建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年10月号〉

【ZOOM UP】

いつも人の気配が感じられる賑わいのある庁舎

―― 誰もが利用できるオープンスペースを確保し、安全で開放的な空間を創出

世田谷地方合同庁舎(仮称)


 国・東京都・世田谷区の官署が入居する「世田谷地方合同庁舎(仮称)」の建設が進められています。庁舎は世田谷の周辺環境や多様な人々の利用に配慮して、「憩い」、「安心」、「調和」、「環境」、「防災」をキーワードとし計画されました。
 庁舎の正面は来庁者や様々な方が立ち寄れるよう、区の木であるシンボルツリーの「ケヤキ」や、「ハナミズキ」の並木、庇やベンチを設けたオープンスペースとして、みどりを身近に感じ、花や紅葉の季節の移ろいを楽しむ憩いの場を提供するものとしています。また、人にやさしく安全な庁舎とするため、幅員の狭い敷地南北の道路沿いも安心して歩ける歩道スペースを設けています。
 内部は、仕上げにガラスや木材を積極的に採用した、明るく暖かみのあるエントランスホールとし、そこから図書館やエレベーターによる各官署にアクセスしやすい明快な動線となるよう計画しています。また各階には多目的トイレと1階に子供用トイレを設け、認識しやすい総合案内板やサイン計画など、ユニバーサルデザインに配慮した誰もが使いやすい庁舎を目指しました。
 外観は、建物西面の「縦ルーバー」と「庇」による彫りの深いデザインとして、アースカラーによる自然な色合いと建物ボリュームの分節化による圧迫感の低減により、周辺環境に配慮して、世田谷の街並みと調和する官庁施設として品格のあるものとしています。

 また、環境に配慮した庁舎とするため、大胆な「縦ルーバー」と「庇」により、西日を柔らかに取り込み、執務室内の負荷を抑えると共に、太陽光パネルや屋上緑化に加え、雨水の中水利用、自然換気など自然エネルギーを積極的に活用するとともに、省エネルギー性の高い照明器具や空調機器などを採用したグリーン庁舎としています。
 そして、地域の防災力の向上に寄与できるよう、消火活動用として約100トンの防火水槽を庁舎の地下に設置すると共に、雨水貯留槽や雨水抑制槽を設けて、豪雨などによる周辺地域の内水氾濫に配慮したものとしています。また災害による断水に備え、敷地内に災害に備えたマンホールトイレを設けています。
 入居官署は、1階に世田谷図書館と世田谷保健福祉センター分室、2階は東京法務局世田谷出張所、3〜4階は東京国税局世田谷税務署、5〜6階は東京都世田谷都税事務所が入居します。



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