建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年10月号〉

東京湾岸道路(本牧地区)について

 関東地方整備局 横浜国道事務所
 所長 杉ア 光義

一般国道357号 東京湾岸道路(神奈川県区間)事業概要図

東京湾岸道路(全体)

渋滞発生状況
根岸地区の並行路線での交通量・渋滞長の変化
 東京湾岸道路は、東京湾周辺の横須賀、横浜、川崎、東京、千葉、木更津及び富津などの諸都市を連絡する延長約160kmの幹線道路で、内陸部の交通混雑の緩和を図るとともに、湾岸に立地する諸都市、諸施設の機能の効率化に資することを目的とした道路です。
 また、わが国の国際競争力強化のため、国際コンテナ戦略港湾や国際空港を支えるネットワークを構築し、物流の効率化にも貢献します。
 自動車専用道路と一般道路(国道357号、14号、16号)で構成されており、このうち国道357号は、千葉県千葉市から神奈川県横須賀市までの延長約92km(神奈川県区聞は延長約35.1km)です。

神奈川県区間の計画概要

 神奈川県内の国道357号は、昭和52年、昭和63年に川崎市浮島町から横須賀市夏島町間が都市計画決定されました。昭和52年から事業に着手し、平成25年度までに川崎市川崎区東扇島の延長約3.0km、横浜市区間では磯子区新磯子町から金沢区八景島間の延長約13.4km、横浜ベイブリッジ一般部の延長2.2kmの合計約18.6kmを順次、暫定開通しています。
 現在、工事を行っている本牧地区は、昭和52年8月に都市計画決定し、平成13年10月に首都高速湾岸線(5期)が全線開通しました。平成元年9月に横浜ベイブリッジ(首都高部分)も開通し、平成11年7月には首都高湾岸線三渓園出入口、平成16年4月には横浜ベイブリッジ(国道357号部分)も開通しています。

神奈川県区間の整備によるストック効果

4号橋架設状況
運河を渡る5号橋
 横浜市や川崎市内の国道357号に並行する内陸部の主要幹線道路(国道1号、15号、16号、産業道路)における渋滞発生による損失時間は、310.4千人時間/年・kmと、全国平均約26.3千人時間/年・kmの約12倍に上っていますが、国道357号の整備により、交通が臨海部に転換されることで、内陸部の混雑緩和が見込まれます。
 また、国道357号が通過する東京湾臨海部では、都市再生プロジェクトである「東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備」や「羽田空港の再拡張事業」、国際コンテナ戦略港湾である京浜港のコンテナターミナルの整備や京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区などの地域開発の進展により、湾岸地域のヒトの移動やモノの輸送の増加が見込まれます。
 国道357号の整備により、道路、空港、港湾などの連携による交通・物流ネットワークの構築が推進されることで、地域開発の強化が図られ、また、災害時には防災拠点とのアクセスを確保するとともに、内陸部の交通の代替路線としてリダンダンシーの確保が期待されます。
 さらに、国道357号が通過する京浜港では、大型貨物車の搬出入の多い物流施設が多数立地しており、南本牧ふ頭では、平成27年4月に高規格コンテナターミナルMC-3が一部供用を開始し、更にはMC-4地区の供用も計画されている等、取扱貨物量の増加に伴う交通需要の増加も見込まれ、国道357号の整備により、横浜港や川崎港の経済活動の支援や物流の効率化が期待されます。
 平成26年3月に開通した根岸地区においては、並行する一般道で交通量が約4割減少し、渋滞が大幅に緩和されました。これにより、余裕を考慮した所要時間が35分から19分に短縮し、時間信頼性が向上したことで物流の効率化に寄与しています。
 また、東京湾岸道路の沿線には大型物流施設や工場が相次いで立地しており、国道357号が工場新設の場所を決める要因となったとの声も聞かれました。
 さらには、並行する一般道で死傷事故が約6割減少し、安全性が向上する等、生活環境が改善しています。

おわりに

 東京湾岸道路(本牧地区)は、平成27年度内の開通に向け、港湾関係者等地元の皆様のご理解ご協力のもと、現在、鋭意工事中です。  当該区間がつながることで、物流の効率化や地域経済の好循環など、更なるストック効果発現が期待されますので、一日でも早くその効果を発揮できるよう、最大限の努力で行う所存です。


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