建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

急がれる管内の交通難所の解消

―― 商都大阪の流通と暮らしの安全を担う

 国土交通省 近畿地方整備局 浪速国道事務所 所長 梶房 宣昭

 浪速国道事務所は、大阪及びその周辺部の道路改築を所掌する事務所として昭和43年4月に発足しました。以来、国道1号寝屋川バイパス、国道1号第二京阪道路、国道171号池田バイパス、国道26号第二阪和国道(堺市〜阪南市間)、国道163号木津バイパス、国道481号空港連絡道路、第二京阪道路に併設した大阪北共同溝の改築事業等を担当し、整備してきました。
 現在事業実施中の第二阪和国道については、阪南市自然田〜箱作ランプ間を平成15年4月に、箱作ランプ〜箱ノ浦ランプ間を平成16年6月に、箱ノ浦ランプ〜淡輪ランプ間を平成23年3月に暫定開通しました。
 同じく、国道163号清滝生駒道路については、東中野交差点〜清滝トンネル東側までの区間を平成2年7月から平成14年8月にかけて順次暫定開通、東中野交差点〜清滝トンネル西側までの区間を平成18年3月に4車線開通、清滝トンネル西側〜清滝トンネル東側までの区間を平成26年3月に4車線開通しました。
 また平成23年4月からは、国道163号清滝生駒道路の奈良県域の事業を、平成26年4月からは、国道26号第二阪和国道(府県境〜大谷ランプ間)と、国道480号鍋谷峠道路の事業を担当することとなりました。

暫定2車線開通による整備効果

 こうした経緯を経て、現在は各路線について全線開通に向けた事業及び淀川左岸線延伸部の調査等を実施しています。
第二阪和国道は、大阪と和歌山を結ぶ約53kmの幹線道路で現道の国道26号の慢性的な交通渋滞の解消等を主な目的とした道路です。
 第二阪和国道(阪南市自然田〜淡輪ランプ間)の整備により、並行する現道の国道26号においては、渋滞が解消し、死傷事故件数が約3〜5割減少しました。また、ランプ周辺部において、新たな宅地造成計画等が増進したことにより、地域の定住促進及び企業や商業施設等が立地するなど、地域の活性化にも寄与しています。さらに、今後、全線開通することにより、和歌山と大阪を結ぶ新たなルートが確保され、自然災害や異常気象等にも強い安全で安定した交通機能が確保される他、岬町から最寄りの第3次救急医療機関までの所要時間の短縮、救急搬送時の安定走行が確保されます。
 淡輪ランプ〜深日ランプ間は各箇所において改良工事を行っており、橋梁工事については、岬第一橋(仮称)大谷池橋(仮称)の架設が完了し、深日高架橋(仮称)の工事を推進しているところです。
 深日ランプ〜孝子ランプ間は、付近の橋梁工事や改良工事を行っていますが、深日トンネル(仮称)は、この2月に貫通し、覆工の工事を推進しています。
 孝子ランプ〜平井ランプ(仮称)では橋梁工事、改良工事を進めています。このほか府県境の平井トンネル(仮称)を和歌山県側から掘削しています。平井ランプ(仮称)〜大谷ランプでは、県道を跨ぐ大谷橋や平井橋(仮称)の架設も完了し、改良工事を実施中です。
 平井ランプ(仮称)〜大谷ランプ間1.8kmについては、平成27年9月の和歌山国体開催までに先行開通させ、残る淡輪ランプ〜平井ランプ(仮称)間7.6kmについては、平成28年度暫定2車線開通に向け、全面的に工事展開しているところです。
 清滝生駒道路は、大阪府から三重県を結ぶ国道163号のうち大阪府四條畷市から奈良県生駒市を結ぶ延長約11.0kmの道路です。本道路は関西文化学術研究都市の開発などによる交通の増加への対応や、交通安全の確保等を目的としています。
 また四條畷市中野から府県境の5.3km区間(清滝区間)と、府県境から生駒市高山町までの2.7km区間(生駒区間の一部)は地域高規格道路整備区間に指定されています。
 平成2年の清滝トンネルの開通(暫定2車線)によって、異常気象時通行規制が解除され、平成26年に4車線化したことで、トンネル内での対面交通による事故が回避され交通の安全性が向上しました。
 残る区間も開通すれば、交通容量は拡大し、交通混雑の緩和や交通事故の減少にも寄与することが期待されます。
 平成27年度は引き続き、調査設計・用地取得を進めるとともに、高山大橋交差点部0.4kmについては、今年度一般部完成に向け、改良工事や橋梁工事を進めているところです。

清滝トンネルの開通による整備効果

 国道480号は、大阪府と和歌山県を結ぶ道路です。大阪府側は「父鬼バイパス」、和歌山県側は「平道路」として府と県が整備を行っています。しかし、府県境をまたぐ延長4.1kmの区間は地形条件が厳しく、整備に高度な技術を要することから、平成20年度からは直轄権限代行事業(鍋谷峠道路)として、事業を推進しています。
 鍋谷峠道路に並行する国道480号(10.3km)において線形不良箇所が47箇所、すれ違い困難な幅員狭小区間が約4.1km、防災要対策箇所が28箇所あり、過去10年間に、倒木や落石、法面崩壊により、7回通行止め(延時間159時間)が発生しています。
 鍋谷峠道路の整備により、直線的で安全で走りやすい道路に改善されるとともに、トンネル構造となることで集中豪雨など異常気象時や降雪時においても安定的な交通機能を確保することができます。
 また、線形不良区間が解消されることで、かつらぎ町から大阪側の第三次救急医療施設への所要時間が短縮し、救急搬送における救命率の向上が期待されます。
 平成27年度は引き続き、平成28年度開通に向け、和歌山県側から掘削を進めるとともに、大阪府側においてもトンネル工事の準備と改良工事を進めているところです。


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