学芸大学付属小学校の校舎を譲り受け、札幌市立二条小学校として開校した。
 現在の校舎棟は、昭和44年に、鉄筋コンクリート造地上3階建で建築され、その後数回の増築や改修が行われた。また、屋内運動場は、昭和34年に建設し、昭和54年に増築が行われた。両施設とも、築40年以上が経過し、老朽化が進み耐震性能も低いため改築することになった。
 さらに本施設は札幌市の建物として初めて児童会館とまちづくりセンター及び地区会館が併設される複合施設となる。

建設地の特色

 札幌市街地のやや西に位置する二条小学校の周辺1km内には、北方面に道立美術館・三岸好太郎美術館、札幌市教育文化会館や大通公園・北大植物園、西方面は病院などの大型施設が建ち、南方面は住宅地、東方面には中央区役所や消防局、図書センターなど、多種多様の施設が混在している。

配置計画

・敷地に余裕がなく、既存建物が全体的に老朽化していることから校舎及び屋内運動場、屋内プールの改築を計画している。また、既存グラウンドに建設することから、仮校舎を必要としない効果的な配置計画とした。
・校舎棟及び屋内運動場は敷地北側、グランドを南側に配置した。教室は校舎南側に集約的に配置することで、校舎の北側を低層に押さえることができ、北側の敷地への日影や圧迫感を配慮した計画としている。
・昇降口を敷地内のおおよそ中央にしたことにより、児童の通学は、現状と同様に南側道路と西側道路の2方面から可能になり、通学路の安全性と利便性に配慮した。さらに、給食及びペレット搬出入動線は東側道路からとし、児童動線とサービス車両動線を完全に分離した配置計画としている。

施設の平面計画

・普通教室を最も日照条件の良い南側に配置した。また、普通教室とワークスペースの間は可動間仕切りを設けることで、授業の可変性を可能とする。
・校舎棟2階北側に家庭科教室と連携できる3層吹き抜けのランチ広場を設けることで気持ちよい空間を作り出す。また、理科室及び図工室前には作品展示のギャラリーを設け、屋外のテラスを利用した授業の展開を行えるように配慮した。
・管理諸室は2階に集中配置し、特に職員室は昇降口・グラウンドが見渡せるよう校舎棟南側に配置し、防犯性、安全性を考慮した。
・児童会館及びまちづくりセンターは1階に配置し、学校とそれぞれ連携できるよう1階中央部分には交流スペースを設ける。また、コンピューター室と図書室を連携することでメディアスペースを形成し、各施設の相互利用を可能としている。



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