建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2015年8月号〉

 副局長インタビュー 渡島総合振興局 副局長 兼 檜山振興局

北海道新幹線や高規格幹線道路整備に連動した“食・観光振興支援”アクセスルートの整備

渡島総合振興局 副局長(建設管理部担当) 兼 檜山振興局 副局長  阿部島　啓人 あべしま・ひろと    昭和36年2月26日生  昭和59年3月 北海道大学工学部卒業  平成12年4月 室蘭土木現業所事業部治水課防災係長  平成16年4月 経済部産業立地課主査  平成18年4月 建設部土木局砂防災害課主査  平成20年4月 旭川土木現業所事業部治水課長  平成23年6月 建設部土木局砂防災害課主幹  平成24年4月 釧路総合振興局釧路建設管理部事業室長  平成25年4月 建設部まちづくり局都市計画課新幹線基盤支援担当課長  平成27年6月 渡島総合振興局副局長

── 副局長就任にあたりまして事業推進の抱負をお聞かせください

久根別川湯出川工区完成

阿部島　日ごろから建設行政の推進にご理解とご協力をいただき、心から感謝申し上げます。 　この6月に着任しましたが、道南は、北海道新幹線の開業がいよいよ半年後に迫っており、地域全体に活気があふれているという印象です。 　さらに、函館建設管理部管内では、高規格幹線道路等の整備が急ピッチで進み、新たな高速交通ネットワークが形成されつつあります。その整備効果を最大限に発揮するため、これらに連動する必要な社会資本整備を推進していきたいと考えております。 　また、災害の多い昨今にあって、災害に強く安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などの必要性が高まっています。このためには、地域の皆様との情報の共有が重要です。折々の機会に各市町の皆様と意見交換し、情報を共有しながら、災害に強い安全で安心な社会資本整備を進め、人口減少問題への対応として住み続けたいと思える地域づくりに貢献してまいります。

── 安全で安心な地域づくりや防災対策強化に向けた取組みについてお聞かせください

山越海岸

阿部島　自然災害による影響は、ここ道南地域でも大きなものがあります、昨年度も8月の大雨により、道道江差木古内線において通行規制を余儀なくされるなど、地域の広範囲にわたって土木施設に被害がありました。 　自然災害に対する備えは、安全･安心な地域づくりにとって重要な課題です。このため、道路事業では、老朽化が著しく大型車両のすれ違いに支障をきたしている八雲今金線の今金橋の架換を図るなど、道南地域の安全・安心な交通の確保に努めてまいります。 　河川事業では、久根別川(北斗市、七飯町)や厚沢部川(江差町、厚沢部町)、太櫓川(せたな町)において築堤、護岸等の整備を進め、田沢川総合流域防災事業（江差町）の完成を目指すとともに、馬場川（せたな町）などで特定構造物改築事業を実施します。 　砂防事業では、駒ヶ岳火山砂防（森町）において泥流対策を進めるほか、新たに新栄町沢川（江差町）に事業着手するとともに、子熊の沢川（北斗市）の事業完了を目指します。 　急傾斜地崩壊対策事業では、長万部高砂1（長万部町）において新たに事業着手するとともに、戸井汐首2（函館市）の事業完了を目指します。 　建設海岸事業では、高潮対策として、川汲海岸(函館市)において事業完了を目指します。石倉海岸（森町）、山越海岸（八雲町）において海岸堤防老朽化対策緊急事業を推進します。 　漁港事業では、上浦漁港（せたな町）において防波堤や船揚場の整備を進めます。また、沼尻漁港(森町)ほか8漁港において、新たに浚渫の計画策定に着手します。

── 平成27年度の予算執行にあたり道南地域の活性化に資する整備事業の取り組みを伺います

新吉堀トンネル貫通式

阿部島　道では、道南地域の魅力である食と観光を軸とした取り組みを積極的に進めており、北海道新幹線を活かした振興策が最重要課題となっています。 　このため、函館建設管理部としては、平成28年3月の北海道新幹線開業に向け、開業後のまちづくりを支援するため、新幹線駅が設置される新函館北斗駅や木古内駅へのアクセスルートの整備を推進してまいります。 　さらに、木古内駅と檜山方面とのアクセス機能向上を図るため、昨年度貫通した江差木古内線の新吉堀トンネル(上ノ国町、木古内町)において覆工、坑門工の整備を進めるなど、新幹線の開業効果を道南全域に波及させるべく整備を推進してまいります。 　また、国の高速交通ネットワーク整備の動きと連動して、函館上磯線(産業道路)の渋滞対策として実施している3･4･47文教通(函館市)の早期完成を目指し、工事を進めます。 　管内の主要な観光地の一つである大沼地域は、平成24年にラムサール条約登録湿地となり、その魅力が一層高まりました。函館建設管理部では、七飯町が策定している「大沼地域活性化ビジョン」を支援する観点から、良好な親水空間の創出のため、大沼環境整備事業により水質浄化対策を実施するなど、町と連携しながら地域の魅力向上に努めています。

── 地域活性化に向けた社会資本整備事業に貢献し、災害時の復旧対策などを担う建設業界への期待などをお聞かせください

3・4・47文教通改良工事

阿部島　昨今の建設業を取り巻く環境は、若年労働者の入職が大きく減少しており、この状況が続くと、技術・技能の継承が困難となり、工事の品質確保など建設業本来の役割が果たせなくなることが懸念されています。 　建設業は、社会資本整備において重要な役割を担うとともに、災害発生時真っ先に被災現場に駆けつけ復旧作業などに大きな力を発揮し、地域防災上なくてはならない存在です。 　また、地域の主要産業の一つとして、経済や雇用を支える上で大きな役割を果たしていることから、道では、道内の建設業が様々な変化に柔軟に対応し、持続・発展を遂げ、今後もその役割を果たしていけるよう、経営力の強化や人づくりの強化などに取り組んでいるところです。 　函館建設管理部といたしましても、地域の活性化や安全･安心の確保に向け、地域に密着した存在である建設業の皆さまと、今後とも綿密に連携を図ってまいりたいと考えております。