建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年11月号〉

【ZOOM UP】

オホーツク圏における精神科医療の基幹病院
「北海道立向陽ヶ丘病院」が改築

―― 患者、家族、地域住民と手を携え信頼と満足の医療を目指す

北海道立 向陽ヶ丘病院改築工事

外観完成イメージ(アイレベル)

 急性期医療の役割を継承しつつ慢性期医療を加えた、オホーツク圏域における総合的な精神科医療機能の備える北海道立向陽ヶ丘病院の改築工事が進められている。毎日を過ごす患者にとって快適な生活空間づくりと、職員にとっては働きやすい機能的な医療空間づくりの両面から、ふさわしい空間構成やシステムを構築する方針だ。
 同病院は本年度から診療科目を「精神神経科」から「精神科」に変更した。これは厚生労働省から、診療科名は認可した名称を公示すべきとの指導に基づくもので、今後は全ての表示はこれに統一される。
 改築計画では、この3年間の病床利用率と1日平均入院患者数の推移から、入院施設は105床の2病棟-2看護体制にダウンサイジングし、新病院は、広いグランド側ではなく、敷地面積に構造的な制約のあるデイケア棟を取り囲む用地に建設。
 閉鎖病棟、老人精神病床群を含む開放病棟、外来棟の空間の間仕切りは、患者の目線を基準にして床面積を配分変更する。
外観完成イメージ(鳥瞰)
 この考えに基づき、設計に当たっては、大きな高低差のある敷地条件を深く読み解き、既存の地形を活かした計画とする。地形に沿った配置計画とすることで、造成量を抑制しつつ、複数の接地階を持つ利便性の高い構成とする。残ることになった既存のデイケア棟と新築棟は最短距離で接続し、コンパクトで動きやすい施設とする。
 また、部門ごとのまとまりを考慮した、シンプルなゾーン構成及び階構成とし、集約化した平面構成とし、限られた面積条件の中で効率良く必要空間を確保する。わかりやすい動線計画とし、患者・職員両方にとっての使いやすさにつなげる。
 凹凸の少ないシンプルな外形とし、工事費縮小や断熱効率の向上につなげる。病棟エリアの患者出入管理やナースステーションからの視認性に配慮した平面計画とする。病棟ごとに十分な広さのデイルームを確保し、採光・眺望に配慮した居心地のよい空間をつくる。保護室や準保護室となる個室は、患者の特殊性を十分に考慮した各部仕様とすることにポイントが置かれている。



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