建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

 副局長インタビュー 釧路総合振興局・根室振興局

防災対策で地域の安全・安心と幹線交通ネットワーク整備で
観光や酪農・農水産業の物流効率化を推進

 釧路総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 根室振興局 副局長
南部 泰蔵
 なんぶ・たいぞう
 岩手大学工学部卒
 昭和56年9月 室蘭土木現業所門別出張所静内事業所
 平成20年4月 函館土木現業所治水課長
 平成23年6月 建設部建設管理局建設情報課主幹
 平成24年4月 稚内建設管理部地域調整課長
 平成25年4月 網走建設管理郎事業室長
 平成26年4月 建設部土木局河川砂防課長
 平成27年6月 現職

根室中標津線道路改良工事
── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせください
南部 管内は、知床、阿寒、釧路湿原の3つの国立公園を有し、また、厚岸、野付・風蓮、斜里岳の3つの道立自然公園があるなど、風光明媚な地域であり、観光は大きな産業となっています。また、清涼で広大な大地は、道内有数の酪農地帯であり、釧路港や根室港などを中心とした漁業により、全国的にも有数の水産物供給基地ともなっています。さらに、これら豊かな農産物や水産資源を活用した食品製造業等も盛んに行われています。
 こうした地域の特性に応じ、観光アクセスや物流に資する幹線交通ネットワークの整備、水産業振興のための漁港整備などを進めていきたいと考えています。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取り組みについてお聞かせください
釧路川広域河川改修工事
標津漁港海岸侵食対策工事
南部 釧路・根室地域は近年、ゲリラ的な集中豪雨や台風などにより、水害や土砂災害が頻発しています。また、地震や津波・高潮による災害の発生も懸念されるなど、自然災害への備えをしっかりやっていかなければならない地域でもあります。住民の生命や財産を守り、誰もが安心して暮らせる地域をつくるため、防災・減災の観点から国土保全施設の整備を進めています。
 河川事業では、釧路川で浸水対策のため築堤・護岸整備を引き続き実施すると共に、平成25年に2度の浸水被害を受けた釧路町別保市街地の治水対策として、別保川改修事業に新規着手し調査設計を行う予定です。
 砂防事業では、平成24年の集中豪雨により山腹崩壊、渓岸侵食崩壊した下刺牛沢川などで整備を進める予定です。また、常時観測火山の一つである雌阿寒岳の火山噴火警戒避難対策事業を引き続き実施する予定です。
 急傾斜地崩壊防止事業では、釧路大川町1地区外3所で事業を継続する他、整備済み斜面の老朽施設対策のため、釧路町材木町1外3箇所の緊急改築事業に新規着手する予定です。さらに、土砂災害防止法の改正を受け、今後5年程度で基礎調査を完了するため、引き続き基礎調査を実施する予定です。
 建設海岸事業では、高潮・波浪による海岸侵食や決壊などから国土を守るため、白糠海岸で地震対策としての護岸整備事業を完成させ、野付崎海岸で引き続き侵食対策事業を実施し、羅臼(岬町中央、岬町南外)海岸で越波防止の護岸整備を継続する予定です。
 漁港区域内の海岸を守るため、漁港海岸事業では、厚岸漁港海岸で地震対策として護岸の整備を引き続き実施する予定であり、標津漁港海岸で侵食対策として人工リーフを引き続き実施する予定です。また、津波・高潮被害の防止のため琵琶瀬漁港海岸で、水門等の遠隔制御・監視システム機器を整備する予定です。
 道路事業では、冬期の視程障害や吹き溜まり対策のため、防雪柵の設置を進めており、とくに根室管内中標津地区は、重点的に整備を行う予定です。
 また、こうしたハードの整備に加え、災害が発生した場合の関係機関との連携も重要と考えており、いざというときに地元市町村等とも情報共有を図り、迅速な対応ができるよう努めているところです。
── 平成27年度予算執行にあたり北海道の基幹産業、農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取組みをお伺いします
尾岱沼漁港水産流通基盤整備工事
釧路高山2急傾斜地崩壊防止工事
南部 地域の主力産業である水産業の核となる漁港の整備を行っています。標津漁港や尾岱沼漁港で屋根付き岸壁施設や浚渫などの衛生管理型漁港の整備を引き続き行うとともに、昆布森漁港においては新規着手する予定です。散布(火散布)漁港では、漁船の大型化に対応した漁港施設の整備に新規着手する予定です。
 また、農水産物や加工品の輸送ルートの確保や、観光地へのアクセス強化などのため、地域の幹線交通ネットワークの整備を重点的に行っています。
 地域の高速ネットワークの一翼を担う、地域高規格道路(根室中標津線)別海道路の8.8Kmは、今年度完成の予定です。
 また、地域が待望してきた道東自動車道の整備が現在、国において着々と進められており、来年3月までには白糠IC〜阿寒ICの開通が予定されています。道では、これに合わせて、庶路ICを上庶路庶路停車場線の一部として整備する予定です。これにより、釧路・白糠工業団地の輸送環境の向上が期待されます。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどお聞かせください
南部 地域の産業や人々の暮らしを支える社会資本の整備は、建設業なくしては語れません。また、日常のパトロールや維持作業、冬の除雪、災害時の緊急対応、その後の調査や復旧にいたるまで携わっていただいており、感謝申し上げます。
 当建設管理部では、いわゆる品確法に基づく様々な取り組みを通じて、建設分野の安定的な発展に寄与していきたいと考えています。

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