建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

 副局長インタビュー 宗谷総合振興局

主要産業の水産・酪農・観光資源を活かした地域経済振興と
利尻・礼文島の防災対策強化で島民の暮らしを守る

 宗谷総合振興局(建設管理部担当) 副局長
飯塚 賢司
 いいづか・けんじ
 昭和33年2月12日生、枝幸郡歌登町出身
 北海道大学工学部土木工学科卒
 昭和56年4月 網走土木現業所採用
 昭和60年8月 釧路土木現業所
 昭和63年7月 土木部空港港湾課
 平成 5年4月 網走土木現業所紋別空港建設事務所技術係長
 平成 7年6月 網走土木現業所紋別空港建設事務所建設係長
 平成 8年4月 土木部空港港湾課主査
 平成 9年6月 建設部空港港湾課空港建設第一係長
 平成11年5月 建設部公園下水道課下水道計画係長
 平成15年6月 留萌土木現業所事業部治水課長
 平成17年4月 建設部空港港湾課主幹(石狩湾新港管理組合派遣)
 平成19年6月 室蘭土木現業所企画総務部企画調整室長
 平成21年4月 日本下水道事業団北海道総合事務所長
 平成22年4月 建設部空港港湾局空港活性化推進室参事
 平成24年4月 建設部まちづくり局都市環境課公園下水道担当課長
 平成25年4月 建設部まちづくり局都市環境課長
 平成27年6月 宗谷総合振興局副局長(建設管理部担当)

── 副局長就任にあたりまして抱負をお聞かせ下さい
飯塚 宗谷管内は、利尻礼文サロベツ国立公園やラムサール条約登録湿地などを有する雄大な自然を生かした観光業や、日本海、オホーツク海に接し道内上位の水揚げ量を誇る水産業、冷涼な気候風土を活かした酪農業が盛んな地域となっています。
 稚内建設管理部は、これらの豊富な資源を活かした地域の振興に資する経済活動を支えるとともに、地域の方々の安全安心な暮らしの確保に向け、地元市町村などの関係機関と連携を図りながら、社会資本整備に向けた各種取り組みを推進してまいります。
── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組についてお聞かせ下さい
オチウシナイ川砂防工事(補正・明許)
飯塚 まず、道路事業では、道路交通ネットワークの強化や、管内特有の地吹雪・吹きだまりなどに対して雪崩防止柵や防雪柵の設置により、安全で安心な通年交通を確保するとともに、橋梁等の点検・補修を行い既存施設の長寿命化を図ります。また、河川及び砂防事業では、自然災害から住民の生命や財産を守り、安全で安心して暮らせる地域づくりを目指し、河川改修や砂防施設・急傾斜地崩壊防止施設の整備を推進するとともに、ソフト対策として土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査を今後5年で完了すべく重点的に実施するとともに、関係自治体と連携し土砂災害警戒区域等の指定を推進します。
 また、これまで整備した社会資本施設についてもライフサイクルコストを見極めながら、適切な維持管理・機能維持を図り、既存施設の長寿命化を図ってまいります。
── 平成27年度予算執行あたり北海道基幹産業の農業・水産業の向上や観光・環境振興など整備事業の取り組みをお伺いします
利尻富士利尻線(防安664)交安工事外(交差点改良)
飯塚 主な事業としまして、元地香深線(新桃岩トンネル)は、礼文島の元地漁港がある元地地区と、島の中心地である香深地区を結ぶ唯一の路線であり、水産物の流通や「桃岩」「地蔵岩」などの観光地への往来、緊急車両の通行等、必要不可欠な道路ですが、これまでも落石の発生による通行止めが度々発生し、住民の生活や産業活動に支障が生じていることから、平成23年度より事業に着手しているところです。平成26年8月の豪雨により、法面崩壊による12日間の通行止めが発生し、今年3月の融雪時にも法面崩壊により6日間の通行止めが発生し住民生活に大きな影響が出たため、新桃岩トンネルの早期完成と供用開始が望まれています。工事の進捗状況としては今年3月26日にトンネルが貫通したところですが、早期の供用開始を目指し、引き続き事業を推進します。
 次に、利尻富士利尻線(鴛泊地区)は、利尻島の幹線道路であるとともに、緊急輸送道路にも指定され、防災、救急医療、漁業などの日常生活から観光支援に至るまで、島民にとってなくてはならない重要な路線です。
 鴛泊地区は、沿線に官公庁や旅館が連なり、商店街も形成され、さらに鴛泊フェリーターミナルや利尻空港が近くにあることから、島の玄関口として多くの観光客で賑わっている地域ですが、当該区間は道路幅員が狭く歩道も未整備のため、車両すれ違いに困難が生じており、特に冬期間には、路肩に堆積した雪の影響により歩行者が危険にさらされています。さらには、急勾配・急カーブ区間を有しているため、大型バスなどの通行車両の円滑な走行に支障を来していることから道路整備を図ることにより安全・安心な道路交通を確保し、また、鴛泊市街地整備計画マスタープランに基づくまちづくりと一体となった整備により、市街地の魅力向上や景観・にぎわいの創出を図ります。
 クサンル川は、国道40号やJR宗谷本線と交差しながら稚内市街地を流れ稚内港へ注ぐ二級河川です。降雨により平成6年8月、平成8年8月、平成12年10月と洪水により家屋浸水など多大な被害が発生したため、河道掘削により河積の拡大を行う目的で整備を進めています。
 オチウシナイ川は利尻富士町に位置する土石流危険渓流であり、近年の豪雨などにより利尻山の源流部からの生産土砂が増大する等、渓流が荒廃し土石流が頻発しています。このため、既設砂防えん堤の改良を行い、併せて生産土砂量の見直しをした施設配置計画を検討しています。
── 社会資本整備事業の担い手として地域社会に貢献、また災害時おける復旧に活躍している建設業界へのメッセージをお聞かせ下さい
クサンル川総合流域防災工事(補正)
飯塚 建設業は、良質な社会資本の整備はもとより維持管理や災害復旧の対応など、地域の経済、雇用、安全・安心を守る重要な役割を担っており、今後も地域を支える中心となって社会に貢献されることを期待します。
 稚内建設管理部としましても建設業は同じ目的を持った重要なパートナーと考えており、皆様方と連携しながら、経営の安定に向けた「経営効率化の取組」や、課題である人材の確保に向けて、建設業の役割や魅力を地域の方々に発信してまいりたいと考えております。

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