建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年10月号〉

【ZOOM UP】

児童の安全と地域防災を兼ね備えた学校施設

―― 鷲別地区住民3割の避難スペース確保

登別市 登別市立鷲別小学校校舎改築工事

建設の経緯

 登別市が建設を進めている鷲別小学校は、鷲別地区の中心に位置し、鷲別中学校、鷲別保育所が隣接する文教地区として120年の歴史があり、現在の学校施設は、昭和30年代に建てられた赤レンガの校舎と、児童が急増した昭和40年代に建てられた鉄筋コンクリート造の校舎と鉄骨造の体育館があるが、既に建築から40〜50年が経過している。
 そこで、平成20年度に耐震診断を行う順番を決めるための優先調査を行った。結果、平成21年度に体育館、22年度に鉄筋コンクリート造の校舎の耐震診断を実施し、赤レンガの校舎は耐力度調査を進めた。
 この結果、校舎、体育館に耐震性能が低いことから全面的な改築が必要との判断に至った。
 屋内運動場は平成27年3月に完成し、現在建設の校舎は同28年12月完成予定。また、校舎解体・グラウンド整備は同29年度より着手する。

防災機能を備えた学校施設

 改築にあたり児童が安心で安全に過ごせる校舎と共に地域防災機能を兼ね備えた学校施設を目指すこととなった。
 先ず、想定される災害対応として�@登別市の大津波警報が発表された場合の津波避難ビルとしての活用�A鷲別地区の洪水及び土砂災害等津波以外の災害が生じた場合の屋内避難所としての活用�B鷲別、新生、若草地区の防災備蓄倉庫の一つとしての役割を担う施設を基本に据えている。
 その中で津波想定対策として、校舎各階の高さは、2階床高4.25ｍ、3階床高8.05ｍ、4階床高11.85ｍ、屋上が15.65ｍに設定し、津波避難ビルガイドラインで定める高さ3.5mや新校舎付近の海抜4.9ｍを考慮し、道の津波浸水予測2.61ｍに対応した建築仕様とした。

 これより、3階、4階及び屋上を活用し地域の約3割にあたる1,057人程度の収容が可能な避難スペースが確保できる。さらに、災害時には、簡易シャワー、炊き出し場、洗濯場などの避難所機能を整備する。