建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年12月号〉

国道23号 名豊道路の事業進捗状況と期待される効果

 国土交通省 中部地方整備局
 名四国道事務所 所長 横山 幸泰


名豊道路の整備状況

 国道23号は、愛知県豊橋市を起点とし、名古屋市及び三重県津市・伊勢市などの都市を連絡し広域的な道路ネットワークを形成する、延長約177kmの幹線道路です。
 このうち、名豊道路は、三河地域の諸都市(8市1町)を連絡し、豊橋市と名古屋都市圏を結ぶ延長約73qの地域高規格道路です。なお、当事務所では、名豊道路の各バイパス(豊橋東、豊橋、蒲郡、岡崎、知立)の改築事業を担当しております。

1.現在の進捗状況について

蒲郡バイパス:五井トンネル安全祈願祭の様子
岡崎バイパス:4車化事業の様子
 平成26年3月23日には、蒲郡バイパスの蒲郡IC〜幸田芦谷IC間が暫定2車線にて開通。これまでに総延長の約87%にあたる約63km(暫定2車線のみ)が開通しています。
 残る未開通区間の、蒲郡BP(豊川為当IC〜蒲郡IC)の延長約9.1kmについては、平成19年に事業化し、平成24年度より用地買収に着手し、平成25年度より工事着手しています。平成27年度においては、用地買収及び道路改良工事及び(仮称)五井トンネル工事を進めています。また、(仮称)国坂トンネルの新規工事着手も予定しており、今後、早期に開通が出来るよう、関係機関と協働しながら事業進捗を図ってまいります。
 次に4車線化の進捗においては、総延長の約37%にあたる約27.3kmが平成26年度までに開通しております。なお、平成27年度の開通予定の岡崎バイパスでは西尾東ICから藤井ICの延長4.0mにおいては、二期線の工事が完了し、平成27年9月30日には、新しく完成した道路に1車線を車線切り替えした後、中央分離帯等を施工したのち、今年度内に4車線開通をしてまいります。残る4車線化の未開通区間においては、早期に開通見通しがたてられるよう引き続き努力して参りたいと考えております。

2.期待される効果

 名豊道路は、名古屋都市圏と三河地域の諸都市を連絡する広域ネットワークを構築することで、国道1号及び周辺道路の渋滞緩和、日本を経済を支える『ものづくり拠点』である三河地域の物流交通の円滑化、沿線地域の地域産業・観光産業の支援、災害に強い道路機能の確保等に寄与します。
 広域ネットワークの視点では、名豊道路の全線が開通すれば、名古屋都市圏と三河地域の所要時間の短縮が見込まれます。また、並行する国道1号や周辺道路ではバイパス機能により、主要渋滞箇所が可能のとなり、渋滞緩和が期待できます。例えば、平成26年3月に開通した、蒲郡BP(蒲郡IC〜幸田芦谷IC)の区間では、現道23号の交通が、バイパスに交通転換したことにより、並行する蒲郡市内の周辺道路が渋滞緩和をされました。  地域産業の視点では、日本の経済を支える「ものづくり拠点」、特に自動車産業の中心地である三河地域では、名豊道路の整備により、名豊道路沿線に製造工場や物流倉庫等の立地がされており、地域雇用の増加や地域経済の発展や、地域産業の活性化に寄与しております。例えば、今年度開通予定の岡崎BPでは、4車線化により、所要時間や定時制向上を見越して、物流倉庫を立地するなど民間投資の拡大に寄与しております。また、残る未開通区間を全線暫定開通することで、更なる地域産業活性化が期待されます。
 観光産業の視点では、名豊道路の整備により、道の駅の整備や、東三河地域の観光施設へのアクセス向上により、観光入込客数の増加が確認でき、残る未開通区間を全線暫定開通することで、同様に観光産業の活性化が期待されます。
 災害対策の視点では、東海、東南海・南海地震の発生時に震度6以上の大きな揺れが想定されております。名豊道路は、災害リスクを避けるように計画しています。例えば、岡崎・豊川平野等での大津波による浸水被害時では、高架構造にすることにより道路通行機能を確保しております。東日本大震災の事例である「くしの歯作戦」のように、名豊道路が、広域支援ルートとしての効果を発揮することが期待されています。

3.おわりに

 当事務所では、三河地域周辺における主要幹線道路の交通混雑緩和と通過交通の円滑化を図り、日本の経済を支える「ものづくり拠点」である三河地域の物流を支えるとともに、地域活性化に資する道づくりを目指して事務所一丸となって取り組んでまいります。引き続き皆さまのご協力をいただきながら事業を推進して参ります。


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