建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年11月号〉

【ZOOM UP】

道立北見病院が赤十字病院隣に移転改築

―― 連携強化のため3階部分を廊下で接続

北海道立 北見病院改築工事

外観完成イメージ(アイレベル)

 オホーツク圏域における心臓・腎臓・呼吸器疾患の高度専門センター的役割を担っている道立北見病院は、効率的な運営と、地方センター病院・救命救急センターである北見赤十字病院との一体的な医療体制の構築を図るため、北見赤十字病院隣接地への移転改築が進められている。
 両病院を上空通路で接続し、北見赤十字病院のヘリポートの活用など、密接な連携により、救急患者・合併症患者への医療の充実、先進医療への対応、医療機器等の共同利用による効率的な運営体制を実現するための施設整備を図る計画だ。
 同病院は北見・網走・紋別地区の結核医療を担うべく、昭和27年に道立北見療養所として開設されて以来、心臓血管外科、人工透析、循環器科、呼吸器科などを中心とした医療を担っており、今回の改築において、病床数は70床程度に整備される予定。
 循環器疾患および呼吸器疾患を対象として多数の専門医を擁し、地域医療機関との機能分担、連携を図りつつ専門科目に特化した病院として機能している。
 循環器科目も呼吸器科も、ともにオホーツク圏内では唯一で、心臓血管外科手術に対応できる医療機関であると同時に、高齢化社会を反映した合併疾患(循環器、腎臓、呼吸器、消化器)にも対応すべく、各診療科が相互に連携した治療を行うとともに、結核医療、慢性肺疾患、悪性腫瘍に対する診療にも当たっている。
 平成16年にはMRSA感染事例が発生したが、迅速にこれを公表するとともに外部の専門家による委員会と協力し、感染経路の検討、厳密な感染防止対策や組織作りに取り組み、成果を上げた。
 今回の移転改築における設計に当たっては、循環器・呼吸器疾患に特化した高度医療サービスを提供できる手術室・集中治療室・病棟などの合理的なゾーニング。少ないスタッフで十分な医療活動を行うことができるよう、職員動線の短縮を考慮。北見赤十字病院との円滑な機能連携が図れるよう、双方の手術部門が配置される3階レベルで、公道上空の連絡通路により接続。
 異なる病院同士の相互補完による三次医療圏の診療機能の高度化を推進。積雪寒冷地にふさわしい高断熱、高気密とし、快適な室内温熱環境を実現。構造躯体の合理性を追求し、コスト効率の良い建築物を実現。
 建物設備のメンテナンスルートと機器設置スペースの確保や、建物形態の簡素化による外装材、開口部、屋根などの維持管理の負担軽減に配慮。路面凍結による転倒事故のないよう、外部歩行空間の陽向き、庇、段差、仕上げ、ヒーティングなどに配慮。そして、見やすく判断しやすいサイン、機能的で合理的な動線、親しみやすいインテリアなどに配慮し、身障者や高齢者にとっても利用しやすい施設計画を実現することを目指して設計されている。



HOME