建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

 副局長インタビュー オホーツク総合振興局

広域分散化の地域を道路ネットワークでつなぎ
医療支援や物流効率化・観光振興を進め防災対策も強化

 オホーツク総合振興局 副局長(建設管理部担当)
本多 弘幸
 ほんだ・ひろゆき
 昭和35年10月16日生、旭川市出身
 東京理科大学理工学部土木工学科 卒業
 昭和64年1月 北海道庁入庁(小樽土木現業所)
 平成12年8月 札幌土木現業所事業部道路建設課道路維持係長
 平成15年6月 函館土木現業所事業部道路建設課道路係長
 平成16年4月 道庁建設部総務課主査
 平成18年4月 北海道東京事務所行政課主査
 平成20年4月 札幌土木現業所事業部道路建設課長
 平成21年4月 道庁建設部土木局道路課主幹
 平成23年6月 後志総合振興局小樽建設管理部事業室長
 平成25年4月 道庁建設部建設政策局建設政策課長
 平成26年6月 現職

── 本年度の事業推進にあたり抱負をお聞かせください
小石川広域河川改修工事(河川トンネル)
本多 オホーツク管内は、世界自然遺産登録された『知床』やラムサール条約登録湿地に指定された『濤沸湖』など、森と湖と海とが調和した豊かな自然を有しています。この特色のある、恵まれた自然環境と調和を図りながら、安全・安心で個性ある地域づくりを行うため、地域の意向や実情を踏まえながらも選択と集中の視点に立って、より効果的・効率的な事業執行に努めます。  また、平成27年6月から、維持管理部門を一元化し、維持管理や防災業務の更なる迅速化や効率化を進めてまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせください
本多 オホーツク管内は、岐阜県の面積に匹敵する広い地域に約30万人が暮らす道内でもひときわ広域分散型社会の色合いが強い地域であることから、管内の多くのまちが高次医療機関から離れた場所に位置しております。重篤重傷患者を短時間で安全に高次医療機関へ搬送できる体制づくりが課題となっている現状を踏まえ、「命をつなぐみちづくり」として救急搬送路である道道の整備を行ってまいります。  近年は想定を超える集中豪雨で全国各地に被害が発生しています。豪雨出水による浸水や土砂被害を防ぎ、住民の安全安心を確保することを目指して河川整備や土砂災害対策を推進してまいります。  また、管内では吹雪や雪崩による交通障害も発生しています。このため、除雪作業等を着実に行うことにより、地域の安全で安心なくらしの実現を行ってまいります。
── 平成27年度予算執行にあたり北海道基幹産業、農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取り組みをお伺いします
土佐東浜線(交62)改築工事(常呂橋上部工)(債務)
本多 道路事業では、管内や管外との交流促進や物流の効率化、観光振興などに資する道路ネットワークの拡充整備に努めるとともに、「橋梁などの老朽化対策」「危険箇所の解消」、「地域医療を支援する道路整備」などを引き続き推進します。
 治水関係事業では、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき整備を進めます。
 漁港関係事業では、新長期整備計画(H24?H28)に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めます。
 また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守ります。
 平成27年度の主な事業計画は、道路事業では、工事が本格化している北見津別線(津別町等)で、登坂車線や万代橋の架け替えを含めた線形改良に引き続き取り組みます。
 土佐東浜線(北見市)の常呂橋で、架換工事の進捗を図り上部工の架設を行います。
 摩周湖斜里線(清里町)で、観光・物流道路として道路拡幅及び防雪対策を行うとともに、遠軽雄武線(西興部村)で、布袋橋の架け替えのための用地補償を予定しています。
 留辺蘂浜佐呂間線で、錦橋の架替工事の進捗を図り下部工を継続します。
 また、橋梁の長寿命化を目的として、訓子府津別線(訓子府町)外9路線の10橋梁で、橋梁補修工事を行う予定です。
 街路事業では、3・5・51川東通(北見市)で、常呂川に架かる長大橋の整備をするため、下部工工事に引き続き取り組み、上部工工事にも工事着手するとともに前後道路の用地補償も進めます。
 また、3・3・5とん田通(北見市)で、本工事を継続して4車線化の整備を進めます。
 都市公園事業では、道立広域公園整備事業として平成14年度より整備を進めてきた「道立オホーツク流氷公園」(紋別市)が、平成26年7月に全面開園しました。
 開園から21年が経過したオホーツク公園(網走市)において、長寿命化計画に基づき、時代のニーズに対応した公園としての長寿命化やバリアフリー化、再整備工事を継続し遊具等の整備を推進します。
 空港事業では、女満別空港(大空町)で、誘導路の改良と照明施設の整備を進めます。また、エプロンの補修工事に工事着手します。
 河川事業では、近年の大雨による多大な洪水被害に対処するため、改修中の小石川(北見市)河川トンネルへの通水を予定しています。
 また、無加川(北見市)、佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、斜里川(斜里町)、興部川(興部町)、オコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)、日吉川・隈川(北見市)などについて、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努めます。
 砂防関係事業では、土石流などの土砂災害を防止するため、右の沢川(網走市)、緑ヶ丘の沢川(北見市)などで自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進めるとともに、土砂災害警戒区域の指定を行い、「危険の周知、警戒避難体制整備への支援」などのソフト対策を進めます。
 漁港事業では、水産流通基盤整備事業として斜里漁港(斜里町)、常呂漁港(北見市)、湧別漁港(湧別町)、沙留漁港(興部町)、雄武漁港(雄武町)について、衛生管理型への対応を行いながら静隠対策等の漁港施設整備を進めます。
 さらに、海岸事業では、越波の著しい雄武漁港海岸(雄武町)について、整備を進めます。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時における復旧に活躍している建設業界へのメッセージなどをお聞かせください
本多 建設業の取り巻く環境は依然として厳しい状況ですが、良質な社会資本整備はもとより、地域の経済や雇用を支えるとともに、維持・管理や除雪、災害時の応急対策などへの支援は、地域にとって無くてはならない重要な役割を担っているものと認識しています。
 今後も、蓄積された技術・知識・人材等の持てる力を発揮していただくと共に、オホーツク管内をさらに魅力のある地域にするため、一層の連携強化を図ってまいりますので、ご協力をお願いします。

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